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Future Watch 書評、その他
グレツキー 3rd year NHL
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にっぽん「食謎」紀行 伊丹由宇
「食謎」という題名だが、この本の「謎」のほうが余程気になる。文体は大物の貫禄十分という感じだが、ところどころに有名人との交友をひけらかすような記述があり、どうも小物のようにも思える。尊大な言い回しはかなりの年配かとも思わせるが、体験談の時代背景等を考えると40歳代位にも思える。本の裏表紙に載っているプロフィールをみても、年齢すら判らない。その道の有名人なのかもしれないが、私にとっては「著者の謎」が気になって仕方がない。内容は食に関するエッセイだが、読んでいてかなり面白い。東海林さだおの「まるかじりシリーズ」とはまた違った面白さだ。著者自身が薀蓄を目いっぱい語った後で、食通に対して「薀蓄などたれずに黙って食え」と苦言を呈するなど、ご愛嬌がいっぱい。そのあたりも確信犯なのが面白い。(「にっぽん「食謎」紀行」伊丹由宇、PLUS新書)
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ネットの炎上力 蜷川真夫
独自のニュース・サイトを運営する会社の代表者によって書かれた本書。世の中により良いサービスを届けたいという理想と現実の葛藤のようなものが随所に感じられ、これまでに読んだIT解説の本とはかなり違う面白さがある本だ。題名に「炎上」という言葉が使われているが、内容は「炎上」と関係ある部分は一部で、多くはネット・ニュースにまつわる話題・事件についての幅広い解説となっている。ネット・ニュースのいろいろな事件の経緯が、書き込み・コメントをそのまま印刷したような形で再現する形式で紹介されているところもあり、その事件を追体験出来るように工夫されている。
本書の内容については、そうしたネット・ニュースに関わるいろいろな事件を取り上げた部分も十分面白いのだが、本書で最も面白いのは、著者のこれまでの経験から語られるネットニュースという新しいビジネスモデルがビジネスとして成り立つようになるまでの苦労話の部分だ。読んでいると、著者の経験談の中にこそネット・ニュースの可能性のようなものが感じられる。(「ネットの炎上力)蜷川真夫、文春新書)
本書の内容については、そうしたネット・ニュースに関わるいろいろな事件を取り上げた部分も十分面白いのだが、本書で最も面白いのは、著者のこれまでの経験から語られるネットニュースという新しいビジネスモデルがビジネスとして成り立つようになるまでの苦労話の部分だ。読んでいると、著者の経験談の中にこそネット・ニュースの可能性のようなものが感じられる。(「ネットの炎上力)蜷川真夫、文春新書)
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グレツキー オー・カナダ NHL
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都市伝説の正体 宇佐和通
まず帯の写真に「何だこれは?」と興味をそそられる。そしてちょっと本を開いて口絵の写真を見てみると、もう読まずにはいられない。帯と口絵と題名、この3つの連携が実にうまく出来た本だ。内容は、世界の様々な都市伝説とそのバリエーションが紹介されていて、その後にその伝説が広がった由来やら社会的な背景などが簡単に述べられているという構成が最初から最後まで続いている。
本書で紹介されている話は、残念ながらほとんどが聞いたことのない話だったが、中に1つだけ、これが都市伝説とは知らずにずっと信じていた話があった。アメリカのショッピングモールで、親がトイレに行っている間に日本人の子供が誘拐され、誘拐犯が子供を連れてショッピングモールを出るところを間一髪で救出されたという話だ。その時、子供の髪がスプレーのインクで金髪に染められていたという。私はこの話と全く同じ話を、アメリカに赴任したとき、アメリカ駐在では先輩にあたる会社の同僚の奥さんから聞いた。要するに「アメリカでは子供の手を絶対に離してはいけない」という教訓として話してくれたのである。本書によると、この都市伝説は90年代後半にアメリカで作られた有名な都市伝説なのだそうだ。時期も私が聞いた時期とぴったりだ。今でもアメリカの駐在員の社会で語り継がれているのではないかと思うと不思議な気がする。また、私と家族が無事にNY駐在を終えて帰国できたのはこの話を聞いてずっと気をつけてきたおかげだと思っており、この都市伝説のおかげだと思うとこれも不思議な気がする。(「都市伝説の正体」宇佐和通、祥伝社新書)
