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うそコンシェルジュ 津村記久子

好きな作家の最新作。日常のちょっとした閉塞感や悩み、例えば気晴らしの愚痴や他人の悪口に根気よく付き合うのに疲れてしまった人たちの心のうちを描いたような短編が11編収められている。全体の雰囲気は、そうした主人公たちのやるせない気持ちを突き詰めていく著者の初期の作品に似ている気がするが、本書ではそうした初期作品の主人公にはない諸々の辛さを受け流す強さのようなものも感じられて、ちょっとホッとする。11編の中でも出色なのはやはり、ひょんなことから様々な悩みを抱えた人のために人を傷つけないような嘘のつき方を指南することになった主人公を描いた表題作「うそコンシェルジュ」とその続編。ストーリーが、「やはりそうなるよね」という感じと「予想外の展開」のちょうど間を行くような絶妙さだし、登場人物たちは至って真剣なのだがどこかコミカルでとにかく読んでいて面白い。流石だなぁと感心してしまった。、(「うそコンシェルジュ」 津村記久子、新潮社)
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