世の中のうまい話

魚のウンチク、旬、漁師だけが食べている浜料理の紹介などなど・・・食べ歩きは八王子中心!都心も地方もたま~に

鹿尾菜(ひじき)

2017年03月29日 21時37分20秒 | Weblog

ヒジキ(鹿尾菜)

【語源】
語源は明らかとは言えませんが、古名の「ヒズキモ」が転じて
「ヒジキ」になったと言われています。

漢字名の「鹿尾菜」は、形が鹿の黒くて短いしっぽに似ている事が
由来の様です。

     ヒジキとひき肉の甘辛炒め




      煮る前の生のヒジキ
【旬】
ヒジキの旬と言えば、迷うことなく春です。
しかし、この旬は、採れる量や解禁日など人間の決めたルールに
従った旬。
味だけで決めれば「冬」。それも、新芽が伸びて、まだ小枝や葉を
出していない「1本ヒジキ」、これが柔らかくてアクがない究極の
ヒジキだと言います。
しかし、冬は干潮が夜間ですから、この1本ヒジキを探し出すのが
至難の業。
解禁前という事もあり、自家消費用にごく少量採っているだけの様
です。もちろん、市場には流通しません。

よって、やはり旬は春とするのが無難なようです。


【うんちく】
ヒジキは褐藻綱ヒバマタ目ホンダワラ科ヒジキ属に分類されます。
暖海性の海藻で道南から九州にいたる太平洋岸、瀬戸内海、日本海
南部の磯に分布しています。
雌雄異体で、雌株の卵子に雄株の放出する精子が受精します。
繁殖行動は5~7月頃まで続き、受精卵はやがて岩などに付着して、
生長し始めます。
食用として採取されるのは3年ほどたったもの。
一方、繁殖行動を終えた雌雄株は夏には枯れてしまいます。
ところが、岩の上を這うように長く伸びた根は死なず、やがて
新しい芽を出します。
これを繰り返し、根は7~8年は生き続けます。
発芽体の生長は秋から冬の間はゆっくりですが、春になると急激に
早くなり、この頃が旬とされています。


【ブランド・産地】
ヒジキの解禁時期は各地異なりますが、主に3~4月の春です。
この頃、新物の生ヒジキも流通します。
干潮の時間帯に波しぶきを浴びながら、根を傷めないように根元近く
から刈り取ります。
漁獲量は、長崎、千葉、三重、和歌山の順。
国産品はすべて天然物ですが、消費量の約1割に過ぎません。
後のは韓国、中国の増養殖物の様です。
増養殖と言っても海藻などの場合は、エサを与えるわけではないので、
天然となんら変わりはありません。

ブランド化・・・とまでは行きませんが、三重の「伊勢ヒジキ」は
有名です。また、宮城産の物は「ふくろひじき」と呼ばれ、柔らかく
上質であると言われています。


    ヒジキの煮物

【産地ならではの漁師料理】
ヒジキと言えば、煮物でしょう~。
甘辛く煮付けたものは「お袋の味」・・・・と、言えるのでは?

あとは、かき揚げや、ヒジキご飯にしても美味しいです。
漁師料理や郷土料理として、適切なものは見当たりませんが、
それだけ馴染みの深い、全国で、いつの季節も食卓に上がる食材と
言えるのではないでしょうか。



       ヒジキのかき揚げ

【余談】
ヒジキは海から採ったままの状態では渋く、また、、硬くて食べら
れません。長時間茹でて(10時間ほど)、数日間干した乾燥ヒジキが
主に流通しています。

生ヒジキとして流通しているものは、乾燥ヒジキを水戻した「生」で
、季節を問わず、簡便商品として出回っています。
採取して茹でただけで乾燥させていないものは、釜揚げヒジキとか、
新物生ヒジキと表示していることが多いです。
これはもちろん3~5月頃の春季限定品で日保ちはしませんが、風味と
食感は格別です。


  ヒジキの酢の物

【栄養と効果・健康】
キノコなみの低エネルギー食材です。
食物繊維が非常に多く、採り過ぎた塩分・糖分・脂肪分などを、体外
に排出してくれます。糖尿病や高脂血症を予防する食材です。

また、血圧を下げるカリウムも豊富で、カルシウム、鉄分も多く
含んでいますので、貧血気味の方にもお勧め。
ただ、ヒジキの鉄分は、体内吸収されにくいので、吸収を助ける、
ビタミンCの豊富な食材と同時に食す事をお勧めします。

