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Future Watch 書評、その他
リチャード・ニクソン サイン アメリカ大統領
ニクソン大統領のサインは、ある意味で、私のサイン・コレクションの原点ともいうべきものだ。入手した順番から言うと最初に入手した大物サインは「サッチャー首相」のサインなので、こちらを原点というのがふさわしいのだが、私に「サイン」というものに対する興味を持たせてくれたのがニクソン大統領のサインだ。本の題名は忘れてしまったが、昔読んだある本のなかで、ニクソン大統領のサインの変遷が写真入りで紹介されていた。その写真では、大統領就任当時のサインははっきりニクソンと読める実に堂々としたサインだったのだが、ウォーターゲート事件後、全く別人のもののようにミミズが一匹這っているようで全く文字かどうかも判らない奇妙なサインに変わってしまっていた。あまりにも激しいサインの変化に驚くと同時に、サインが人の心をいかに反映したものであるかを実感した。そのサインの変化は、ウォーターゲート事件によるニクソン大統領の心の退廃、周りの人々への疑心暗鬼によるものだったのである。その後、サインを集めるようになったが、ずっとそのニクソンのサインの異様な変化ぶりが頭から離れなかった。
このニクソン大統領のサインは実に穏やかなサインである。書かれた時期ははっきりとはしないが、引退後しばらく経ってからのものか、大統領になる前のものかどちらかだと思われる。大統領になったばかりの堂々としたものでもないし、ウォーターゲート事件の頃の奇妙なサインでもない。おそらく大統領弾劾・辞任という激動を経て、完全に政界から引退、ようやく心の安寧を得た頃のサインではないかと思う。このサインは、いろいろな意味で私の本当の「宝物」である。
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ジョニー・ベンチ ユニフォーム MLB
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ブレイズメス1988 海堂尊
本書が「ブラックペアン」の続編であることは読み始めた段階では気づかなかったのだが、主人公の「世良」という名前が何となく記憶があったのと、佐伯、高階、桐生といったこれまでの著者の本にでてきた記憶がある名前がそこかしこにでてくるので、本箱を調べてみて合点がいった。本の装丁も一緒で、内容も「ブラックペアン1988」の2年後という想定である。「ブラックペアン」の続編ということは、「バチスタ」シリーズとも深い関係がある。本書の主人公の「世良」は、「バチスタ」の主人公「田口医師」の指導医、「ジェネラル・ルージュ」の速水医師の指導医でもある。高階医師は当然「バチスタ」の高階病院長だし、藤原看護師はあの藤原さんだ。そして、バチスタ手術の名手「桐生医師」も本書で1回だけちらりと出てくる。そこまで判ると「バチスタ」ファンにはそれだけで嬉しくなる。こうしたことをすぐに思い出せなかったのは、私の記憶力の問題もあるのだろうが、著者の作品を沢山読みすぎていること、そしてそれらの本の時系列がいろいろ前後していることなども原因としてあるような気がする。
話は、ある天才心臓外科医が日本の学会で初めて「公開手術」を行うという「事件」を通して、医療という社会の問題点とそれが少しずつ変わっていくかもしれないという希望を描いた小説である。ストーリーの95%以上が、どのようにしてその「公開手術」が企画され、どのような準備されたかであり、「公開手術」後の話は5%にも満たない。それでいながら、何故こんなに面白いのか不思議なくらい面白い。面白さから言うと、これまで読んだ著者の本のベスト5に入るくらいの感じだ。
本シリーズは、バチスタシリーズの約20年前の世界が描かれている。この2つのシリーズがこれからどのように繋がっていくのか、それが楽しみだ。それにしても、本書で出てきた「ハート・センター」はこの後どうなったのだろう。バチスタシリーズの既刊本のなかですでに描かれているのかもしれないが、昔読んだ本を調べるのも面倒だし、そのあたりは本書の続編を待っていれば良いようにも思える。著者の筆の速さ、新刊がでるスピードには驚かされるが、色々な本のつながりを早く知りたい読者には有難いことだ。(「ブレイズメス1990」海堂尊、講談社)
話は、ある天才心臓外科医が日本の学会で初めて「公開手術」を行うという「事件」を通して、医療という社会の問題点とそれが少しずつ変わっていくかもしれないという希望を描いた小説である。ストーリーの95%以上が、どのようにしてその「公開手術」が企画され、どのような準備されたかであり、「公開手術」後の話は5%にも満たない。それでいながら、何故こんなに面白いのか不思議なくらい面白い。面白さから言うと、これまで読んだ著者の本のベスト5に入るくらいの感じだ。
