書評、その他
Future Watch 書評、その他
月刊ワンコイデ11
今日のテーマは事前告知では「絶滅危惧種」とのことだったが、実際の内容はダメじゃん小出の近況報告。まずは最近長野電鉄で走っている絶滅危惧種とも言える鉄道車両に会いに行ったという話で、長野電鉄にはリタイアした日比谷線3000系、東急8500系、初代成田エクスプレスといった古い電車がマッコウクジラとかスノーモンキーという愛称で現役で活躍中とのこと。続いて「絶滅危惧種」とは関係ない最近宣材写真を撮り直したという話。何となく面白く聞いているうちに今回もあっという間の30分だった。
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オンライン講義 火星について
いつもの天文学入門の時間帯で「火星」についての講義を視聴。まず火星の基本知識としては、地球型惑星の1つで太陽からの距離が地球の1.5倍、太陽から受け取るエネルギー放射が地球の40%程度、半径は地球の半分で質量が地球の10%、質量が小さいために地表や大気には水がほとんど存在しない(大気の大半は二酸化炭素)、地表の平均気温マイナス60℃、衛星はフォボスとダイモスの2つ、など。続いて1960年代から現在までの火星探査の歴史。火星探査機の着陸に成功したのはロシア、アメリカ、中国の3か国による11回で、最新のものは2021年2月アメリカのMars2020という探査機が地形や岩石の調査、古代生命の痕跡調査などを実施。日本も1998年に探査機「のぞみ」を打ち上げたが水力不足などで失敗したとのこと。但し2024年には日本のJAXAによる「MMX」というフォボスに着陸してサンプルを持ち帰る計画が進行中で、これが成功すると世界初の火星由来の物質の持ち帰りという快挙達成になるという。火星についてはまだ謎が多く、昔あった大気や磁場が今ないのは何故か、昔あった水はどこにいったのか(蒸発して大気外?氷になって地下へ?)、この2つが特に大きな謎で、色々仮説はあるが決定的な証拠がないらしい。
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どうしても頑張れない人たち 宮口幸治
去年読んだベストセラー「ケーキの切れない非行少年たち」の続編。前作は非行少年たちの非行行動と彼らの認知能力の関係性を指摘した内容だったが、今作は彼らとどう接したりどう支援していけば良いかというより実践的な問題を扱っている。彼らは「怠けて頑張らない」のではなく「頑張れない」「頑張る方法が分からない」のであり、彼らへの対処として「頑張れば報われる」と励ますのは支援にならないし、「頑張らなくていい」という言葉も彼らには届かない恐れがある、そうした認識をしっかり頭に入れた上で個別のケース毎に対応を考えるしかないということだろう。自分を含めて多くの人にはそうした支援が必要な人が近くにはいないし関わらないようにしようと思えばそうできてしまうのだが、「支援したいと思えないような人ほど本当は支援が必要」という著者の考えには心を打たれた。(「どうしても頑張れない人たち」 宮口幸治、新潮新書)
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金正恩と金与正 牧野愛博
最近の北朝鮮について様々な観点から解説してくれる一冊。今年初めにアメリカのバイデン新大統領が北朝鮮に対する基本政策を公表。それに対して沈黙を続けていた北朝鮮だったが、本書を読んでいたらちょうどTVで、金正恩がアメリカの北朝鮮政策に対するコメントを出したというニュースが流れていた。本書は5月下旬の情報まで書かれていて、現在進行形の出来事とドンピシャリと繋がる一冊。ここまでタイミングの良い本は、フットワークの軽さが信条の新書でもなかなかないと感心した。内容も豊富で、金正恩の妹の金与正が降格になった背景、異母兄弟金正男暗殺事件の顛末、戦略的忍耐を掲げたオバマ政権や北朝鮮との一括交渉を目論んだトランプ政権が何を読み違えたのか、今年1月に5年振りに開催された党大会で分かったことなどなど、知らなかった話が次々に書かれていてとにかくためになった。なかでも一番ショックだったのは、すでに北朝鮮が日本を標的にした核攻撃の準備を完全に完了しているという話。韓国や中国とギクシャクしている場合ではないと、とても心配になった。(「金正恩と金与正」 牧野愛博、文春新書)