本書で紹介されている話は、残念ながらほとんどが聞いたことのない話だったが、中に1つだけ、これが都市伝説とは知らずにずっと信じていた話があった。アメリカのショッピングモールで、親がトイレに行っている間に日本人の子供が誘拐され、誘拐犯が子供を連れてショッピングモールを出るところを間一髪で救出されたという話だ。その時、子供の髪がスプレーのインクで金髪に染められていたという。私はこの話と全く同じ話を、アメリカに赴任したとき、アメリカ駐在では先輩にあたる会社の同僚の奥さんから聞いた。要するに「アメリカでは子供の手を絶対に離してはいけない」という教訓として話してくれたのである。本書によると、この都市伝説は90年代後半にアメリカで作られた有名な都市伝説なのだそうだ。時期も私が聞いた時期とぴったりだ。今でもアメリカの駐在員の社会で語り継がれているのではないかと思うと不思議な気がする。また、私と家族が無事にNY駐在を終えて帰国できたのはこの話を聞いてずっと気をつけてきたおかげだと思っており、この都市伝説のおかげだと思うとこれも不思議な気がする。(「都市伝説の正体」宇佐和通、祥伝社新書)
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JAL崩壊 日本航空・グループ2010
JALに関しては、会社更生法申請以後、内幕本・暴露本が何冊もでているようだが、本書もその1つ。内容的には、キャビンアテンダント等の従業員の側からみたJALということで、著者も匿名、最も暴露本と呼ぶのにふさわしい1冊かもしれない。こうした暴露本については、「品がない」とか「せっかくの再生の努力を阻害するものだ」といった批判も可能だろうが、本書を読む限りは、全てを鵜呑みにするかどうかは別として、JALが本当に再生するためにどうしても通らなければいけない試練のようにも思われる。それにしてもこの本に書かれたJALの内情は外部の予想をはるかに超えた惨状だ。特に、JAS(日本エアシステム)との統合後にJAL社内で何が起きたのか、JALの機長という職に対する待遇の異常性などは、まさに信じがたい内容だ。あまりの酷さに、この本だけを読んで果たして公平な判断が可能だろうか、もう1冊別の告発本を読んでみないといけないのではないか、そう思ってしまうほどだ。(「JAL崩壊」日本航空・グループ2010、楽天ブックス)
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グレツキー ゴールドチーム NHL
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アメリカから<自由>が消える 堤未果
ベストセラーとなった「ルポ・貧困大国アメリカ」の著者による「9.11後」のアメリカの「テロとの戦争に名を借りた言論統制や監視の強化」の実相を伝えるルポ。著者の本は「ルポ…」「ルポ…2」に次いで3冊目だが、数多くのインタビューを材料に、それを著者の解説と意見でつないでストーリーを構築、明確なメッセージとして読ませるという、アメリカの新聞等でよく見られる手法は変わらない。アメリカの「貧困」「格差」を追いかけた前作と比べると、語られている内容自体はよく言われていることなので驚きはないが、オバマ大統領になって何が変わり何が変わっていないかが詳細に書かれているのが有難い。小浜大統領になって少しは改善しているのかと思ったが、全くそうでないことが判って驚いた。それから「見えない自由への脅威」に対する抵抗運動のようなものがこちらも「見えない」形で進行しているという最後のところの記述も大変面白かった。(「アメリカから<自由>が消える」堤未果、扶桑社)
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グレツキー キングス移籍 NHL
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本屋大賞 決定 「天地明察」
大賞は冲方丁の「天地明察」、今年は私の予想が当たってしまった。予想を始めて初めてのことだ。今年は、それだけこの本の面白さがずば抜けていたということだと思う。「時代小説」はこれまで受賞したことがないので、難しいかもしれないと思ったが、そうしたハンディを乗り越えての受賞だ。この本の素晴らしさは文字通り「文句のつけようのない面白さ」で「とにかく読めば判る」という感じだ。
これまで大賞を当てたことはなかったが、毎年私が良かったと感じた本は概ね上位にランクされている。今年も私の1,2,3、4位が1,3,5、6位とほぼ上位に入った。やはり自分が面白いと感じる本は、審査員の方々も面白いと思われる、という事実が確認できたように思う。2,4位は「小品すぎる」と感じた作品だった。軽めの作品が上位にくる傾向は、まだあるようだ。
ところで昨日、NHKの「タイムスクープ」という番組で、「天地明察」を意識したような内容の話をやっていた。この本はもう社会現象になりつつあるのだろうか。
