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日本百名虫 ドラマティックな虫たち 坂爪真吾

先日読んだ本の下巻。百名虫のうち残りの50種が紹介されている。副題は「ドラマティックな虫たち」。引き続き面白いエピソードが満載。タマムシという虫はどこにでもいて何度も見たことがあるし捕まえたこともあるように思っていたが、本書によると野生のタマムシ特にオスは、確かに個体数は多いが、10m以上の木の樹冠に生息しているので地表で見つけたり捕獲するのはまず不可能とのこと。自分で勝手に見たことがあったり捕まえたことがあったと記憶を捏造していたのかもしれない。また、琉球列島の島々に生息しているマルバネクワガタという虫は、多くの島々のうち与那国島だけで個体数が激減しているとのこと。原因はこの虫は夜間に森の中でしか捕獲しにくい虫で、与那国島だけがハブが生息していないことから虫ハンターが集中しているから。何の関係もないはずの虫と蛇が人を介して影響を与えているという考えさせられるエピソードだ。その他、本書に登場する「蝶甲蛾雑」「釣り堀採集」「御神木」「タオルキャッチ」といった虫好きの間の特殊用語も上巻と同じくとても面白い。本書を読んでいて、ふと「虫の名前というのは何でこんなに長いのかなぁ」と思った。本書で紹介されている50種の虫の名前の文字数を数えてみると、最長が「ニホンホオビロコメツキモドキ」で14文字、次が「オオナガニジゴミムシダマシ」「キベリカタビロナナカマキリ」の13文字。「ゴミムシダマシ」のところを読んでいて、この甲虫はほぼ全ての科の虫に似た種が存在すると書かれていた。確かに虫の名前には「ダマシ」「モドキ」「ニセ」という単語が入ったものが多い。また、ゾウムシの仲間は世界中で10万種、日本だけでも1400種いるという。種の数が膨大でしかも似たような形状の虫が沢山いるから、それを識別するための名前も長くなる道理だなぁと納得した。その他、車に轢かれても何ともない硬い虫、異様に薄っぺらい虫、細長すぎる甲虫、空飛ぶぬいぐるみという異名のアブなど、まさに虫の世界は人知を超えた多様性の宝庫だと感じた。(「日本百名虫 ドラマティックな虫たち」 坂爪真吾、文春新書)
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