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オンライン落語 三遊亭白鳥独演会
今年の3月のSWA公演でネタおろししたという演目「桜の夜」の再演をオンラインで視聴。内容は1時間を超える長講一席とコーディネーター広瀬氏とのトークの二本立て。「桜の夜」は、白鳥師匠自身が「私小説落語」と命名する通り、新潟から上京してから創作落語の第一人者としての地位を確立するまでの紆余曲折やコロナ禍の落語家としての苦労などを織り込んだ一席で、中学生の自分、現在の自分、10年後の自分が登場する内容。人情噺的な作品だが、創作落語の第一人者として自分の作品を後世に残したいという強い思いが伝わってくる熱演だった。後半のトークでは、広瀬氏がその思いの原動力になった出来事や背景などを上手に引き出してくれていて面白かった。
(演目)
桜の夜
(演目)
桜の夜
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オンライン講義 宇宙論18
今日のテーマは「統一理論」について。「統一理論」という言葉についてのこちらの事前知識は、アインシュタインとその後の研究者が相対性理論と量子力学を統一しようと試みているがまだ未完成だということを昔本で読んだことがある程度で、それと今回のテーマである「統一理論」が同じものであるかどうかすら分からない状況。少し前に、自分が思っていたビッグバンが今使われているビッグバンと全く違うということを聞かされて驚いたが、今回もそんなことになるかもしれないと覚悟して聞いた。講義では、統一理論とは何か、現時点でどこまで研究が進んでいるか、統一させることの意義と障壁などを順番に解説してもらえたら。統一理論とは、重力,強い力,弱い力,電磁力の4つを統一させること(それぞれ違うようだが測る物差しや見方が違うだけで元々は一緒と言えるような理論)で、いまのところ電磁力と弱い力の統一理論は完成済み(電弱統一理論)、その2つと強い力の3つも実験的な証拠はないものの「素粒子標準模型」という理論が示されていて、残された課題はそれらと重力の統一。これが統一されることで、インフレーションで真空から物質が誕生したにも関わらず物質と反物質が非対称であるという宇宙理論の大きな謎が解明されるかもしれないとのこと。「何故物理学者は4つを統一したいのか?」というところで解説のあった「ゲージ対称性」など、依然としてよく分からないがところもあったが、講義を受け続けてきて分かるところが少しだが増えている気がして嬉しかった。次回テーマは「重力波」とのこと。
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オンライン講義 天文学15
今回は「天文学的にみた気象現象」というテーマで、太陽系の地球型惑星(地球、火星、金星)の大気の流れについて解説してもらった。地球はともかく、火星や金星の地表でどのような風が吹いているのかなど考えたこともなかったので、色々新鮮な驚きがあって楽しかった。まず、太陽から受け取るエネルギーの差によって生じる海風陸風といった対流圏での水平対流、オゾンが太陽からの紫外線を吸収して加熱されることによる成層圏での温度上昇、コリオリの力による回転面との角度の違いによる風向きの変化などを基礎知識として学んだ後、地球型惑星における大気の流れの解説。まず地球では水平対流によるハドレー循環と極循環、コリオリの力によって水平対流とは逆向きのフェレル循環の3つの大きな渦巻きの流れがありそれが貿易風や偏西風と呼ばれるものにあたる。次に火星は地球の対流圏と成層圏が一緒になったような形で大きな循環がひとつだけある。一方、金星の地表では金星の自転速度(秒速1m/s、243日で一周というスローな自転)をはるかに上回る秒速100m/sという「スーパーローテーション」と呼ばれる猛烈な強風が西から東に向かって吹いているとのこと。なぜそのような強風が吹いているのか長年謎だったが、2020年ついにその謎が解明された。理屈の詳細はよく分からなかったが、最新の観測衛星の観測結果から赤道から極に向かう熱と角運動量、昼の部分から夜の部分に流れる熱と角運動量の4つで説明ができるようになったということだった。今回の気象についての話も宇宙論の難しさとは違った難しさがあったが、金星のスーパーローテーションという言葉を覚えただけでも聞いて良かったと思えた。