本シリーズは、バチスタシリーズの約20年前の世界が描かれている。この2つのシリーズがこれからどのように繋がっていくのか、それが楽しみだ。それにしても、本書で出てきた「ハート・センター」はこの後どうなったのだろう。バチスタシリーズの既刊本のなかですでに描かれているのかもしれないが、昔読んだ本を調べるのも面倒だし、そのあたりは本書の続編を待っていれば良いようにも思える。著者の筆の速さ、新刊がでるスピードには驚かされるが、色々な本のつながりを早く知りたい読者には有難いことだ。(「ブレイズメス1990」海堂尊、講談社)
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ミコ・エロランタ サイン NHL
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他人事 平山夢明
著者の本はこれで3冊目だと思うが、数年前に話題になった「横メルカトール…」は、こんな小説があったのかと驚いたのを記憶している。読んだ著者の本は全て短編集だが、1つの短編集のなかでも、好みにあう作品とそうでない作品の差が激しいというのが、これまでの2冊の共通した印象だった。本書も同様に、面白い作品と良くわけの判らない作品が混在している。ただし、それは作品の出来不出来とは全く関係ないことのようだ。「あとがき」の著者が「面白い」「傑作」と強調している作品はどこが面白いのか判らないし、逆にあとがきでさらりとしか触れていない作品の方が、断然面白かったりする。要するに好みの問題なのだろうが、作者自身も、全ての人に面白いと思ってもらおうとか、1人の人に全て面白いと思ってもらおうという気はないのだろう。そもそもこの本自体、他の人に勧めてよいものか大いに迷うところだ。(「他人事」平山夢明、集英社文庫)
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露の玉垣 乙川優三郎
江戸時代の弱小藩の家臣の日常を史実に沿いながら書かれた時代小説。派手な事件もないし、飛びぬけた活躍をするヒーローもいないが、多くの社会的な制約のなかで武士としての矜持を守ろうと健気に戦う人々を追いかける目が素晴らしい。彼らの戦う相手は、人間ではなく、貧困と自然災害の2つである。家老といった藩の中枢を担う武士が藩全体を覆う貧困と戦う様は強烈であり、今までの時代小説では全く描かれていなかったものだ。この話のモデルとなったのは「新発田」という実在の藩であり、弱小の外様大名でありながら、江戸260年間を生き残った稀有な藩だという。貧困に苦しむ藩を守るためにそれぞれの家臣が取った行動が読む人の心を揺さぶる。これまでに読んだことのないような視点の本書を読んで、時代小説の幅の広さに改めて感じ入った。(「露の玉垣」乙川優三郎、新潮文庫)
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ダラス・ドレイク サイン NHL
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カム・ニーリー サイン NHL
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Another 綾辻行人
新本格派の大御所である著者が新境地を拓いたという謳い文句のミステリー・ホラー小説。著者が3年がかりで完成させた700ページの大部だが、一気読みしてしまった。
内容は正に稀代のストーリーテラーの本領発揮というところだが、多少「?」というところがなくもない。話の展開として、主人公が最初に「ある事実」を知らない、誰からも知らされない、という点がその後の話の展開の大きな鍵となるのだが、どうして知らされないのか少し不思議な気がする。また、事件解決の糸口となるある人物が残した証拠品についても、何故彼だけそうした証拠が残せたのか、説明はあるものの、どうももご都合主義的過ぎる気がする。全て架空の物語なのだから、そうであっても許されないことはないのだが、著者の筆力にどんどん納得させられて、どんどん話が進んでいってしまう。著者が最後の最後に用意してくれている「驚愕の事実」は、よく考えると大きなストーリーにはあまり関係なく、別にそうでなくても成り立つ話なのだが、いかにも著者の読者へのプレゼントという感じで大変嬉しい。もう今さら「新本格」でもあるまいと思っている読者にとって、著者の新境地としてこれからこういう路線の作品が出てくるのであれば、本当に喜ばしいこととだと思う。
なお、本書が持ち運びに困るほど分厚いのは、読者に一気読みしてもらうための出版社の作戦なのだろう。実際私も一気読みしてしまったのだが、一気読みにするにしても、これだけ厚い本は勘弁してほしい。値段が高くなってしまっては困るが、できれば上下2巻にしてほしいというのが本音だ。(「Another」綾辻行人、角川書店)
内容は正に稀代のストーリーテラーの本領発揮というところだが、多少「?」というところがなくもない。話の展開として、主人公が最初に「ある事実」を知らない、誰からも知らされない、という点がその後の話の展開の大きな鍵となるのだが、どうして知らされないのか少し不思議な気がする。また、事件解決の糸口となるある人物が残した証拠品についても、何故彼だけそうした証拠が残せたのか、説明はあるものの、どうももご都合主義的過ぎる気がする。全て架空の物語なのだから、そうであっても許されないことはないのだが、著者の筆力にどんどん納得させられて、どんどん話が進んでいってしまう。著者が最後の最後に用意してくれている「驚愕の事実」は、よく考えると大きなストーリーにはあまり関係なく、別にそうでなくても成り立つ話なのだが、いかにも著者の読者へのプレゼントという感じで大変嬉しい。もう今さら「新本格」でもあるまいと思っている読者にとって、著者の新境地としてこれからこういう路線の作品が出てくるのであれば、本当に喜ばしいこととだと思う。
