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オンライン落語 三遊亭白鳥 長講メルヘンもう半分

オンライン落語を観るのはこれで2回目。最初は調子よく観始めることができたが、前振りの後、突然画像と音声が固まってしまってヒヤッとした。数分で回復したが、どうやら発信側の問題だったらしく、こうしたライブ配信による落語にも少し自信がついてきた。内容は、古典怪談話を白鳥師匠が改変したネタ一席と落語評論家との対談の2部構成。笑いは少ないが、聴きどころの多い内容に一応満足。落語の後のトークによれば、無観客なので客いじりができず、どうしても笑いが少なくなってしまうとのこと。その分迫力のある統一感のある世界が続いていて古典落語に近い感じで聞かせる内容だった。前回のオンライン落語もそうだったが個人的にはトークよりももっと落語そのものを聴きたいというのが本音。落語の後のトークが延々と続くので、途中で聴くのをやめてしまった。
《演目》
三遊亭白鳥 メルヘンもう半分
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オンライン落語 白鳥彦いちふたりでオンライン

生まれて初めてのオンライン落語会。事前予約制で、①オンタイムのライブ配信 ②後からいつでも観られるYouTube版の2種類があったが、ちゃんと観られるかどうか心配だったので後者を選択。実際には全く問題なかったので一安心。好きな落語家の話を自宅で寝転びながら鑑賞できるのが嬉しい。3月以降予定していた10件以上の落語会が全部キャンセルになっているが、そのうち振替公演が決まったのは2つだけ。一生懸命手に入れたチケットが一瞬で無効になるという悲しい思いを繰り返してきたが、こういう形で観られるということがわかったので良かった。今回のオンライン落語は、トーク1時間、落語2席で1時間、合わせて2時間という構成。落語は2人の代表作のようなものを一席ずつ。最初だから仕方ないが、次回以降は落語中心だとありがたい。
《演目》
林家彦いち マイナンバー〜お前はもう死んでいる
三遊亭白鳥 豆腐屋ジョニー マロニーでおじゃる
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ラグビーをひもとく リスンイル

ラグビーのルールを、ラグビーという競技の誕生とその後の歴史を紐解きながら緻密かつ楽しく解説してくれる本書。副題は「反則でも笛を吹かない理由」。2016年の刊行とあるので、ちょうど日本代表が南アフリカに劇的な勝利を収めて日本でのラグビー人気が高まった直後に書かれたことになる。いわゆる自分のような「にわかファン」のための貴重な一冊だ。これを読むと、ラグビーのルールについてはとにかく驚かされることが多い。まずラグビーのルールはルールではなくロウ(法)だということ。しかもイギリス独特の慣習法の世界だという。ただし成文化しないと試合にならないので無理やり文章化しているので、見た目が恐ろしく複雑だ。TVで日本代表のラグビー選手が「自分のポジションでないところのルールは完全には理解していない」と言っているのを聞いてビックリしたことがあるが、本書に著者自身「最初にレフリーを務めた頃はルールを完全には理解していなかった」と書いてあってもっとびっくりした。タックルとは何か、オフサイドとは何か、タッチラインとは何か。まず言葉の定義からして恐ろしく複雑で、しかも毎年のように見直されて改訂されているというからレフリーは大変だろう。そもそもラグビーのレフリーは、プレーに関する判定を主な任務とする野球など他のスポーツのアンパイアとは違って、両チームの仲裁役として試合を安全かつスムーズに、かつ楽しくする役割の部分が大きいとのこと。確かに試合を観ていると、レフリーは選手に対して頻繁に声をかけたり色々ジェスチャーで何かを伝えたりしている。とここまで書いてきたが、以上の感想は本書の序章の感想だ。これからが本書の核心部分になるのだが、もう書ききれない。これだけ内容の詰まった新発見だらけの本には久し振りに出会った気がする。(「ラグビーをひもとく」 リスンイル、集英社新書)
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日本文化の核心 松岡正剛