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掟上今日子の鑑札票 西尾維新
シリーズ13作目。読者の飽きを回避するため、これまでの作品とは違う内容や展開をいくつも盛り込んで読者を引っ張る趣向が顕著。予想もしなかった主人公の過去の暴露に戸惑うところが多かったが、本作でここまでSF風味を盛り込まれると、逆に次は本格推理要素の多い内容に戻ってくるのではないかとの期待が高まるのも確かだ。ただ、この作家の本は現在このシリーズしか読んでいないので、もしかしたら別のシリーズ作品とのコラボといった形になるのではないかという不安もよぎる。期待と不安相半ばというところで読了。(「掟上今日子の鑑札票」 西尾維新、講談社)
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映画 コンタクト
天文学講義の講師が薦める映画「コンタクト」を自宅視聴。「地球外知的生命体は地球の生命を見つけることができるか」という論文を書いた宇宙天文学者ポールセーガンが製作に関わったという本格SFで、専門家が見ても面白いというお墨付きの映画だ。主人公が受信した電波が26光年離れたベガからのものだというくだりでは、「それならば微細な電波でも傍受可能だろう」などと思ったりして、これまで天文学入門や宇宙論の講義を色々聴いてきたせいか楽しさ倍増という感じ。最初から緊張感のある展開が面白かっただけに、変な終わり方や曖昧な終わり方をしないでほしいと心配になったが、終わり方もスッキリしていて見事、さすが専門家推奨だけのことはあるなぁと思った。
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オンライン講義 宇宙論17
今回は「重力」について色々な観点からの解説を聞いた。細かい内容は理解できなかったが、重力は他の力に比べて非常に弱いが圧倒的に広い空間に作用するという特徴がある一方、他の力と似通ったところもあり、近年では宇宙物理学における「重力」というものの特殊性にあてた研究が今過渡期にあるという。さらにこれからも重力波や重力レンズの効果などの観測によって新しい発見がなされる可能性があるとのことで、今回も宇宙物理学の最前線の話を聞けた。次回のテーマは、重力研究発展の先にある「統一理論」についてとのこと。
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ユニクロ潜入1年 横田増生
最近、中国における少数民族の過酷な労働実態のニュースを見ていて、そこで作られた製品が日本に輸出されていること、しかもその輸入元が若者向け衣類の安売りで有名なユニクロとのこと。こうした状況にユニクロはどのような対応を取るのだろうか、そもそもユニクロというのはどういう会社なのだろうかが気になって検索して本書に行き着き、読んでみることにした。本書は、著者がユニクロのアルバイトとして1年間潜入調査を行った結果をまとめた一冊。最近文庫化されたらしく、本編が書かれたのは数年前。かなり昔の話なので、今のご時世では完全にアウトな事例ばかりが並んでいて、流石に今は改善されているだろうとは思うが、それにしても成功体験の弊害がここまで大きい事例というのはやはり特殊な例なのだろう。最後にユニクロに行ったのは2〜3年前にヒートテックを買った時だったと思うが、今度行く機会があったら、そこで働いている人たちの様子や売り場全体の雰囲気などを色々自分の目で確かめてみたいと思った。(「ユニクロ潜入1年」 横田増生、文春文庫)
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オンライン講義 天文学14
