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落語 落語三銃師

年末恒例の3人の落語家ユニット「落語三銃師」の落語会。聴き始めてから今年で4年目となる。例年通り、白酒師匠が古典落語、彦いち師匠、白鳥師匠が新作落語をそれぞれ1席と、3人による今年一年の活動報告会という構成。今日出色だったのはトリの白鳥師匠。一度聴いたことのある演目だったが、新鮮な気持ちで楽しく聴くことができた。活動報告会では、落語家の一門によって着物のたたみ方が違うという話が面白かった。
(演目)
①オープニングトーク
②桃月庵白酒 風呂敷
③林家彦いち 2月下旬
中入り
④活動報告会
⑤三遊亭白鳥 豆腐屋ジョニー
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ルポ 超高級老人ホーム 甚野博則

近くの本屋さんで見かけて面白そうな題名なので読んでみた。題名を見て、超高級老人ホームのものすごい闇を暴く暴露本のようなものを少し期待してしまったが、実際はそうでもなく、著者が見聞きした高級老人ホームの良いところ、悪いところを冷静に伝えてくれる内容だった。それだけに、この本を読んで高級老人ホームに対してものすごく否定的な印象を持つか、それほどでもないかは、読んだ人それぞれというところだろう。私の印象としては、高級=入居一時金が高いというのはかなりの部分が見掛け倒しやチープな演出によるものでほとんど実態を伴っていないということ、またそうしたところに入居している人々には自分が中心でないと不機嫌になるような厄介な人が多そうだということ、中にはものすごく悪質なところもあるので選ぶ場合は十分注意する必要があるということ、などが伝わってきた。(「ルポ 超高級老人ホーム」 甚野博則、ダイヤモンド社)
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ダチョウはアホだが役にたつ 塚本康浩

ダチョウ研究者によるダチョウに関する様々なことを教えてくれる啓蒙書。全文が関西弁の語り口調なので最初は戸惑うが、慣れるとそれも愛嬌という感じで気にならなくなった。内容は、ダチョウという鳥の特性、ダチョウ研究の苦労話とその成果、ダチョウと深く関わる著者の研究歴の3つだが、どれもとても面白かった。ダチョウの特性としては、時速60kmで走る、目が大きく容積は脳以上ある(要するに脳が小さい)、恐竜が進化して鳥になる過程で最初に枝分かれした、飛ばないので老化が遅く長生き、免疫力が強いなど。びっくりするのは研究成果の章で、免疫力の強いダチョウの卵から抽出した抗体は、デング熱、エボラ出血熱、MERS、インフルエンザ、新型コロナ、アトピー、などを不活性化させる効果がすでに実証済みで、将来的には癌、歯周病、花粉症などにも効果を発する可能性があるとのこと。更に、ダチョウから作られる抗体は牛の胃に生息するメタン産生菌の不活性化に有効で地球温暖化対策の救世主になる可能性もあるらしい。気軽に読めるのに驚くことばかりの一冊だった。(「ダチョウはアホだが役にたつ」 塚本康浩、幻冬舎文庫)
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自分を変える力 桃田賢斗

先日、バドミントンの桃田選手の公開練習を見学したので、彼の自伝を読んでみた。子ども時代から才能が注目されていたようで、その頃のプレー中の写真が残っているのは流石という感じだ。世界のトップに登り詰めた後のギャンブル事件、海外遠征中の交通事故などの経緯が本人の口から語られているが、やはりトップアスリートということで、気持ちの強さや競技に対する使命感のようなものがひしひしと伝わってきて、やはり彼がバドミントン界にとって稀有な存在であることが良くわかった。(「自分を変える力」 桃田賢斗、竹書房)
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5まで数える 松崎有理