松岡正剛の本を読むのは本当に久しぶり。松岡正剛といえば、我々の世代にとって「知の師匠」ともいうべき憧れの存在で、松岡が勧める本を読んでは友人たちと色々語り合ったりしたのが懐かしい思い出だ。本書の著者紹介をみると、著者の肩書きが「編集工学」研究者となっていてびっくりした。編集工学というジャンル自体聞いたことがなかったが、本書を読んでみると、どうやら「色々な知識を関連づけて描写し、新しい意味づけや価値の創造を行うこと」というもののようだ。これについては、かつて松岡正剛に憧れていたものとしてはやや複雑な心境になる。松岡のように膨大な知識を持っていると、1つのことからそれに関連した事象を見つけ出してきて何かを語るのはある意味かなり容易なことで、いくらでも話を膨らませたり意味づけを示唆したりできてしまうだろう。膨大な知識の利用方法としてそれだけで良いのかという気がどうしてもしてしまう。本書にしても、日本文化の特性について数え切れないくらいの新しい視点を紹介してくれていてその点は文句ナシなのだが、それが彼の知識の到達点なのだろうか。もちろん本書は彼以外には書けないものだろうからそれが本書の価値を貶めるものでは全くないことを頭では理解しつつ、読んでいてずっとそう感じてしまった。(「日本文化の核心」 松岡正剛、講談社現代新書)
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あなたの人生の物語 テッドチャン

現代SF作家テッドチャンの短編集。著者の作品は先日読んだ「息吹」に次いで2冊目。この作家の最大の魅力は、1つのアイデアをとことん突き詰めて考察し、それを全く別のストーリーの中に落とし込み、見事な「if」を作り出す技だと改めて感じた。巻末の著者自身の作品に対するコメントでも、著作の原動力について、きっかけとなるアイデアとそれを最大限生かすストーリーの2つが揃った時に作品が出来上がるというようなことが再三述べられている。表題作では、「光は水に入るとなぜ到達まで最小時間になるように屈折するのか?」という問いと、異星人とのファーストコンタクトというテーマが融合した信じられないほど奇想天外な「if」が展開する。前作もそうだったが、著者の作品には緻密な想像力が散りばめられていて圧倒されるし、SFというジャンルの奥深さを感じさせる。(あなたの人生の物語」 テッドチャン、ハヤカワ文庫)
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焼き鳥の丸かじり 東海林さだお

丸かじりシリーズの文庫最新刊。本書は巻末の解説によると文庫版の第40巻目とのこと。このブログを始めてから13年になるが、数えてみたら本書が10冊目、それ以前にも随分読んでいるはずなので、多分40冊のうち既読は20〜25冊くらいだと思う。前にも書いたが、このシリーズ、最近どんどん面白くなってきているというか、自分の好みに合うものが多くなってきている気がする。このシリーズの内容には、珍しい料理や食材の食レポ、こんなものを作って食べてみたという体験レポ、食材や料理法についてじっくり考えてみたなど、いくつかのパターンがあるが、最近は「じっくり考えてみた」の傑作が多くなっている気がする。本作では、「焼き鳥屋の串外し問題」「脂身食いたい」「食べる妖怪ピータン」「台所トントンからチンへ」などが印象深かった。(「焼き鳥の丸かじり」 東海林さだお、文春文庫)
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青ノ果テ 伊与原新

宮沢賢治については依然として謎の部分が多いようで、作品に描かれた場所、登場人物、時代背景などに決着していない色々な論争があるらしい。本書は、そうした宮沢賢治を巡る様々な謎を絡めて描かれた高校生の青春物語だ。宮沢賢治ゆかりの高校に、風の又三郎を彷彿とさせる謎めいた転校生が来るところから物語は始まる。ただの転校生でないことは読者にもわかるのだが、転校してきた理由などが分からないまま、ある事件が勃発。そこまでが前半部分で、後半は高校生3人の宮沢賢治ゆかりの場所を巡る青春ロードノベルに。最終的に明かされる真実は、やや宮沢賢治に関する論争に引きずられすぎている感もあるが、登場人物の心の内の緻密な描写に圧倒されるまま大団円。特に宮沢賢治に思い入れのない自分にも、その感動は十分に伝わった。(「青ノ果テ」 伊与原新、新潮文庫)
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トランプのアメリカに住む 吉見俊哉

トランプ政権下のアメリカに一年間滞在した社会学者が現地で見聞きしたアメリカの社会情勢に関する論文集。テーマは、ネット社会、愛国主義、パワハラ、銃規制、アメリカン・ドリーム、北朝鮮問題などだが、いずれも表層的な変化から深層の動きを読み取ろうとする学者らしい文章が並んでいる。本書にはそうしたトピック的なテーマ以外に、著者の職場である日本の大学と客員で招かれたアメリカの大学の日米比較、NAFTA締結という変化に揺れるにメキシコの苦悩等、トランプ大統領とは直接関係のない章も掲載されていて、多面的に著者の考えが浮かび上がるように工夫されている。特に面白かったのは、「貧しいけど逞しい」アメリカン・ドリームの変質を分析した章、メキシコの内乱を扱った2つの章で、こんなことがあるのか、あるいはあったのかという気付きの多い内容だった。(「トランプのアメリカに住む」 吉見俊哉、岩波新書)
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