ペーパーホワイト=水仙
武漢から発生したを新型肺炎ウィルスが世界中に蔓延中で、これをどう食い止めるのか。日本だけでなく世界中の喫緊の課題で、現地中国での様子がどうなのか、テレビなどマスコミを通じてだが、色々と伝えられてくる。私が気になることを箇条書きすると以下のようである。
⑴ 発生地武漢は1100万人規模のメガロポリスだが、中国は、これを一気に封鎖した。
鉄道やバス、飛行場など外部と接触する交通を遮断したのである。社会の根幹に当たる交通を、なんなく即座に実施してしまうのが、中国である。
都市の封鎖というのは、どういうことなのだろうか。問題を市中内だけで片付けるということだから、封じ込められた人はたまったものではないだろう。食糧や医薬、生活備品などの供給排出はどうなるのだろうか。もしウィルスに水が関係しているとなったら、水道も遮断するのだろうか。中国ではないが、昔は一帯を焼き尽くすということも行われたことがあった。
⑵ 収容する病院が足らないので、1週間足らずの間に新しく病棟を建てるという。
土地を確保し整地し、上下水道を完備し、電力を供給する建物を1週間ほどで建てるなど、狂気の沙汰のように思える。これも中国だからできることなのだろう。さらに中国各地の医療部隊が招集され命令一下、現地に向かう。まるで軍隊の兵站活動である。これも中国だからできることだろう。日本などでは、様々な手続きが必要で、まるでSF的だ。
⑶ 感染が懸念される市民は、病院に殺到する。しかし、それを受け入れる体制がない。人々は長い行列を作って診察を待つだけである。
民間の診療所とか、あるいは看護婦が臨時に対応する施設はないのだろうか。あるいは臨時に開設し相談に応ずるなどの活動ができないのだろうか。中国政府は習近平首席のもと、李克強首相が現地を訪れ、対策に追われている人たちに向かって、叱責するかのような激越な活をいれる様子が報道される。日本だと現地の対策本部に出向き、労をねぎらうのが普通だと思うのだが。
以上のよう苛烈な対策は一定程度成果を出しているかのようにも思えるが、さてこれが北京や上海といった都市に拡散していったらどうするのだろうか。
⑷ 現在の中国の動向は、中国という国の特徴をよく表しているように思える。
こうした対処の仕方は、共産党独裁という国家の強権的体制が引き起こすのだろう。しかし、本当は、唐代から清代、さらには現代にまで引き継いでいる中国の官僚制度に由来しているように思える。中国共産党は科挙の変形なのではないのか。そしてそれを差配するのが皇帝である。習近平さんは現代の皇帝なのであろう。
そうした政治権力の仕組みが、地方の自治を妨げ、民生の発展を阻害し、今回のウィルス肺炎の対応に現れているのではないか。
ウィルスの拡散は物流とは違って目には見えない。だから政治的な権力では動しがたいのである。おそらく、これに対処するには民間の生活レベル、例えば衛生、栄養、生活マナーといったものを改善する以外にない。日本ではあの東北大震災の時の地元の人たちの助け合いに思い至る。民生を豊かにすること、これが大規模災害の対策の基本であると思う。
武漢の肺炎ウィルスの早期の収束を願うとともに、これを教訓に、人事ながら中国が変わっていくことを念ずるものである。【彬】