先日読んだ「山手線が転生して加速器になりました」がめちゃくちゃ面白かったので、同じ著者の本をネットで探したら、本書が在庫ありだったので取り寄せて読んでみることにした。SF6編が収録された短編集だが、今回も全部大変面白かった。最初の「たとえわれ命死ぬとも」は、未だ電子顕微鏡がない時代の未知のウイルスと闘う科学者達の壮絶な物語。しかも動物実験が動物愛護の観点から事実上禁止という歴史改変要素が加わっていて、ウイルスの弱毒化や不活性化の研究には研究者のうちの誰かが実験台にならなければならないという究極の闘いだ。この作品が書かれたのはコロナ禍前の2016年とのことでまずこの作品の先見性にびっくりしたし、コロナウイルスの出現がもっと早ければコロナ禍の災禍はもっと大きかっただろうということが良く分かった気がする。2作目と3作目は、擬似科学と闘う3人の男たちの連作。検証困難、人々の無知につけ込んで不安を煽る似非科学とオカルトとの違い、魔術と奇術の違いなどを巧みに織り込んだストーリーは、本当にすごく面白かった。(「5まで数える」 松崎、筑摩書房)
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こぼれ落ちる欠片のために 本多孝好

重厚な警察小説。主人公と新しくコンビを組むことになった相棒の2人が、事件の関係者の事情聴取、聞き込み捜査などを通じて、真実に近づいていく様を緻密に描いた短編集。真実を解明し、罪を暴き、相応しい処罰を課すことが、市民の安心と安全に繋がるという崇高な信念を持って奮闘する一方、それが本当に正義なのかという葛藤もあり、本当に大変な仕事だということが伝わってくる話が収められている。特に、2つめ「no reply」という作品は、黙秘を続ける容疑者が守りたかったものが何かが判明したところで、これまで読んだ小説にはない衝撃を受けてしまった。また、この本の良いところは、TVドラマにありがちなパワハラ上司や自分勝手な動機の人物が全く出てこないことで、考えの違いから様々な衝突はあるものの、それぞれが自分の信念や正義感を貫こうと努力している様が良いなぁと感じた。(「こぼれ落ちる欠片のために」 本多孝好、集英社)
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嘘があふれた世界で 浅倉秋成他

7人の作家によるネット社会の明と暗をテーマにしたアンソロジー集。読んだことのある作家が3名、初めて読む作家が4名だったが、どれも大変面白く、世の中にはまだまだ知らないすごい作家がいるんだなぁとつくづく思った。特に、「あなたに見合う神さまを」は、投稿動画チャンネルに生き甲斐を見出している少女達の話だが、オタクとか推し活とかのマイナスのイメージを完全に払拭するような展開に、これはすごいと感じた。また「タイムシートを吹かせ」は、普通に日々の仕事でネットを使いこなしている若者と頑固な職人気質の老人のバトルをコミカルに描いた内容で、とても勉強になる話だった。最後に収録された「君がため春の野に」は、ちょっと前に読んだ「世界でいちばん透きとおった物語」のスピンオフ作品でこれも大変面白かった。(「嘘があふれた世界で」 浅倉秋成他、新潮文庫)
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バドミントンS/Jリーグ横浜大会

地下鉄で15分くらいのところにある横浜武道館でバドミントンの大会があったのでちょっと観戦してきた。横浜武道館に行くのは初めてだが、思った以上に立派な建物なのでびっくりした。午前が女子の試合で午後が男子の試合とのことで、午前11時過ぎに会場に着くと、女子の最終第3戦ダブルスが始まったところ。レベルの高いいい試合だったが、最後はNTTがセットカウント2-0で勝利。場内は、チームの会社の招待客が多く、観客席も招待席ばかりで、一般自由席はどこなのか係の人に聞かないとわからないほど少ない感じだった。1試合観たところでランチ休憩になり、その間にチアリーディングのイベントと午後から試合のあるNTT男子の公開練習を見物。NTTの公開練習では、元世界ランキング1位の桃田選手が登場して、会場が大変盛り上がっていた。その後男子の試合だったが、桃田選手は試合にでないようだし、座っていて腰が痛くなってきたのでここで退場。S/Jリーグの観戦は初めてだったが会場の雰囲気も良く、好きな時に行って好きな時に帰れるし、レベルの高い試合も観られるのでとても良かった。
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超人ナイチンゲール 栗原康

