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2024年のベスト10

今年は、読んだ冊数はとても少なかったが、松崎有理、金子玲介、藤の木優など新しい作家に沢山出会えた良い1年だった。
最近の傾向としては、SFや時代小説などこれまであまり読まなかったジャンルで面白い作品に出会えた一方、長編よりも細切れの時間で読める短編、名前の覚えにくい翻訳本よりも日本の作品、という感じがますます強くなり、未読の本がものすごく増えてしまった。
なお、今年も、ノンフィクションの面白い作品が色々あった。

(フィクション部門 ベスト10)
①バリ山行 松永K三蔵
 純文学とエンターテイメントの融合のような作品。
 書評誌で芥川賞直木賞同時受賞級と絶賛された一冊。
②死んだ山田と教室 金子玲介
 バカな高校生、男子校あるあるがとにかく可笑しかった。
 著者の第2作も面白かった。 
③惣十郎浮世始末 木内昇
 読んだ後、これまでで一番面白い時代小説だと思った。
④実は、拙者は 白蔵盈太
 登場人物を巡る意外性の連続、さらに意外な結末、
 最後のハッピーエンド、三拍子揃っていて楽しかった。
⑤成瀬は信じた道をいく 宮島未奈
前作同様、話題を独占した作品。
⑥山手線が転生して加速器になりました 松崎有理
 奇想天外なSF作品。著者の作品を読めたのは今年1番の収穫。
⑦化学の授業を始めます ボニーガルマス
⑧あしたの名医(1,2)藤の木優
 医療関係者の成長物語、現代医療行政の課題、
 伊豆のグルメなど、どれもが興味深かった。 
⑨山ぎは少し明かりて 辻堂ゆめ
 著者の新しい一面にびっくりした一冊。
⑩存在のすべてを 塩田武士
 とにかく重厚な作品。

(ノンフィクション部門 ベスト5)
①しっぽ学 東島沙耶佳
②原爆裁判 山我浩
③超人ナイチンゲール 栗原康
④ドーナツを穴だけ残して食べる方法 大阪大学ショセキカプロジェクト
⑤なぜ働いていると本が読めなくなるのか 三宅香帆

(年間冊数)
2010年132,2011年189,2012年209,2013年198,2014年205,2015年177,2016年218,2017年225、2018年211、2019年155、2020年128、2021年163、2022年158、2023年151、2024年120

(ジャンル別記事数 2024/12/31)
読んだ本 2920
観劇など 253
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ルポ 超高級老人ホーム 甚野博則

近くの本屋さんで見かけて面白そうな題名なので読んでみた。題名を見て、超高級老人ホームのものすごい闇を暴く暴露本のようなものを少し期待してしまったが、実際はそうでもなく、著者が見聞きした高級老人ホームの良いところ、悪いところを冷静に伝えてくれる内容だった。それだけに、この本を読んで高級老人ホームに対してものすごく否定的な印象を持つか、それほどでもないかは、読んだ人それぞれというところだろう。私の印象としては、高級=入居一時金が高いというのはかなりの部分が見掛け倒しやチープな演出によるものでほとんど実態を伴っていないということ、またそうしたところに入居している人々には自分が中心でないと不機嫌になるような厄介な人が多そうだということ、中にはものすごく悪質なところもあるので選ぶ場合は十分注意する必要があるということ、などが伝わってきた。(「ルポ 超高級老人ホーム」 甚野博則、ダイヤモンド社)
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ダチョウはアホだが役にたつ 塚本康浩

ダチョウ研究者によるダチョウに関する様々なことを教えてくれる啓蒙書。全文が関西弁の語り口調なので最初は戸惑うが、慣れるとそれも愛嬌という感じで気にならなくなった。内容は、ダチョウという鳥の特性、ダチョウ研究の苦労話とその成果、ダチョウと深く関わる著者の研究歴の3つだが、どれもとても面白かった。ダチョウの特性としては、時速60kmで走る、目が大きく容積は脳以上ある(要するに脳が小さい)、恐竜が進化して鳥になる過程で最初に枝分かれした、飛ばないので老化が遅く長生き、免疫力が強いなど。びっくりするのは研究成果の章で、免疫力の強いダチョウの卵から抽出した抗体は、デング熱、エボラ出血熱、MERS、インフルエンザ、新型コロナ、アトピー、などを不活性化させる効果がすでに実証済みで、将来的には癌、歯周病、花粉症などにも効果を発する可能性があるとのこと。更に、ダチョウから作られる抗体は牛の胃に生息するメタン産生菌の不活性化に有効で地球温暖化対策の救世主になる可能性もあるらしい。気軽に読めるのに驚くことばかりの一冊だった。(「ダチョウはアホだが役にたつ」 塚本康浩、幻冬舎文庫)
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自分を変える力 桃田賢斗

