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君に読ませたいミステリーがあるんだ 東川篤哉

高校の文芸部の部長が自作のミステリーを入部候補の後輩に披露していくという形の連作ミステリー短編集。高校生の書いたミステリー作品ということで色々と欠陥があるのだが、読者はそれもひっくるめて楽しむという洒落た作りになっている。帯には、連作全体に仕掛けられた「驚愕の罠」といった文言があり、それも楽しみのひとつとなっている。話の内容からして、このままのシチュエーションでの続編はありそうにないが、別の形で主人公とその後輩が登場することはあるかもしれない。(「君に読ませたいミステリーがあるんだ」 東川篤哉、実業之日本社)
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オンライン落語 三遊亭白鳥 鬼コロ沢女芸人バージョン

三遊亭白鳥の改変古典落語の長講一席とトークの会をオンラインで視聴。今回は、落語も面白かったが、その前後のトークもとても面白かった。落語の方は、20年前に作った話をコロナ禍で時間のあるときに練り直したとのことで、どんどん引き込まれていき、時間の経つのを忘れて聞き入ってしまった。トークでは、女流落語家論や新作落語創作の舞台裏などが面白かった。聞く方もようやくオンライン視聴に慣れてきた感じだが、だんだん各地での公演や寄席のトリなども再開になり忙しくなってきたようで、はっきりした次回の予告がなかったのが残念。これからもオンライン配信を続けて欲しい。
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番号は謎 佐藤健太郎

郵便番号、電話番号、スポーツ選手の背番号、自動車のナンバープレート等、生活の中でよく目にする様々な数字の意味や裏に隠された歴史、変遷などを片っ端から教えてくれる一冊。番号には識別、分類、順番などの意味があるという基本的なところからすでに面白いのだが、この本の真骨頂はよく知られた話のその先にあるところまで教えてくれることだ。「ベートーヴェンの第九の呪い」とか「元素番号の周期律表」などは基本的に知っていると思っていたが、その先に色々面白い変遷があったことは初耳だった。また、「郵便番号はなぜ東京が1で始まるのか?」「紙の大きさを表すAとかB、A3とかA4とかの数字は何を表しているのか?」といった話は全く知らなかったので面白かった。とにかくよくぞここまで色々調べてくれてありがとう言いたいというのが読後の感想。著者自身のあとがきに、自身は数字好きでもなんでもなく国道マニアだそうで、もう数字について調べるのはうんざりと書いてあって笑ってしまった。(「番号は謎」 佐藤健太郎、新潮新書)
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オンライン落語 白鳥彦いち二人会(5)

オンライン配信で見始めた白鳥彦いち二人会の5回目で一応皆勤賞。今回が一応シーズン1の最終回とのこと。1人一席ずつの新作落語で、両方とも初めて聴くお話。年明けにもシーズン2開幕とのお話もあり、今から楽しみだ。オンライン落語は、販売数の上限があるのかもしれないが、今のところ希望したものは全て購入できていてチケットを買えるかどうかの不確定要素が小さいのと、アーカイブで観れば予定が合わないということも回避できるのが嬉しい。
①彦いち 愛宕川
②白鳥 千葉棒鱈
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落語 粋歌ヨコハマサロン

三遊亭粋歌の独演会。彼女の落語を生で観るのは3回目だが、毎回本当に面白いし上手いしすごいなぁと感心してしまう。今回は古典落語一席と新作落語二席。新作のうちのひとつ目の「陰の人事課」は彼女自身の作品で、それを作った時の説明があって、新作落語ってこうしてできるものなんだということが分かって面白かった。ふたつ目の「あや姫伝説」は、三遊亭白鳥のシリーズ作品の第六話だが、完全に自分のものにしているというか、彼女のために書かれた話のようにすら思える会心の一席。11月には新作ハイカラ通り優勝者としての独演会があるが、今から楽しみだ。
①真田小僧
②陰の人事課
③落語の仮面第六話(あや姫伝説)
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カラス屋、カラスを食べる 松原始