今回のテーマは「水惑星」。地球が水惑星であるためには、①材料としての水が存在 ②地表にそれが止まる ③地表の水が液体で存在の3つが必要条件。①の地球の水の起源(どこから来たか)については、原始太陽系円盤内のガス、彗星、小惑星帯、微惑星など色々な説があるもののよくわかっていないらしい。②については微惑星の衝突などによって地球内部の水が表面に放出されたという説が有力、③については地球の温度(熱収支=太陽からの放射ー惑星放射)と圧力(大気による)を決める太陽からの距離と地球の質量のバランスの結果とのこと。ちなみに金星は太陽からの近すぎて高温で水が蒸発し二酸化炭素が炭酸塩に固定されず二酸化炭素に厚い大気に覆われてしまうこと、火星は質量が小さいので大気の放出の活発化やマントル活動が弱いため、結果として水惑星にはなれなかったとのこと。解説は、惑星放射や水惑星形成における二酸化炭素の役割など詳細に及んだが、大まかなところは理解できた気がする。次回テーマは「気象について」の予定。
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非日常の謎 芦沢央他
作家6人(芦沢央、阿津川辰海、城平京、凪良ゆう、木元哉多、辻堂ゆめ)のミステリーアンソロジー。このうち作品を読んだことがあるのは4人だが、いずれも最近になって人気が高まっている作家なので、読んだことのない2人も私が知らないだけで多分有名な作家なのだろう。それぞれの短編はどれも面白かったし作家の個性のようなものも十分に感じられた。今が旬の作家の紹介、読書の手引きとしてとても参考になった。(「非日常の謎」 芦沢央他、講談社タイガ文庫)
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樹海警察 大倉崇裕
著者の本は色々読んでいるが、全てが期待通り面白かったという意味で非常に稀有な作家だと思う。主人公が樹海の死体処理班という特殊任務に赴任するところから始まる本書も、とにかく最初から最後まで面白かった。通常の警察小説では、階級によるタテ社会が前提になっていて、主人公が有無を言わさない実力でそこから逸脱するにせよ反発するにせよ、物語はあくまでその構造の中の軋轢を味付けにして描かれるのだが、本書では初っ端から上下関係完全無視の世界が展開される。部下が上司に「お茶を出して」と命令したり上司の発言を部下が完全に無視したりといったシーンの連続で、それに上司がだんだん順応していってしまうのが無性に可笑しい。それでいて、登場人物の背景や事件そのものは非常にシリアスで、登場人物の破天荒な行動にはそんな裏があったのかと感心するばかり。ネットで検索しても続編は刊行されていないようで、この水準を保ちつつ続編を考えるのはかなり大変だと思うが、何とか続編を期待したい。(「樹海警察」 大倉崇裕、ハルキ文庫)
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オンライン講義 宇宙論16
今週は前回に引き続きブラックホールの話の2回目。共通画面でブラックホールの最新映像を見ながら、何を読み取れるかという解説を視聴した。最初の映像は、アメリカのNASAが作成したという映像。ブラックホールの存在というのは現段階では理論的帰結として一番蓋然性が高い仮説だが、このNASAの画像は「近くまで行ってここまで見えたら証明されたと言っていいだろうというイメージ図」とのこと。色々な情報が盛り込まれたシミュレーション映像で色々なことがわかるが、一番の肝は、真横から見た時に重力レンズ効果でブラックホールの裏側が映り込む現象が明確に捉えられるかどうかが、存在証明のポイント。次に現時点での実際の最新映像を見ながら、NASAのイメージ図との比較でどこまで見えているかを検証、もう少しでブラックホールだと確認できる惜しいところまで来ている感じがよくわかった。一連の話と映像で、観測結果と理論の両輪で少しずつ真相に近づいている宇宙論研究のスリリングな現場を目撃しているようで、大変面白かった。次回は今一番ホットな領域である「そもそも相対論は恒常的に正しいのか」という重力理論見直しの最先端研究について。
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