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ミャンマーの柳生一族 高野秀行

いつもの冒険談とはやや趣が異なり、ミャンマーのディープな情報を戦国時代・江戸時代にかけての日本、徳川幕府とその隠密である柳生一族になぞらえて解説してくれる本書。なぞらえること事態を目的としたパロディではなく、不思議なくらいにその比喩がミャンマー理解のために効果的に使われている。軍事政権=武家社会という比喩もそうだし、中央政府と少数民族の対立関係=幕藩体制というのも、目からうろこのように判りやすい。判りやすさから犠牲にされたディテールというものももちろんあるのだろうが、そのあたりが全く気にならないのは、その比喩が深いところで本質をついているからに違いない。いくつも読んできたミャンマー関連本のなかで異色かつ出色の1冊だ。(「ミャンマーの柳生一族」 高野秀行、集英社文庫)

海外出張等のため、10日程、更新をお休みします。

 

 

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女性作家10選 (岡本 絵里奈)
2013-12-08 13:16:58
初めまして、端正な文章で良著を的確に批評されていて感心いたしました。今後ともよろしくお願いいたします。

女性作家のベスト10を選んでみましたのでご紹介させて頂きます。

1.「チャイコフスキーコンクール」中村紘子
  旧世代の大ピアニストをご存じの方なら必ず深い感銘を受けるでしょう。

2.「家守綺譚」梨木香歩
  梨木さんが、明治の高踏派のような文体で綴る幻想譚です。(梨木流裏メニュー第一弾です)

3.「猫を抱いて象と泳ぐ」小川洋子
   支持者の多くが小川さんの最高作としているようです。

4.「エデン」近藤史恵
  白石誓のヨーロッパでの活躍を描いています。
  ミステリー色はかなり薄まっています。

5.「月の影 影の海」小野不由美
  十二国記シリーズという広大な世界の入口です。
  これを読まなければもったいないと思います。

6.「チョコレートコスモス」恩田陸
  恩田陸さんの代表作は何か、意見は様々でしょうが、私はこれを推したいですね。

7.「センセイの鞄」川上弘美
  村上春樹の強い影響を感じます。著者畢生の名作でしょう。

8.「落下する夕方」江国香織
  江国さんは大好きな作家の一人ですが「落下する夕方」「流しの下の骨」「神様のボート」の頃が一番良かったように思います。現在は・・・

9.「鋼の錬金術師」(漫画)荒川弘(ヒロム:女性です)
  死んだ母を錬金術で生き返らせようとした兄弟の
  運命を描くややダークなファンタジーです。

10.アポロンの坂道(漫画)児玉ユキ
  ジャズをBGMとしたこれ以上ないまっとうな青春物です。
 
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