先日、バドミントンの桃田選手の公開練習を見学したので、彼の自伝を読んでみた。子ども時代から才能が注目されていたようで、その頃のプレー中の写真が残っているのは流石という感じだ。世界のトップに登り詰めた後のギャンブル事件、海外遠征中の交通事故などの経緯が本人の口から語られているが、やはりトップアスリートということで、気持ちの強さや競技に対する使命感のようなものがひしひしと伝わってきて、やはり彼がバドミントン界にとって稀有な存在であることが良くわかった。(「自分を変える力」 桃田賢斗、竹書房)
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5まで数える 松崎有理

先日読んだ「山手線が転生して加速器になりました」がめちゃくちゃ面白かったので、同じ著者の本をネットで探したら、本書が在庫ありだったので取り寄せて読んでみることにした。SF6編が収録された短編集だが、今回も全部大変面白かった。最初の「たとえわれ命死ぬとも」は、未だ電子顕微鏡がない時代の未知のウイルスと闘う科学者達の壮絶な物語。しかも動物実験が動物愛護の観点から事実上禁止という歴史改変要素が加わっていて、ウイルスの弱毒化や不活性化の研究には研究者のうちの誰かが実験台にならなければならないという究極の闘いだ。この作品が書かれたのはコロナ禍前の2016年とのことでまずこの作品の先見性にびっくりしたし、コロナウイルスの出現がもっと早ければコロナ禍の災禍はもっと大きかっただろうということが良く分かった気がする。2作目と3作目は、擬似科学と闘う3人の男たちの連作。検証困難、人々の無知につけ込んで不安を煽る似非科学とオカルトとの違い、魔術と奇術の違いなどを巧みに織り込んだストーリーは、本当にすごく面白かった。(「5まで数える」 松崎、筑摩書房)
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こぼれ落ちる欠片のために 本多孝好

重厚な警察小説。主人公と新しくコンビを組むことになった相棒の2人が、事件の関係者の事情聴取、聞き込み捜査などを通じて、真実に近づいていく様を緻密に描いた短編集。真実を解明し、罪を暴き、相応しい処罰を課すことが、市民の安心と安全に繋がるという崇高な信念を持って奮闘する一方、それが本当に正義なのかという葛藤もあり、本当に大変な仕事だということが伝わってくる話が収められている。特に、2つめ「no reply」という作品は、黙秘を続ける容疑者が守りたかったものが何かが判明したところで、これまで読んだ小説にはない衝撃を受けてしまった。また、この本の良いところは、TVドラマにありがちなパワハラ上司や自分勝手な動機の人物が全く出てこないことで、考えの違いから様々な衝突はあるものの、それぞれが自分の信念や正義感を貫こうと努力している様が良いなぁと感じた。(「こぼれ落ちる欠片のために」 本多孝好、集英社)
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嘘があふれた世界で 浅倉秋成他

7人の作家によるネット社会の明と暗をテーマにしたアンソロジー集。読んだことのある作家が3名、初めて読む作家が4名だったが、どれも大変面白く、世の中にはまだまだ知らないすごい作家がいるんだなぁとつくづく思った。特に、「あなたに見合う神さまを」は、投稿動画チャンネルに生き甲斐を見出している少女達の話だが、オタクとか推し活とかのマイナスのイメージを完全に払拭するような展開に、これはすごいと感じた。また「タイムシートを吹かせ」は、普通に日々の仕事でネットを使いこなしている若者と頑固な職人気質の老人のバトルをコミカルに描いた内容で、とても勉強になる話だった。最後に収録された「君がため春の野に」は、ちょっと前に読んだ「世界でいちばん透きとおった物語」のスピンオフ作品でこれも大変面白かった。(「嘘があふれた世界で」 浅倉秋成他、新潮文庫)
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超人ナイチンゲール 栗原康