ビタミンでは、体内でビタミンAとして働く、カロチンの他、なか
なか摂取の難しいビタミンKが多いです。

生活習慣病に悩む現在人にとっては、救世主の様な食材ですよ~





















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若布・若芽(わかめ)

2017年03月29日 08時38分20秒 | Weblog

ワカメ(若布)

【語源】
若布(ワカメ)の語源は、文字通り「若い」から来ています。
その昔、若返りの薬とされており、これが語源と考えられます。
奈良時代には、ワカメなどの海藻を刈り取る事は神事とされて
いたようで、和布刈(めかり)と呼ばれいました。
北九州市に和布刈(めかり)と言う名の神社があり、今も尚、
和布刈神事が行われています。

「布(め)」は、食用になる海藻の総称です。





 根のすぐ上の部分がメカブと呼ばれます。

【旬】
流通しているワカメの大半は養殖物です。

6月から7月にかけて天然のわかめの胞子を種糸に採苗し、
採苗器を海中に釣り下げて種を育て、10月から11月にわかめの芽が
出た種糸を養殖縄に巻き付け、本養殖をします。
3月頃には2㍍近くまで成長し、5月ごろまでに収穫します。

したがって、若芽の旬は春です。

また、刺身で食べれる時期はこの春のみ。
時期はずれのワカメは乾燥ワカメに加工されたり、塩蔵されます。
1年中あり、馴染みのある食材の様に思われがちですが、春が旬
なんですよ~


      塩ワカメ
【うんちく】
日本人のわかめの消費量は、年間で一人当たりおよそ2㌔。
海藻の中で最も多く食卓にのぼり、日本人の食生活の一端を担って
いる食材がワカメです。

海藻には数千もの種類がありますが、世界中で海藻を食用として、
日常的に食べているのは、日本と韓国・中国ぐらいなんです。
日本の遺跡から、縄文式土器と共にワカメなどの海藻が発見されて
いる現実をみると、昔から食べられていたんですね~


ワカメのサラダ

また、大宝律令には租税として、わかめの他、テングサやノリなど
8種類の海藻名が記されています。
この時代、海藻類は、上流階級の人たちの食べ物で、庶民の口には
入らない高級食材だったようです。

野菜などの栽培品種が、まだまだ少ないなかで、海藻は貴重な栄養源
だったと言えます。


     ワカメと筍の煮物
【ブランド・産地】
ブランド・・・・とまでは言えないかもしれませんが、兵庫県淡路の
「鳴門ワカメ」は品質が良い事で有名です。
瀬戸内の荒波にもまれた、このワカメは最高級品です。近年、養殖も
盛んに行われているようです。

漁獲量は、岩手、宮城、徳島、兵庫の順。



       茎ワカメ
【産地ならではの漁師料理】
ワカメは捨てるところがありません。
葉はもちろんですが「ワカメ」として。茎は「茎ワカメ」として、
根の上にできる種を作る肉厚のひだの部分は「メカブ」として、
部位別に販売されます。

あまりにも馴染みがありすぎて、漁師料理と言える特別な物は
見当たりませんが、岩手県大船渡の「茎ワカメの千本漬け」は、
郷土料理と言えるかも知れません。
細かく切った茎ワカメを酢醤油に漬けただけのシンプルな料理ですが
美味しいですよ~。


      メカブ
【栄養と効果・健康】
ワカメの最大の特徴は栄養成分が極めて少ない事です。
反栄養食品と言われ、食物繊維と同様に、採り過ぎた栄養分を体外に
出す作用が期待できます。
そう言う意味で、栄養の獲り過ぎで生活習慣病になりやすい、先進国
の人間にとっては、健康食と言えるでしょう。
特に、コレステロール、糖分、塩分を体外に排出してくれます。

栄養がないといっても、特異的に多い栄養素もあります。
ビタミンKとヨードです。前者は出血した際、血を止める作用を促す
成分で、後者は代謝機能を高める成分。
究極のダイエット食ですね。

       茎ワカメとトマトのサラダ

そして、注目すべきは、根の部分に生育するメカブの栄養分~
「フコイダン」。
この強烈なヌメリ成分は、抗癌作用があり、特に大腸がんを予防する
と言われています。



茹でたメカブ









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