夏場は逆

2010-03-13 01:51:57 | Weblog
もう金曜日。
今週のなんと早かったことか。
仕事の期限に向けて時間は疾走して行く。
加速する時間の狭間、帰宅の時、今日は春の夜。
コートの無い身軽な格好、沁みる夜の冷気を感じながら、仕事を忘れ歩いた。

 ・・

昨日以下の記事を載せようとし、途中で落ちてしまい、朝を迎えてしまった。
どうしようもなく失われた時間。
時宜を無視して載せる野暮。
ご容赦。


しばらく続いた寒さのせいで昨日まで公園での昼食はおあずけ。
公園でお弁当できない時はお店で食べるが、基本的にゆっくりとできる店に足が向く。
ゆっくりできるというのは、隣席との距離がある、あるいは他の客が少なく、自分のスペースが確保できるところ。
食後にコーヒーが飲めるとよりベター。
街中には少ない。
一人だとカウンターでお隣さんと肩を触れるよう座らないといけないとか、テーブル席だと相席とかが普通。
その昔、今の職場に来てせっせとお店を開拓した、最低限許せるお店の数を母数とすると、上記条件を満たすのはその半数。
さらに、料理のうまさ、コーヒーのうまさを兼ね備えた店となると、わずか2店舗くらい。
同じお店に何度も行くことになって、うれしくない。

あー、この話に「おち」は特になし。
すみません。

昨日はコーヒーはイマ二つだが落ち着ける少し遠方の店へ。
空には雲が広がり、風は冷たく、肩をすくめて歩く。
食後、お店を出ると、雲が切れて日差しが暖かい。
職場のビルまで帰るいつもの道の南側に日が射している。
これまでは道全体がビルの影になっていたのに。
日向を選んで歩けるようになった。
太陽の高度は確実に高くなっているようで。
秋は、元気をなくしていくお日さまに、来る冬を感じて気分も沈む。
これからは子供の成長を見るように、花や緑の生育具合にエネルギーを感じ、力を分けてもらえる。

風は冷たいものの日差しの暖かさを感じながら、光子の弾ける明るい部分を歩いた。

乗鞍エコーライン

2010-03-09 01:46:50 |  乗鞍話し
今回は乗鞍エコーラインのお話しをしたいと思います。

登頂後、晩に誘われていたユースホステルのある方向に山を下りました。
乗鞍スカイラインとは反対側にも道路が敷かれ、麓まで伸びています。
こちらは無料の一般道路で、通称乗鞍エコーラインと名付けられています。
地図で存在は知っていたのですが、これまで走ろうと思った事がありませんでした。
当時は有料道路が一番景色が良くて、面白いのだと言う固定観念があって見向きもしなかったのです。
しかし、山頂から眺めた時、なだらかな斜面をくねくねと這い、景色の一部となった山岳道路は、走ると面白そう。
実際走って見て、これまでのいいかげんな評価は一変。
高度が高い内は麓の方角の見晴らしが利き、背後を振り返れば、なだらかな山体の乗鞍岳がその全容を見せてくれる。
こんな形してたんだ。
下るにつれて変化する眺め、その表情の豊かさ。
すっかり虜になってしまった。
それからは乗鞍岳を訪れる時は、エコーラインしか使わなくなりました。


正式な起点はどこか知らないのですが、私にとっては乗鞍高原の鈴蘭という所にある広い駐車場がスタート地点です。
乗鞍を訪れた時は、必ずこの駐車場に車を止め、用を足し、一息入れてから畳平へと出発したものでした。
ここからも乗鞍岳山頂を望むことができます。
鈴蘭は標高約1500m。
そこから走り始めると最初は背の高い木々の茂る森の中を道は進みます。
亜高山帯に生育するシラビソ?などの針葉樹が、高い山に来ているんだという気分を盛り上げてくれ、すでに知っているこの後広がるだろうすばらしい景色を期待し、ルンルン状態で運転します。

スキー場を横切る辺りから眺めが良くなって来ます。
道は斜度を増し、ヘアピンカーブの連続。
1速と2速しか使えません。
道は斜面に張り付くように設置され、眺めもどんどん良くなるぅ!。
気分もどんどん良くなり、高度に比例してハイテンションに。
山の雰囲気たっぷりの音楽を収録したカセットテープが2つあって、ここを走る時は必ず流したものです。
2つのアルバムの趣は全然違うのですが、それぞれ高山になんともぴったり。
私の中では乗鞍エコーラインのテーマみたいになって、他の場所で聞いてもエコーラインの景色が眼前に広がるようになってしまった。はは。
位ヶ原山荘辺りは見上げる斜面に樺の木他の白っぽい幹が目に付き、樹層が標高を上げていることを伝えてくれます。
ううっ・・、いい。