これまで大賞を当てたことはなかったが、毎年私が良かったと感じた本は概ね上位にランクされている。今年も私の1,2,3、4位が1,3,5、6位とほぼ上位に入った。やはり自分が面白いと感じる本は、審査員の方々も面白いと思われる、という事実が確認できたように思う。2,4位は「小品すぎる」と感じた作品だった。軽めの作品が上位にくる傾向は、まだあるようだ。
ところで昨日、NHKの「タイムスクープ」という番組で、「天地明察」を意識したような内容の話をやっていた。この本はもう社会現象になりつつあるのだろうか。
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「世界遺産」の真実 佐滝剛弘
「へヴン」の読後感が大変重苦しかったからだと思うが、本屋に行って思わずトピックものの軽い新書を3冊購入してしまった。本書はその中の1冊。いま流行の「ユネスコの世界遺産」について、いろいろな角度から述べられている。私自身も、よく世界遺産のTV番組を見たりするし、どこどこの世界遺産に行きたい、などと思ったりするのだが、実のところ世界遺産がどのような基準で選別され、どのようなプロセスで決まるのか、はほとんど知らなかった。本書を読むと、そのあたりの事情がかなり詳しく書いてあるので、世界遺産の問題を考えるのに非常に有益な情報をたくさん得ることができる。バッキンガム宮殿などのように世界的に有名な建物だが世界遺産に登録されていないものがあったり、逆にシドニーのオペラハウスのようにごく最近の建物なのに登録されているものがあったりで、その基準は大変判りにくい。また、石見銀山が登録されて、平泉の金色堂が登録されなかった、その違いは何かという話も複雑だが面白い。本書を読んでいると、世界遺産に登録されるためには、歴史的なストーリーをどう説明するかが重要な要素になっていることが判る。そういう知識があると、「この世界遺産のストーリーは?」ということを考えながらみることができるので、単に壮大な景色や建造物に感心するだけではない今までと違った見方ができるような気がしてきて、楽しい気分にさせてくれる。(「『世界遺産』の真実」佐滝剛弘、祥伝社新書)
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2010年度本屋大賞予想
2010年の本屋大賞の発表が間近なので、大賞作品の予想を今年も試みることにしたい。但し、これまでの3年間は候補作品を全て読んだ上での予想だったが、今年度は候補作品10編中7編しか読んでいない。今回「候補作品全編を読むこと」を放棄した理由だが、転職、長期休暇で読書の時間があまり取れなかったという面もあるにはあるが、最大の理由は別のところにある(候補作品が発表されてからもそれ以外の本をいくつも読んでいた)。最大の理由は、候補作品のなかにまだ完結していない作品があったからだ。これは、小説はできるだけ完結してから読みたいと思っている人間にはややつらい。そもそも完結していない作品を候補作品=評価の対象とするということ自体、私には違和感がある。そういうことで、「どうせ全編を読まないのであれば…」ということで、心の中に「全編を読む」ことへのこだわりがなくなってしまった。全編を読んでいないので、今回は予想というよりも私の中の人に勧めたい順位ということになった。
(予想)
これまでの傾向でいくと有川浩の「植物図鑑」かもしれないが、わたしの好みからすると以下のような順番になる。
①大賞:冲方丁「天地明察」
新しい才能の発見という意味では、個人的には断然冲方丁の「天地明察」が大賞だと思う。既に有名な作家なので「発見」などというと申し訳ない気がするが、ライトノベル出身の作者が書いた初めての「時代小説」がこれほどまでに面白いとは、という感想を多くの人が持ったに違いない。衝撃度は近年のナンバー1だ。ただ、対象の選考者には女性が多いので、そのあたりで実際の大賞受賞は難しいかもしれない。
②次点:吉田修一「横道世之介」
こちらも、前作「悪人」からの変貌に、個人的には、①と同じくらい大きな衝撃を受けた。読んでいる最中の共感度から言うと、こちらが大賞でもおかしくない。
③第3位:川上未映子「ヘヴン」
大変重いが、いろいろな賞を受けるにふさわしい作品だ。昨年の大賞も重い作品だったので、審査では連続してそういう傾向のものになることを避ける気持ちが働くのではないか。
④第4位小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」
本書を読んだ時は、あまりの素晴らしさに、今年の大賞はこれで決まり、但し、既に受賞したことのある作家なので、そのあたりがどうか、という感じだった。それが①②③を読んで結局4位というところではないかと思う。作者の作品としては「期待通り」ということになる。上記の作品との差は、要するに期待をどれだけ上回ったかということになる。