本屋さんで見つけた一冊。題名や表紙がただの教養書としての伝記と違う感じなので店先でパラパラとめくってみた。内容的にはクリミアの天使ナイチンゲールの評伝で間違いなさそうなのだが、どうも普通とは違う雰囲気を漂わせている。それが気になり、「まあ普通の伝記でもいいや」と思って読んでみることにした。読んでみて、内容、文章とも、予想をはるかに超える面白さ。面白さの半分は全く知らなかったナイチンゲールという人物の面白さなのだが、残りの半分は著者の独特の語り口の面白さだった。ナイチンゲールについては、まずものすごい大金持ちの出身ということにびっくりした。38名の部下を連れてクリミア戦争の戦場に赴いた際、政府からの支出や寄付金では資金が不足し1億円以上自腹で支払ったとのこと。彼女の実行力の背景には、手続きの面倒な公費に頼らず自分で即決できる金銭的な余裕があったということらしい。また、彼女の思想については、かなり大胆な神秘主義の持ち主だったとのこと。彼女の行動力の源泉は、善悪の判断、合理性、損得、更には主体性などではなく、ひたすら自分自身の直感だった。善悪は人によるよって異なるから、それに従うことは結局は教会などの権威に支配されることになるし、合理的か非合理的かの判断、損得も言い換えれば他人に左右されることになる。こうした考えを突き詰めていくと「主体的に行動せよ」ということすら、直感による行動の妨げになる。まさに、ニーチェの超人思想そのものだ。また、彼女が小説家でもあり、統計学者でもあり、発明家でもあったというのもびっくり。彼女の書いた小説に「次のキリストは女性だろう」というキリスト教徒とは思えない一節があり、これはこの著者のナイチンゲール像の見立てが正しいことを表しているように思える。ナースコール、配膳エレベーターは彼女の発明、カーディガンはクリミア戦争の際に負傷者の着替え用に考案されたなど、トリビアもたくさんで、大変面白い一冊だった。(「超人ナイチンゲール」 栗原康、医学書院)
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あしたの名医2 藤の木優

伊豆地方の中核医療を担う大学付属病院に産科医として赴任した若手医師を主人公とするシリーズ第2弾。副題は「天才医師の帰還」。前作もすごく面白かったが、本作はそれ以上にすごい作品だった。物語は、主人公の医師としての成長物語、登場人物たちの医師としての矜持や信念、舞台である伊豆地方のグルメ紹介の三本柱で進行するのは前作と同じだが、そこに2人の新たな癖の強いキャラクターが加わり、主人公の成長を促す役割を果たしていく。クライマックスは、本書後半のガンが全身に転移してまっている妊婦患者を巡る主人公たちの医療現場での壮絶な戦いだ。患者本人の余命延長か胎児のケアかという選択を余儀なくさせられる状況での医療従事者の奮闘の物語、読んでいて大きく心を揺さぶられた。また、産科医師不足が深刻化するなか、先進医療を進歩させるためあるいは若手医師の経験の蓄積を促すなどのために医療の集約化(積極的集約化)が求められる一方、それとは無関係に進む地方病院の不採算による閉鎖に伴う消極的集約化、こうした医療現場の問題にも驚かされた。伊豆のグルメとしては、黒鮑、モクズガニ、天城猪まんなどが紹介されていて、特に猪まんが美味しそうだと思った。この作品、前作と合わせても時間的には数か月の話。内容の濃さが並外れているこのシリーズ、まだまだ続きを読みたい。(「あしたの名医2」 藤の木優、新潮文庫)
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四つの白日夢 篠田節子

著者の本は2冊目、短編集は本書が初めてだが、話の雰囲気は前に読んだ作品と似ているので、こういう作風の作家なのだと思う。具体的には、夜中に天井から聞こえてくる不思議な物音、ヴァイオリンケースとワインボトルを抱えた老人が小田急線車内に忘れていった遺失物、借金のかたとして譲り受けた多肉植物に取り憑かれていく男、義母の遺影に写っていた謎の人物など、少し謎めいた要素や奇妙な感覚に読者を誘い込むところがある内容。ただし各編の肝はそうした謎の真相そのものではなく、謎が解かれた後に待っているちょっとした物語。たまにはこうした不穏と暖かさの入り混じった小説も良いなぁと思った。(「四つの白日夢」 篠田節子、朝日新聞出版)
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血腐れ 矢樹純

著者の本はこれが4冊目。前に読んだ3冊はいずれも叙述トリック要素の強いミステリー小説だったが、本書は謎解き要素のほとんどないホラー小説だった。登場人物たちが他人には説明できない不安と疑念を苛まれていて、それが事態の進展とともに大きく膨らんでいくというストーリー展開や全体の不穏な雰囲気はこれまでの作品と共通している感じだが、真相が超自然的な闇の存在にあってそれがそのまま終わるという点で全く別のジャンルの話になっている。個人的には前の作風の方が断然面白かったが、今後著者がどういう方向に向かっていくのか、これまでの作品が面白かっただけに、とても気になるところだ。(「血腐れ」 矢樹純、新潮文庫)
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うそコンシェルジュ 津村記久子

