帆立貝(ホタテガイ)
【語源】
「帆立貝」の語源は、この貝が移動する時、舟の帆の様に殻を立てて
移動する姿から・・・と言われています。しかし実際は少し違うよう
です。実際の移動方法は貝柱を使って殻を閉じる際、噴射口から海水
を勢いよく吐き出して前へ進みます。
一度の噴射で2㍍近くジャンプします。この跳躍力を可能にする為
貝柱が発達し、その恩恵を私たちは受けているわけです。
ホタテの串焼き
古書には、ホタテは「海扇」と記されています。
これは、形が扇(オウギ)に似ていることからこの字を当てたとか。
見たままですね~!
現在でも白干などの干貝柱業界団体にこの名称が残っています。
また、中国では「海扇」の字が使われているくらいです。
ホタテの刺身
ホタテの肝 しょっつる焼き
【旬】
ホタテの旬は難しいです。春だという説、秋だと言う説。
養殖技術が最高域にまで達している事、冷凍しても味が落ちない事
などの要因が旬をわかり辛くしているようです。
裏を返せば、非常に馴染みがあり、1年中美味しく、需要がある優秀
な食材と言えるでしょう。
マグロ君の見解ですが・・・産卵後の貝柱が成長する夏から秋と、
産卵前で精巣や卵巣が太る冬から春にかけてが旬ですが・・・
特に産卵前の3~5月、春が旬という事にしたいと思います。
また、春は養殖物の最盛期。流通しているホタテの多くは養殖物の
為、春が旬としましょう。
【うんちく】
潮通しのよい水深70m以浅の砂泥底や砂礫底に生息し、水深30m
以浅に多い。生息水温は22℃以下で、20℃以上では成長が止ると
言われています。
水温25℃を超えると全滅すると言われています。温暖化が心配
ですね。
また、低塩分にも弱く、淡水中に入れると1分前後で死に至ります。
ホタテの殻焼
日本で一番消費量の多い貝と言えば、アサリでもシジミでもカキでも
なく、ホタテ貝です。古くは5千年~7千年も昔の貝塚からホタテ貝
の貝殻が出土しています。
縄文時代にはホタテ貝はすでに重要な食料だったようです。
現在に至っては、他の貝類を圧倒する漁獲量と、貝柱の旨味、栄養価
の高さ、さらに姿の美しさから「貝類の王」、「海の貴婦人」と賞賛
されています。
左が天然、右が養殖のホタテ
【養殖と天然】
ホタテの主産地は北海道、岩手、青森です。
天然物は一部で、ほとんどが養殖物です。
ホタテの養殖方法は大きく分けて2種類あります。
三陸や青森で行われているのは、稚貝をある程度籠の中などで育て、
殻に穴を開け、そこにヒモを通して海の中に垂下する養殖方法。
(3~4年で出荷します。)
北海道では、稚貝を海に地撒き(ぢまき)放流し、3年後に漁獲する
やり方をします。
どちらも、餌を与えるわけではなく、自然のプランクトンで育つ為、
養殖の定義にあたらないのでは・・・・と言う見解もあります。
特徴としては、三陸・青森の吊るしは、砂をかまない為、刺身用の
貝柱とワタ付きのボイル物の両方で流通しますが、北海道の地撒き物
は、砂をかむ為、刺身用の貝柱で多く流通しているようです。
ホタテのにぎり寿司
【ブランド・産地】
主な産地は前章でも記したとおり、北海道、青森、岩手です。
ブランド化はされていないようですが、北海道噴火湾のホタテは
品質が良い事で知られています。
豊富なプランクトンとミネラルを含む噴火湾の水質は、ホタテに
留まらず、毛蟹でも有名です。
ホタテのヒモ煮付け
みそか焼
【産地ならではの漁師料理】
刺身、寿司、バター焼、鍋、かき揚げなど、様々な食べ方があります
が、下北の漁師さんは「味噌貝焼き」を好みます。
地元では「みそか焼」と呼ぶようです。作り方は簡単。
①貝殻からはずしたホタテの貝柱とヒモ(冬場は卵の部分も)を包丁
でぶつ切りにし、元の貝に乗せて火にかけます。
水を少し加えて適量の味噌を溶き入れる(この時に刻んだネギや春菊
、キノコなどを加えても良い)。
②火が通ったら、といた卵を加え、半熟状態になったら出来上がり。
味噌と卵の相性が抜群の郷土料理です。
また、漁師さんの刺身の切り方は一味違います。
通常は、貝柱を薄くするように、横に包丁を入れがちですが、漁師
さんは、繊維にそって縦に入れます。
「縦に入れた方が、独特の歯ごたえを楽しめるんじゃ~」・・・と!
皆さんもお試しあれ!
天然のホタテ
【楊貴妃とビーナス】
ホタテ貝ほどその地位が東西を問わず認められ、高格付けされている
魚介類は珍しいと言えます。
干しホタテは中国料理に欠かせない高級食材ですが、中国ではホタテ
貝は別名、「揚妃舌(ようひぜつ)」と呼びます。
絶世の美女として名高い「楊貴妃の舌」です。
美しい光沢と弾力のある貝柱を喩えてのことなのでしょうが?
