米国タイム誌、8月28日号の特集記事は、HATE IN AMERICA、(アメリカの中の憎しみ)です。
南部バージニア州、シャルロッテビルの公園に立つ南北戦争の南軍将軍像の撤去に反対する白人ナショナリストグループのデモと、それに反対する市民グループが、衝突。ナショナリストグループのメンバーが、反対グループに車で突っ込み、8月12日、白人女性が死亡。多くのケガ人をだした。
タイム誌はこの事件について、20ページの特集を組んだ。内容は
① 事件の起きた背景
② アメリカの白人至上主義グループの成立の歴史
③ 白人はこれから何をなすべきか。
僕は、前にも書きましたが、タイム誌は主として、アメリカ人向けに、リベラルな立場に立った記事を載せている。その点を考慮しながら、興味深く拝読した。そして、自分の意見も書かせてもらいます。
① については、大統領が白人中間層に寛容な、トランプ氏になったこと。
② については、1865年、南北戦争に敗北後すