白い花のツバキ
いよいよ寒さが本番。昨日(18日)は日中でも4~5°だった。風も強かったから、夕方の帰宅途中で耳が凍えた。思わずコートのフードをかぶった。こんな体験は久方ぶりである。
冬、晴天が続く関東では、この時期、大根干しが盛んになる。大根を冷たい水で洗い、軒端に吊るしたり、縁側に並べたりして乾燥させる。4〜5 日経つとしんなりする。それを沢庵漬けするのである。そのまま食べても少し甘味が出て美味しいし、塩漬けにしたものも美味である。大根に限らず白菜など漬物は全て一旦干す。冬野菜は干すことが料理の基本のようだ。干柿や乾燥芋も同様である。少し昔までは、冬場の家並みは地方色豊かだった。
そんなことを想いながら、我が家では、比較的空気の良い所を選んで、小魚を干している。今は、イワシ。一夜干しなどの丸干しを購入し、それをもう一度干すのである。2、3日後には、油が抜け、身がシマリ酒肴に最適となる。市販されている干魚は機械干しのせいか、塩が効き過ぎることもあって、美味しいものに巡り当たったことがない。
寒さについては、本当はそんな呑気がことが言えないのかもしれない。知人で山形出身の人は、冬の寒さが耐えられないという。
余談だが、米原万理の「マイナス50°の世界」(角川文庫)という小冊子を思い出す。ロシア通の米原が記者をシベリアのマイナス50°の集落に案内するという内容である。手元に原典がないので記憶だけで紹介するが、洗濯物の干し方が印象的だ。洗濯したものを、室内干しするのではなく、外に干すのである。例えばタオルなど一瞬のうちに凍ってしまう。そして凍らしたものを、バタバタと氷を落とす。すると乾燥した状態に戻るという。全くの異世界である。トイレの話も面白い。【彬】