乗鞍岳が再び見えるようになると、道はなだらかになり、うねうねと潅木の中に連なっていきます。
頂上に近づくにつれて、渋滞がひどくなる。
前出の雪渓の下をエコーラインは通っているのですが、その手前ぐらいからピタリと止まってしまうことが度々。
でもここを走っているときは全然気になりません。
というか止まった車中から最高の眺めをじっくりと堪能することができ、願ったり適ったりの状態。

ある夏の日は非常に天気がよく、朝から雲ひとつ無い青空が広がる中、登ったことがあります。
麓まではただ青かった空が、高度を上げるにつれて青さを増し、渋滞につかまる山頂直下では紫がかった藍色にまで青が深くなり、見上げる稜線の緑との境のコントラストが凄い。
窓を全開にして山の気で励起した空気を満たした車の中、躁状態になった私は奇声を上げ、山の音楽に合わせて踊ってしまったことがあります。

このまま高度を上げていくとどんどん深みを増して、漆黒の宇宙に繋がっているのだなと思わせる色だった。
あの時の光景は目に焼きついていて、乗鞍エコーラインで過ごした時間の中で最良の刻となっています。


ぐるり240°くらい

2010-03-03 01:41:08 |  乗鞍話し
乗鞍岳の主峰は剣ヶ峰と言います。
山頂を目指し歩き出しはしたものの、片道一時間の道のりを考えるととても億劫でした。
歩き始めてしばらくは何度も引き返そうかと思いましたが、引き返すのも億劫で(なんだそりゃ)、そのまま歩きました。
軽い高山病に罹ってたのかもしれないですね。

道はしばらく自動車が通れる位、広く整地されています。
途中にあるコロナ観測所や肩の小屋に物資を運ぶのに使うのでしょう。
小屋の向こうの斜面には、夏遅くまで雪渓が残り、真夏でもスキーしてる人がいます。
初めて見たときはびっくりしました。
こんな季節に滑ってるよ、おい。
もちろんスキー場ではなく、大きいとはいえ雪渓です。
滑れる距離は数十m程。
リフトなどある訳無く、斜面の上まで板を担いで登ってます。
結構な斜度なので、降りるのはあっという間。
なのに、登るのにやたら時間がかかる。
好きなんだなあと思わせる眺めでした。

さて、道はそこから登山道に入ります。
登山道とは言ってももはや森林限界をはるかに越えた高度なので、植物は草とハイマツが黒くゴロゴロとした溶岩に張り付くように生えてるだけで、ずっと上のほうまでどんな道なのか窺う事ができます。
登っていく人、下りてくる人がアリンコのように繋がっています。
結構、人気。

特に危険な場所も無く、ざらざらと粒の巨大な砂場のような踏み応えの道を、ずるるずるると靴を滑らせながら登る。
上るにつれて、左に広がる山並みの奥行きが増していきます。
小さなピークを2つ3つ越えて、山頂に到着。
たった200mほどしか高度は違わないのですが、富士見岳で見た眺めより見下ろす角度が大きくなり、明らかにもう一段深くなった山の重なりが眼前に広がります。
青空の下、彼方の山の稜線は空と水色に溶け合って、境は定かでありません。
北方の北アルプスの山々から、東の山並み、遙か南には白く靄った大気の海に浮かぶ御嶽山。
うっひょー。
登る前の億劫さはどこへやら。
この眺めに魅了されて、この後数年、乗鞍岳を訪れればそのたび、剣ヶ峰まで登ってはその眺望を飽きることなく楽しんだのでした。(この後はいつ来ても晴れてくれました。)


山の西側は風がそちらから吹き付けるからか、いつも雲が覆い眺めはありません。
1度だけ西側も晴れたときがあって、乗鞍岳の裾野が遠くまで伸びる景色が広がっている様を観察できました。

ジーンズにシャツ2枚という舐めた格好で登ったので、晴れているとは言えそこは3000m峰、吹きさらしの山頂の風は冷たく、長居できません。
名残惜しくも山頂を後にしたのでした。