なお、本書が持ち運びに困るほど分厚いのは、読者に一気読みしてもらうための出版社の作戦なのだろう。実際私も一気読みしてしまったのだが、一気読みにするにしても、これだけ厚い本は勘弁してほしい。値段が高くなってしまっては困るが、できれば上下2巻にしてほしいというのが本音だ。(「Another」綾辻行人、角川書店)
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ブレント・ソーペル サイン NHL
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夜明けの街で 東野圭吾
最近の著者については、新しい作品が次々に刊行されるので、粗雑な作りで量産しているのではないかとつい思ってしまうが、本書などを読むとそれが間違いだとはっきり判る。確かに練りに練った緻密なストーリーではなく、始めから終わりまで一直線の展開だが、粗雑な感じは全くないし、かつ面白い。また、読んでいて淀むところがなく、ストーリー全体のスピード感もちょうど良い。本を読んでいると大抵の本は「まだるっこしい」か「書き急いでいる」のどちらかであることがほとんどなのだが、本書にはそれが全くない。さらに、読み終えて振り返ってみると、登場人物にせよ、ストーリー展開にせよ、ぜんぜん無駄がなかったことにも気付かされる。ミステリーとしての面白さで言うと、「容疑者X…」などの代表作には及ばないだろうが、次の傑作はこうした作品のなかから生まれるということは間違いない気がする。(「夜明けの街で」東野圭吾、角川文庫)
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ウラジミール・マラコフ サイン NHL
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ダーウィンの夢 渡辺政隆
バージェス頁岩動物群に関する本だと思って読んだのだが、本書はそれよりもはるかにスケールの大きい生命の進化の歴史を眺望する本だった。バージェス動物群に関する記述はごくわずかなのだが、それで「はずれ」だと思ったかというと、全く逆で、本書を読んで本当に良かったというのが現在の感想だ。例えば、本書では、カンブリア紀の生命の爆発の原因について2つの説が提示されているが、そのうちの「視覚を手に入れた動物の出現が生物間の生存競争の前提を大きく変えてしまった」という説は、初めて聞いた話で大変面白かった。また、恐竜の大絶滅以外の大絶滅の話も、初めて知った事実が多く、面白かった。さらに、本書を読んで驚いたのが、本書の著者がバージェス動物群に関する古典的名著スティーブン・ジェイ・グールドの「ワンダフル・ライフ」の翻訳者だったということだ。「ワンダフル‥」の面白さはこのブログでも書いたが、本書は、「ワンダフル…」を読んだ後に読む本として最適な本のような気がする。「ワンダフル‥」でバージェス動物群のすごさを知り、本書でその歴史全体の中の意義を考えられるからだ。文体は、福岡伸一の本のリリシズムが好きな読者には、抑制的な文体がやや物足りない感じがするが、充実した内容の確かさがそれを十分カバーしている。(「ダーウィンの夢」渡辺政隆、光文社新書)
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怖い絵(3) 中野京子
新書版を入れて、同シリーズの4冊目。ますます「怖い絵」は絶好調である。前回「絵の怖さにはいろいろある」と書いたが、本書に納められた絵の場合は、近代以前の「生きていくことそのものの怖さ」を反映したようなものが多いような気がした。要するに、近世以前の人間は、突然降りかかってくる自然災害の脅威に怯え、原因不明の疫病に怯え、魔女狩りのような理不尽な社会の営みに怯え、夜にはちゃんと明日が来るのかどうかさえ定かでない状況のなかで暮らしていたのだろう。そうした様々な恐怖と隣り合わせの日常の中で作成された絵も、自然とそれらを意識した「怖さ」を表現したものになる。そんな絵ばかりが並んでいる。本書の中では「皇女ソフィア」の項目で、ソフィアを監視する衛兵の視点で書かれた描写が抜群に面白かった。あとがきに著者自らが本書のことを「完結編」と呼んでいるので、もう続編4,5,6はないのだろうか。そんなこといわずに是非書いて欲しいと多くの読者が思っていることだろう。(「怖い絵(3)」中野京子、朝日出版社)
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ジミー・カーター サイン アメリカ大統領
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