コロナも第五類に移行し、安心感が広がる。この3年ほど中止されていた集まりなど再開される動きあり。懐かしい顔を見る。
コロナをきっかけに、3年前、カミユのペスト「La peste」を読んだ。もとより、関心があったわけではなく、コロナが背景で、国内外でよく読まれているからそれでは僕も、ということだった。苦労して。フランス語で読み通したが、もう手にすることはないと思っていた。だが、この度、辛い時期を改めて懐かしむような思いで、ページをめくってみる。すると、自然にそのまま進んでいった。キビシイ内容の作品だが、引き付けるものがある。
物語は医師のリユウ「Rieux」氏が診察室を出たところで死んだネズミにつまずくことから始まる。内容は承知のうえだか、どのような展開となるのか、初めて読むときのような、ドキドキするものがある。文章表現は難しく、密林をかき分け進むようなところもあるが、もはや義務感はなく、のんびりいこう。
194*年のアルジェリアのオラン市。癖のあるフランス語。再び、異次元の世界の旅を楽しみたい。
2023年5月29日 岩下賢治