④第5位:東野圭吾「新参者」
改めて作者の才能に驚かされた。人気作家だけに読みきれないくらいの新作が発行されるなかで、ここまでレベルの高い作品が生まれるとは正直思っていなかった。小さな事件や謎を解明していく短編の連作で、それが最後に1つの大きな謎の解明につながっていくさまが見事だ。それでいて小さな事件の1つ1つが実に味わい深いのが、作者の才能のすごさを見せ付けてくれる。但し、大賞受賞ということになると、「いまさら東野圭吾?」という感じがする。
それ以外では、「神様のカルテ」「神去なあなあ日常」だが、両方とも上記の作品に比べると小品すぎるだろう。
(予想)
これまでの傾向でいくと有川浩の「植物図鑑」かもしれないが、わたしの好みからすると以下のような順番になる。
①大賞:冲方丁「天地明察」
新しい才能の発見という意味では、個人的には断然冲方丁の「天地明察」が大賞だと思う。既に有名な作家なので「発見」などというと申し訳ない気がするが、ライトノベル出身の作者が書いた初めての「時代小説」がこれほどまでに面白いとは、という感想を多くの人が持ったに違いない。衝撃度は近年のナンバー1だ。ただ、対象の選考者には女性が多いので、そのあたりで実際の大賞受賞は難しいかもしれない。
②次点:吉田修一「横道世之介」
こちらも、前作「悪人」からの変貌に、個人的には、①と同じくらい大きな衝撃を受けた。読んでいる最中の共感度から言うと、こちらが大賞でもおかしくない。
③第3位:川上未映子「ヘヴン」
大変重いが、いろいろな賞を受けるにふさわしい作品だ。昨年の大賞も重い作品だったので、審査では連続してそういう傾向のものになることを避ける気持ちが働くのではないか。
④第4位小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」
本書を読んだ時は、あまりの素晴らしさに、今年の大賞はこれで決まり、但し、既に受賞したことのある作家なので、そのあたりがどうか、という感じだった。それが①②③を読んで結局4位というところではないかと思う。作者の作品としては「期待通り」ということになる。上記の作品との差は、要するに期待をどれだけ上回ったかということになる。
④第5位:東野圭吾「新参者」
改めて作者の才能に驚かされた。人気作家だけに読みきれないくらいの新作が発行されるなかで、ここまでレベルの高い作品が生まれるとは正直思っていなかった。小さな事件や謎を解明していく短編の連作で、それが最後に1つの大きな謎の解明につながっていくさまが見事だ。それでいて小さな事件の1つ1つが実に味わい深いのが、作者の才能のすごさを見せ付けてくれる。但し、大賞受賞ということになると、「いまさら東野圭吾?」という感じがする。
それ以外では、「神様のカルテ」「神去なあなあ日常」だが、両方とも上記の作品に比べると小品すぎるだろう。
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ヘヴン 川上未映子
「いじめ」を主題とするこの小説が提起している問題は非常に大きい。我々は「いじめは良くないことである」ということを自明のことと思っているが、それは論理的に説明できることのか、それとも倫理の問題なのか。この小説は、「イジメはよくない」という当然の前提に立ちながらも、この根源的なところを問いかけている。文学の文学たる面目躍如であり、この本が読まれることによっていじめが少しでも減るのであればと願わざるを得ない。しかし残念ながらイジメをする側の人間がこのような本を読むことは現実には少ないだろう。小説を読むような感受性のある人間がイジメをするとは考えにくいからである。そう考えると暗澹たる気持ちにさせられる。ちょうどこの本を読み終えつつあるところで、NHKの作者へのインタビュー番組をやっていた。作者自身の「初めから決め付けるのではなくスクェアな立場からスタートした方が最後は強いものになる」という言葉にこの小説の真骨頂があるのだろう。また番組では、小説の最後の「並木道」のシーンに言及していたが、作者の「並木道の写真を眺めながらこの小説を書いた」という発言には心底感銘を受けた。「たちあがれ日本」ではないが、その言葉を聴いて「たちあがれ文学」という言葉が浮かんできた。文学が現実の世界の問題にもっと積極的にコミットするような動きが強まっていくのかもしれない。(「ヘヴン」川上未映子、講談社)
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ウェイン・グレツキー チームピナクル NHL
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ウェイン・グレツキー パック NHL
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