ホタテの天ぷら
西洋では、特にフランス料理の重要な食材として高い人気を誇ります
が、その地位の高さを物語るものは、かの美神ヴィーナスの絵画や
王侯貴族の紋章などです。
15世紀の有名な絵画「ヴィーナス誕生」で髪の長い美神が立ってい
る台座はホタテ貝です。
また、英国最高位のカーター勲章を受けたチャーチルが作ることを
許された新しい紋章のデザインもホタテ貝です。
【栄養と効果・健康】
ホタテの貝柱は高たんぱく・低脂肪。なおかつ美味しい~!
究極のダイエット食です。
旨み成分のイノシン酸、グルタミン酸の双方を豊富に含んでいる為、
貝類の中でも最高に美味しいと、科学的に言えます。
タウリンも豊富なので血中のコレステロール低下、血圧を下げる作用
も期待できます。
脳卒中、動脈硬化、心臓疾患などの予防になる食材です。
煮ホタテのにぎり寿司
ホタテ飯
ホタテ丼(山ワサビが嬉しい~)
ホタテのウニ焼き
ホタテを使ったイタリアン
ホタテの丸ごとフライ
煮ホタテのにぎり
ホタテのバター醤油焼き
煮ホタテ
ホタテのウニバター焼き
ホタテのコーンバター焼き
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若布(ワカメ)
【語源】
若布(ワカメ)の語源は、文字通り「若い」から来ています。
その昔、若返りの薬とされており、これが語源と考えられます。
奈良時代には、ワカメなどの海藻を刈り取る事は神事とされて
いたようで、和布刈(めかり)と呼ばれいました。
北九州市に和布刈(めかり)と言う名の神社があり、今も尚、
和布刈神事が行われています。
「布(め)」は、食用になる海藻の総称です。
根のすぐ上の部分がメカブと呼ばれます。
【旬】
流通しているワカメの大半は養殖物です。
6月から7月にかけて天然のわかめの胞子を種糸に採苗し、
採苗器を海中に釣り下げて種を育て、10月から11月にわかめの芽が
出た種糸を養殖縄に巻き付け、本養殖をします。
3月頃には2㍍近くまで成長し、5月ごろまでに収穫します。
したがって、若芽の旬は春です。
また、刺身で食べれる時期はこの春のみ。
時期はずれのワカメは乾燥ワカメに加工されたり、塩蔵されます。
1年中あり、馴染みのある食材の様に思われがちですが、春が旬
なんですよ~
塩ワカメ
【うんちく】
日本人のわかめの消費量は、年間で一人当たりおよそ2㌔。
海藻の中で最も多く食卓にのぼり、日本人の食生活の一端を担って
いる食材がワカメです。
海藻には数千もの種類がありますが、世界中で海藻を食用として、
日常的に食べているのは、日本と韓国・中国ぐらいなんです。
日本の遺跡から、縄文式土器と共にワカメなどの海藻が発見されて
いる現実をみると、昔から食べられていたんですね~ワカメのサラダ
また、大宝律令には租税として、わかめの他、テングサやノリなど
8種類の海藻名が記されています。
この時代、海藻類は、上流階級の人たちの食べ物で、庶民の口には
入らない高級食材だったようです。
野菜などの栽培品種が、まだまだ少ないなかで、海藻は貴重な栄養源
だったと言えます。
ワカメと筍の煮物
【ブランド・産地】
ブランド・・・・とまでは言えないかもしれませんが、兵庫県淡路の
「鳴門ワカメ」は品質が良い事で有名です。
瀬戸内の荒波にもまれた、このワカメは最高級品です。近年、養殖も
盛んに行われているようです。
漁獲量は、岩手、宮城、徳島、兵庫の順。
茎ワカメ
【産地ならではの漁師料理】
ワカメは捨てるところがありません。
葉はもちろんですが「ワカメ」として。茎は「茎ワカメ」として、
根の上にできる種を作る肉厚のひだの部分は「メカブ」として、
部位別に販売されます。
あまりにも馴染みがありすぎて、漁師料理と言える特別な物は
見当たりませんが、岩手県大船渡の「茎ワカメの千本漬け」は、
郷土料理と言えるかも知れません。
細かく切った茎ワカメを酢醤油に漬けただけのシンプルな料理ですが
美味しいですよ~。
メカブ
メカブの雑炊
【栄養と効果・健康】
ワカメの最大の特徴は栄養成分が極めて少ない事です。
反栄養食品と言われ、食物繊維と同様に、採り過ぎた栄養分を体外に
出す作用が期待できます。
そう言う意味で、栄養の獲り過ぎで生活習慣病になりやすい、先進国
の人間にとっては、健康食と言えるでしょう。
特に、コレステロール、糖分、塩分を体外に排出してくれます。
栄養がないといっても、特異的に多い栄養素もあります。
ビタミンKとヨードです。前者は出血した際、血を止める作用を促す
成分で、後者は代謝機能を高める成分。
究極のダイエット食ですね。
茎ワカメとトマトのサラダ
そして、注目すべきは、根の部分に生育するメカブの栄養分~
「フコイダン」。
この強烈なヌメリ成分は、抗癌作用があり、特に大腸がんを予防する
と言われています。茹でたメカブ
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