これは(私にとってだけかも知れないが)少し謎の多いコレクティブルである。表の図柄は1959年のワールド・シリーズの時のもので、シリーズの趨勢を決定づけた有名なシーンであるらしい。また、59年のワールド・シリーズがどのようなシリーズであったかは、ネットでみることもできるし、このカードの裏面に印刷された内容からある程度知ることができる。それらによると、この年のワールドシリーズはドジャースVSホワイトソックスの組み合わせで4勝2敗でドジャースが世界一に輝いたということは判る。しかし、このカードにサインした選手が誰なのかが、私にはよくわからないのだ。
この図柄にサインをするのだから、ドジャースの一員であることは間違いないと思う。また、試合中の1シーンが図柄になっているのだから、シリーズの流れを決定づけたような重要な出来事に関係した選手のサインであることも想像がつくのだが、スペルを見ても誰のサインだか全然判らないのである。
このカードは「バイバック」といって、既にかなり前に製造・販売されて市中に出回っているものを製造業者が買い戻し、そこに選手にサインをしてもらってふたたび売り出すというコレクティブルの1種だ。なぜそのようなことをするかというと、最初に製造・販売した時にはカードにサインをしてもらって売り出すという発想がなく、その後そうしたコレクティブルがあればいいのにということになったということだろう。この図柄の既存カードにこれと同じサインが書かれたものをアメリカの雑誌で見たことがあるので、私の持っているものも偽物ではないと思われるし、いろいろ調べても判らない選手のサインだから、偽物を作るほど高価なものであるとも思われない。結局未だに誰のサインなのか判らないのである。誰のものか判らないまま所有し続けているサインというのは、私のコレクションではこの1枚だけである。