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音楽会 純烈コンサート

たまたま招待券を入手したので、久し振りに「純烈」という、名前しか知らないスーパー銭湯アイドルグループのコンサートに行ってきた。1300人ほどの会場は予想通り99%高齢女性で満員御礼、自分のような男子は本当に数えるほど。しかも大半のお客さんが両手に光る応援グッズを持って歌に合わせて気持ちよさそうに振り回していてた。部外者感、アウェー感満載、知っている曲はひとつもないという状態の2時間だったが、それでも流石プロという感じのサービス精神旺盛なパフォーマンスが結構楽しかったし、聴き終えて、メンバー交代の歴史とか、現メンバーそれぞれのシンボルカラーや得意なことなど、結構物知りになってしまった。
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六色の蛹 櫻田智也

虫好きの青年が主人公の連作短編シリーズ3作目。短編6編が収録されているが、冒頭からの4編は主人公が追いかけているものもバラバラ、場所もバラバラで、イメージ的には放浪癖があるというか神出鬼没という感じだ。前作で既に虫に関する事柄は後方に追いやられている感じだったが本作ではさらにそれが進んで単なるきっかけのようなものになっているものもあり、あとがきで著者自身、虫という共通点が執筆の際の制約になってしまっているというようなコメントをしているほどだ。最初の作品はスズメバチの巣を探している主人公がその土地の猟友会の人間が誤射と思われる状況で死亡するという事件に遭遇する話、3編目は縄文土器の中のコクゾウムシの圧痕化石から当時の人々の暮らしを探るという研究に絡めて考古学の捏造問題を背景にした殺人事件を描いたもの、と内容はかなりシリアスだ。5編目と6編目は、前の4編の後日談のような内容で連作短編を綺麗にまとめてくれている。とにかくこの作家の文章は叙情的でありながらユーモアもあってすごく読んでいて惹かれるものがある。色々な制約があるので続けるのがどんどん難しくなっているとのことだが引き続き読んでいきたいシリーズだ。(「六色の蛹」 櫻田智也、東京創元社)
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六月のぶりぶりぎっちょう 万城目学

直木賞受賞作のシリーズ新作品が早くも刊行ということで早速読んでみた。受賞作品同様、京都の町を舞台にしたファンタジー小説、今回は清少納言と織田信長が登場する京都愛に溢れた2作品が収録されている。荒唐無稽なストーリーと京都ならではという感じの迷宮要素が相俟って爽やかな読後感を堪能したし、正解のない歴史の謎に興味を持ち続けることの大切さや面白さもしっかり伝わってきた。まだまだ続編が期待出来そうなのが嬉しい。(「六月のぶりぶりぎっちょう」 万城目学、文藝春秋社)
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孫のトリセツ 黒川伊保子

著者のトリセツシリーズは本書で5冊目。最初の3冊はとても面白かったが、4冊目はそれまでと似たような内容の何匹目かのドジョウ狙いという感じで、しかも著者の家族の自慢話ばかりでかなりがっかりだったが、今回は少し目線が違っていて、読んでよかったと感じた。著者の考える家族というものがあまりにも類型的すぎるのと、自分の家族への気遣いが強すぎるのは相変わらずだが、現代の育児に関するトレンドに関する言葉の解説である第2章は、ハチミツの話、ネントレの話など、なるほどなぁということが多く、この部分だけでも読んで良かったと思える一冊だった。(「孫のトリセツ」 黒川伊保子、扶桑社新書)
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夜明けのカルテ 牛島志季他

医師作家の短編アンソロジー集。9作品が収められているが、そのうち作品を読んだ記憶のあるの作家の作品は2つだけ。世の中には予想以上に医師作家が多いんだなぁと感心すると同時に、それらのエンタメ要素以外に訴えてくる内容の重さ、文章の面白さに驚かされた。人の生死と向き合う職業柄、色々なドラマがあることがその最大の理由だろうが、読んでいると、旧態然とした医学会という世界の権威主義とかパワハラ体質への強い憤りが大きな背景の一つとしてあるような気がする。どの作品も面白かったが、ガンの生体検査がガンの転移を誘発するという論文発表をめぐる攻防を描いた「闇の論文」は、その内容の真偽は別にして、非常に悩ましい問題提起に考え込まされてしまった。また、伊豆市の周産期医療センターの医師の活躍を描いた「峠を越えてきた命」はつい先日オリジナルの連作集を読んだばかりだったが、改めてこの作品のすごさを実感した。(「夜明けのカルテ」 牛島志季他、新潮文庫)
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難問の多い料理店 結城真一郎