本屋さんで見つけた一冊。題名や表紙がただの教養書としての伝記と違う感じなので店先でパラパラとめくってみた。内容的にはクリミアの天使ナイチンゲールの評伝で間違いなさそうなのだが、どうも普通とは違う雰囲気を漂わせている。それが気になり、「まあ普通の伝記でもいいや」と思って読んでみることにした。読んでみて、内容、文章とも、予想をはるかに超える面白さ。面白さの半分は全く知らなかったナイチンゲールという人物の面白さなのだが、残りの半分は著者の独特の語り口の面白さだった。ナイチンゲールについては、まずものすごい大金持ちの出身ということにびっくりした。38名の部下を連れてクリミア戦争の戦場に赴いた際、政府からの支出や寄付金では資金が不足し1億円以上自腹で支払ったとのこと。彼女の実行力の背景には、手続きの面倒な公費に頼らず自分で即決できる金銭的な余裕があったということらしい。また、彼女の思想については、かなり大胆な神秘主義の持ち主だったとのこと。彼女の行動力の源泉は、善悪の判断、合理性、損得、更には主体性などではなく、ひたすら自分自身の直感だった。善悪は人によるよって異なるから、それに従うことは結局は教会などの権威に支配されることになるし、合理的か非合理的かの判断、損得も言い換えれば他人に左右されることになる。こうした考えを突き詰めていくと「主体的に行動せよ」ということすら、直感による行動の妨げになる。まさに、ニーチェの超人思想そのものだ。また、彼女が小説家でもあり、統計学者でもあり、発明家でもあったというのもびっくり。彼女の書いた小説に「次のキリストは女性だろう」というキリスト教徒とは思えない一節があり、これはこの著者のナイチンゲール像の見立てが正しいことを表しているように思える。ナースコール、配膳エレベーターは彼女の発明、カーディガンはクリミア戦争の際に負傷者の着替え用に考案されたなど、トリビアもたくさんで、大変面白い一冊だった。(「超人ナイチンゲール」 栗原康、医学書院)
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あしたの名医2 藤の木優

伊豆地方の中核医療を担う大学付属病院に産科医として赴任した若手医師を主人公とするシリーズ第2弾。副題は「天才医師の帰還」。前作もすごく面白かったが、本作はそれ以上にすごい作品だった。物語は、主人公の医師としての成長物語、登場人物たちの医師としての矜持や信念、舞台である伊豆地方のグルメ紹介の三本柱で進行するのは前作と同じだが、そこに2人の新たな癖の強いキャラクターが加わり、主人公の成長を促す役割を果たしていく。クライマックスは、本書後半のガンが全身に転移してまっている妊婦患者を巡る主人公たちの医療現場での壮絶な戦いだ。患者本人の余命延長か胎児のケアかという選択を余儀なくさせられる状況での医療従事者の奮闘の物語、読んでいて大きく心を揺さぶられた。また、産科医師不足が深刻化するなか、先進医療を進歩させるためあるいは若手医師の経験の蓄積を促すなどのために医療の集約化(積極的集約化)が求められる一方、それとは無関係に進む地方病院の不採算による閉鎖に伴う消極的集約化、こうした医療現場の問題にも驚かされた。伊豆のグルメとしては、黒鮑、モクズガニ、天城猪まんなどが紹介されていて、特に猪まんが美味しそうだと思った。この作品、前作と合わせても時間的には数か月の話。内容の濃さが並外れているこのシリーズ、まだまだ続きを読みたい。(「あしたの名医2」 藤の木優、新潮文庫)
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