好きな作家の最新作。日常のちょっとした閉塞感や悩み、例えば気晴らしの愚痴や他人の悪口に根気よく付き合うのに疲れてしまった人たちの心のうちを描いたような短編が11編収められている。全体の雰囲気は、そうした主人公たちのやるせない気持ちを突き詰めていく著者の初期の作品に似ている気がするが、本書ではそうした初期作品の主人公にはない諸々の辛さを受け流す強さのようなものも感じられて、ちょっとホッとする。11編の中でも出色なのはやはり、ひょんなことから様々な悩みを抱えた人のために人を傷つけないような嘘のつき方を指南することになった主人公を描いた表題作「うそコンシェルジュ」とその続編。ストーリーが、「やはりそうなるよね」という感じと「予想外の展開」のちょうど間を行くような絶妙さだし、登場人物たちは至って真剣なのだがどこかコミカルでとにかく読んでいて面白い。流石だなぁと感心してしまった。、(「うそコンシェルジュ」 津村記久子、新潮社)
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山手線が転生して加速器になりました。 松崎有理

書評誌で紹介されていて面白そうだったので読んでみた初めて読む作家のSF短編集。パンデミック後の世界を描いたとんでもSFが5編収められている。表題作は、パンデミック後の都市撤退政策で需要のなくなった山手線を素粒子ミューオンと反粒子を衝突させる自律運転機能付きの加速器に転用するという内容だが、これがめちゃくちゃ面白かった。さらにその後の短編も全てパンデミックで激変した世界という共通項のとんでもSFで、パンデミックで観光客が激減した後に設立された観光旅行会社の戦略、無人化した東京に住む少年とリモート料理人の交流、パンデミック後に突如現れた言葉を理解するタコと異星人が地球に送り込んだ自律型探査機(グリーンレモン)など、とにかくその発想の面白さと、ドレイク方程式、フェルミパラドックス(保護区仮説)、アシスタントAI、パンスペルミア説(生命宇宙起源説)など科学知識の裏付けのようなものに翻弄され通しだった。巻末の書き下ろし、経済学者の話と宇宙開闢以来の年表もこれらの短編を全て繋ぐ内容で圧巻。著者の本、まだ色々あるようなので、これから読むのが本当に楽しみだと思った。(「山手線が転生して加速器になりました。」 松崎有理、光文社文庫)
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町なか番外地 小野寺文宜

東京都江戸川区と千葉の県境近くの格安アパートの住人4人の日常を描いた連作短編集。そのアパートは交通の便もさほど良くないし、見た目もパッとしない、安さが売りのごく普通のアパートで、その住人達もごく普通のちょっとした悩みや困難を抱えた人たちだ。物語は大きな展開のない内容で、最後の住人全員が登場するクライマックスもとても静かなものだが、著者の本らしい何故か心に残る一冊だった。(「町なか番外地」 小野寺文宜、ポプラ社)
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しっぽ学 東島沙弥佳

ヒトは何故進化の過程でしっぽを失っていったのか、そのプロセスと意味の謎を追求している研究者による啓蒙書。著者がどのようにして「しっぽ」に魅せられそれを研究対象として奮闘するようになったのか、これまでの研究で分かったことなどを、とても面白くかつやさしく教えてくれる。まず著者は、しっぽについて、位置、形、中身の観点から、肛門より後ろにあり、身体の外に出ていて、体幹の延長にあるものと定義し、その上で「ヒトがしっぽを無くした経緯」について、考古学、人類学、発生学、文学など文理の壁を超えた考察を進めていく。なお、猿(モンキー)と類人猿(エイプ)の違いは、しっぽの有無と手を肩から上に伸ばせるかで決まるとのこと。また北の動物ほどしっぽが短いという(アレンの法則)。一般的に、ヒトがしっぽを無くしたのは、「腕で木にぶら下がるようになり、直立歩行するようになる過程でしっぽが不要になったから」と何となく思われているが、これは全くの誤解で、ヒトは木にぶら下がったり直立歩行する以前からしっぽを失っていたということが化石などの研究から明らかになっているらしい。そこから著者の探究は始まる。しっぽのあるサルとしっぽのないヒトの中間の生物の化石が発見されればある程度解明される謎なのだが、未だにそうした化石は発見されていない。発見されないこと自体も謎のひとつということになるだろう。著者の研究はまだ道半ばで、読んでいてワクワクするし、大変面白くて、かつためになる一冊だった。(「しっぽ学」 東島沙弥佳、光文社新書)
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