寒さが長引いているせいか、サザンカの花期が例年より長いように思う。我が家の近くの八重は年末に咲き始め、未だ咲いている。が、さすがに2月末、なごりの花で、いよいよ最期のものだろう。
「なごり」というと、イルカのヒット曲「なごり雪」を思い出す。
汽車を待つ君の横で 僕は時計を気にしてる
季節はずれの雪が降ってる 東京で見る雪はこれが最後ねと
さみしそうに君がつぶやく なごり雪も降るときを知り
ふざけすぎた季節のあとで 今春が来て君はきれいになった
去年よりずっときれいになった
であるが、この「なごり」というのは、二重の意味をもっていることは、若いうちはなかなか実感できないものだ。
辞書によると、名残というのは語源的には余波のことであり、事柄の過ぎ去ったあとになおその気配や影響をが残っていること、だそうだ。だから、台風の名残とか古都の名残、などと使う。転じて、名残惜しい=別れがつらく、惜しいと思うことに繋がってくる。
イルカの場合は、男の視線を女性が歌うものだから、この感傷があまり強く伝わらずに、その分、軽い感じになっている。この曲が多くの人の愛唱歌になったのは、この逆転した視点からの歌い方のせいだと思う。
さて、冬のサザンカだが、これが散り終わる頃から南の空にサザンクロスが見え始める、という具合になる、のかどうか。【彬】