 著者の本は2冊目。鳥類学者の本と言えば川上和人の本が面白くて何冊か読んでいるが、川上和人に限らず何故か鳥類学者の書いた本は面白いという説を聞いて読んだ一冊目がその通りに面白かったので、もう一冊読むことにした。本書には、著者の大学院生時代の体験が主に書かれていて、大半は著者の専門である鳥やカラスとは関係ない内容なのだが、確かに面白い。本書を読んで思ったのだが、鳥をはじめとする動物行動学のフィールドワークは、本当に地道な作業が多く、本書によれば1日大変な苦労をしてその日の成果が「鳥のフン1個」ということも珍しくないらしい。こうした作業を行う時に、その作業を少しでも楽しくするために、色々なものにあだ名をつけたり、対象となる動物を擬人化したり、勝手な妄想を楽しんだりということなのだろう。厳しい研究をユーモアで乗り切る姿勢が染みついているのでその文章も自然と面白くなるということではないかと思った。本書のなかでは、クマタカのアセスメント調査のところで、クマタカの生息が確認されると開発が中断になるのは、クマタカを保護するためというより、クマタカが生息できるような希少で豊かな自然を守るためという記述になるほだなぁと感心してしまった。(「カラス屋、カラスを食べる」 松原始、幻冬舎新書)
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パフォーマンス ダメじゃん小出の黒く塗れ vol41

大好きな「ダメじゃん小出」を観られる日がようやく戻ってきたというのが偽りのない感想。昼夜2回公演の昼の部を観たが、根強いファンが多いからだろう、完売御礼の様子。初めて観る中国人演芸実習生ネタ、コロナ禍の自身の体験談、少し鉄道ネタを織り込んだニュース解説などを2時間たっぷりと堪能した。それにしても、瞬時に中国人になったり安倍首相になったり天気予報士になったりというモノマネの面白さ、社会風刺の質の高さには本当に舌を巻く。再来月には大きなホールでの公演も予定されているとのこと、チケットが取れるか心配だ。
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法廷遊戯 五十嵐律人

こんなに面白い法廷ミステリーは初めてというのが正直な感想。第1部のラストに仰天し、その後もミステリーの謎の核心となる登場人物達の秘めた想いが全く予想できぬまま、最後にその真相が明かされた時の衝撃。とにかくすごいなぁと思いながら読み終えた。随所に出てくる登場人物たちの法律家ならではの思考法には目から鱗だし、司法の仕組みのさりげない解説もそういうことだったのかと驚きの連続。著者はこの作品がデビュー作の新人作家で、司法研修生と作家の二足のわらじとのこと。何年でも待つので是非次の作品を読んでみたいと思った。(「法廷遊戯」 五十嵐律人、講談社)
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お笑い 山田君と竹田君35周年+1

昔よくTVに出ていたコントの山田君と竹田君と中心とする演芸会。漫談のねづっちが出演するというので観に行ってきた。コロナ禍なので一つ飛ばしの座席指定で後ろ3列を残して8割くらいの入り。5組が登場、コント、漫才、動物モノマネ、歌謡モノマネ、漫談と色々なジャンルが見られてとても面白かった。コントはどこまでが即興でどこまでがシナリオ通りなのかわからないほど脱線の連続で、流石の年季を感じるお笑い。お目当てのねづっちは、お題をもらって即興でやっているのを生で確認、やっぱりすごいなぁと感心した。
コント 山田君と竹田君
漫才 おせつときょうた
動物モノマネ 江戸家小猫
歌謡モノマネ 俵山栄子
漫談 ねづっち
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万能鑑定士Qの事件簿0 松岡圭祐

