飯蛸(イイダコ)
【語源】
正徳2年に作られた「和漢三才図会」に、「味は蒸飯の如し、故に
飯蛸と名付く」とあります。
早春のイイダコは、胴に飯粒に似た卵がびっしりと入る事から、
この名が付いたと思われます。
地方によっては「一口蛸・子持蛸・石蛸」と呼ぶようです。
イイダコの酢味噌和え
「蛸」と書く様になったのは平安時代で、は本来はクモを意味してい
たとの事。
「タコ」の語源は諸説あり、手のあるナマコの意味で「手海鼠(てま
なこ)」が変化したとか、また、手が多いという意味の「手許多
(てこら)」であるとか、股が多い「多股(たこ)」からきている
などの説があります。
【旬】
魚で卵を持ったものは「子持ち」と呼びますが、イイダコの場合は
「いい持ち」と呼びます。
イイダコは十数センチの前後の小型のタコです。
川柳に「飯蛸は 丸かぶりして 味が出る」とある様に、丸のまま食べ
るのが美味しいです。
頭の付け根に、包丁で切れ目を入れ、内臓と墨袋を取り出し、丸まま
調理します。
秋から食べごろになりますが、卵巣が発達し、頭(胴体)に、はち切れ
んばかりに卵が熟してくる初春が旬といえます。
【うんちく】
北海道以南の各地沿岸から、朝鮮半島西岸・東シナ海に分布する。
日本沿岸では瀬戸内海や東京湾に多い。水深10m前後の砂泥底に
生息する。
春先に産まれたイイダコはしばらく浮遊生活を送った後、水深が
5~10mぐらいの浅い泥砂の海底に居つき、夜間行動してアサリ・
バカガイなどの二枚貝を好んで食べます。寿命は約1年。
イイダコは白くてつるんとしたものが大好きなようで、それが目の前
にあると、思わず抱きつきたくなるようです~。
イイダコ釣りには、ラッキョウや豚肉の脂身、白い陶器などが使われ
るとか・・・・!お茶目な一面を持っています。
【ブランド・産地】
ブランド化はされていません。
主な産地は、明治8年刊行の『日本地誌略物産弁』に「イイダコの
特産地として兵庫県の高砂市及び明石の二見町」と紹介されています。
マグロ君の生まれ故郷ですね~!
また、最近では岡山県でも、イイダコ漁が盛んです。
東京湾でも行われているようですが、関東で飯(卵)が入ったイイ
ダコを魚売場で見つけるのは至難の業です。
【産地ならではの漁師料理】
なんと言っても甘辛煮でしょう。
内臓と墨袋を取り除き、軽く塩もみし、ぬめりを取ります。
より柔らかく仕上げたい場合は、塩もみせず、ぬるま湯で丁寧に
ぬめりを取ると良いでしょう。
まず、軽く茹でてから醤油、砂糖、水の煮汁で甘辛く煮ていきます。
これが最高!ご飯もお酒もすすみます。
特に飯(卵)の食感がたまりません。
後は、ボイルしての酢味噌和え。天ぷらなんかも美味しいですよ~!
【栄養と効果・健康】
低カロリー、高たんぱく、ミネラル・ビタミンもバランスよく含んだ
食材です。
特に、ビタミンB2が豊富で体内での解毒作用を促進してくれます。
タウリンも豊富で血中のコレステロールを下げる効果があり、肝臓
や心臓の働きを助け、糖尿病や胆石を予防する効果もあります。
筍と飯蛸の旨煮
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