著者の本は2冊目。前作が面白かったので期待して読んだが、期待以上に面白かった。内容は、ネットで注文すると料理を届けてくれるサービスの配達員の目線で書かれたミステリーの連作短編集。舞台となる料理を提供する店がかなり変わっていて、注文する料理の組み合わせが暗号になっていて、注文者(依頼者)からの求めに応じて探偵業を請け負っているという設定で話が進む。最初の数編は、火災現場から発見された謎の死体、アパートの空き室に大量に届く宅配品の謎、死亡する数ヶ月前に既に指が切断された死体の謎等、謎解き中心のミステリー短編集かと思いきや、収録された6編のうちの4編目あたりから何だか様相が非常に不穏になってきて、最終話で店のオーナーが発する言葉に唖然とさせられる。なお、話の中でオーナーが発する「最近キャンセルが多い」という一言に秘められた謎解きは、宅配料理を自分で注文したことがないのでそういう仕組みなのかと驚くと同時にすごい推理だなぁと感心してしまった。(「難問の多い料理店」 結城真一郎、集英社)
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ミステリーで読む平成時代 古橋信隆

文学研究者による平成に書かれたミステリー小説に関する論説集。目次に54編の題名が載っているがそのうち読んだことのあるのは3分の1くらい。題名に「ミステリー」とあるが、取り上げてられている作品はミステリーというよりも犯罪小説、近未来小説、家族小説などの方が多いし、著者の関心はミステリー的な謎解きやトリックではなく、作品に登場する人物の置かれた社会情勢、人間関係、心象風景等にあり、本書の肝はそれらの作品が書かれた時代、扱われた時代の変化と特性を浮かび上がらせるところにある感じだ。著者にとっては、対象とした作品がミステリーであってもなくても良かったようにも思われる。強いて言えば、ミステリー作品は読者にとっては非日常であることが多いので、作家は作品にリアリティを持たせるために時代に即した設定に注力するだろうから、著者の目的である時代考察の題材に適していたのかもしれない。確かに、本書に取り上げられた自分が読んだことのある広義のミステリー作品は、社会派推理小説に限らず犯人の動機などにそうした時代背景が色濃く出ていたなぁなどと思い出しながら読み終えた。(「ミステリーで読む平成時代」 古橋信隆、平凡社新書)
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失敗図鑑 大野正人

世界の偉人たちの失敗談を集めた子ども向けの本で1時間くらいで読めてしまう内容だが、半分以上は知らないエピソードが並んでいてとても面白かった。米国に住んでいた頃、米国の政治制度が日本に比べて失敗に対する許容度が高いなぁ、挽回するチャンスが多いなぁと思ったことが何度もあったが、本書を読んで政治制度に限らず失敗を回避したいという思いが強すぎない方が良いことが多いと改めて感じた。子どもから大人まで読んで為になる一冊だった。(「失敗図鑑」 大野正人、文響社)
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消費者金融ずるずる日記 加原井末路

三五館シンシャの「ドキュメント日記シリーズ」は本書で8冊目。今回は、中堅の消費者金融会社の元社員が、在籍当時の日常業務の内容や色々な顧客とのやり取りなどを分かりやすく教えてくれる内容。銀行が一時的に傘下に収めた優良大手数社、悪辣な営業で世を騒がせた大手2社などについては現役中に仕事上の関わりがあったり事件の報道などを通じて少しは知識があったし、闇金のような違法会社については小説や漫画で内情を垣間見たりできたが、それらの中間的存在とも言える比較的穏健な中堅の消費者金融会社というものについてはほとんど知る機会もなく、本書を読んで色々なことが分かってとても面白かった。特に、受付時の勤務先在籍確認電話とか、審査ルール(大手は3社まで、中堅は7社くらいまで等)や取立てルールなどが実際はそうだったんだという感じで興味深かった。もう一つ面白かったのは、①貸出金利のグレーゾーンの禁止 ②取立て行為規制の厳格化 ③団信加入の禁止 ④貸出金額の総量規制(年収の1/3まで)という2010年代の改正貸金業法完全実施前後の変化についての記述。全体を通じて、これまで知ることができなかった業界の内情を色々知ることができ、面白くて為になる一冊だった。(「消費者金融ずるずる日記」 加原井末路、三五館シンシャ)
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