全12巻で終了したと思っていたシリーズの最新刊。シリーズ開始10周年の記念出版とのこと。この機会にこのシリーズを全部読んでいるかどうか確認したところ、正規のシリーズ12巻に加えて短編集なども含めて全部読んでいることがわかった。これだけ飽きずに読ませるというだけでもすごいことだと思う。本書では、主人公がバンクシー、漢委奴国王印に関わる事件を通じて「万能鑑定士」の肩書を堂々と名乗るようになった経緯を扱っていて、ちょうどこれまでの作品の語られていなかった部分を補う内容だ。もしかしたら新しいシリーズ再開ということもありうる気がして、そうなったらまた読むんだろうなぁと思ってしまった。(「万能鑑定士Qの事件簿0」 松岡圭祐、角川文庫)
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マカロンはマカロン 近藤史恵

フレンチを出すビストロの若いギャルソンが語り手でその店のシェフが探偵という設定のシリーズ第3作目。シェフが店を訪れた客のちょっとした言動の謎をフレンチの知識を駆使して解明、それによって若いギャルソンがフレンチの知識、接客における大切なことなどを学んでいくというとても分かりやすいお仕事ミステリーだ。あとがきを読むと、第4作目となる続編はコロナ禍で休業を余儀なくされたビストロが舞台になるとのこと。まだコロナ禍以降の日常生活の変化を取り入れた小説は読んだことがないし、それをどう著者が料理してくれるのか楽しみだ。(「マカロンはマカロン」 近藤史恵、文春文庫)
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コロナ後の世界 大野和基編

世界中で読まれた本を執筆した知識人に「コロナ後の世界」について聞いた内容を集めた一冊。世界経済の行く末、AI
の将来、人間のキャリア形成のあり方、世界的企業の勢力図の変化など、それぞれの知識人が自分の分野に引き寄せてコロナ禍の影響を語る。通読した限りでは、コロナ禍を単に自分の未来予想図の補完材料のように捉えて自説を語るだけの内容だったり、コロナ禍が思いもしなかった変化をもたらすと自説を素直に見つめ直したりと、一編一編は玉石混淆のように思える。中でも面白かったのが、コロナ禍によって改めてその危険性を浮き彫りにした「規制のないAI」開発への憂慮、コロナ禍によるGAFA を中心とした世界的企業の勢力図の変化についての意見の2つ。世界はもうそんなことになっていたんだという驚きの内容だった。(「コロナ後の世界」 大野和基編、文春新書)
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オンライン落語 白鳥彦いち二人会(4)

三遊亭白鳥林家彦いち二人会の第4回目。第1回から全部見ているがそれぞれの回で新作落語の色々な楽しさを満喫、今回も期待通りの楽しさだった。当初はどちらかというと白鳥の話を聴きたくて申し込んでいたのだが、回を重ねるにつれて彦いちの話の面白さに圧倒されてきた感じだ。最後のところで、次回9月27日が5回目でシーズン1終了との告知があったが、是非シーズン2をやってもらいたい。
◯三遊亭白鳥 真夏のおでん屋
◯三遊亭白鳥 老人前座じじ太郎
◯林家彦いち 題名不明
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教養として学んでおきたいビートルズ 里中哲彦

題名通り、ビートルズに関するあれこれを、ビートルズ誕生までの経緯、4人の個性、関わったメンバー以外の人々、ビートルズの音楽シーンでの足跡という4つの視点から分かりやすく解説してくれる一冊。自分自身、ビートルズのレコードは全部買って聴いていたしビートルズに関する情報は折に触れて色々な媒体で見聞きしてきたので、取り立ててびっくりするような話は出てこないが、それでも改めてまとまった形で読むと色々な発見がある。また、ビートルズが誕生したリバプールという町の特殊性、エルビスプレスリーの兵役入隊を始めとするロック界の真空状態という状況でのビートルズの躍進、、ビートルズという名前の由来などは初めて知ることができてとても面白かった。今の若い人たちがビートルズをどのように聴いてどのように感じているのか、その辺りをもっと知りたくなった。(「教養として学んでおきたいビートルズ」 里中哲彦、マイナビ新書)
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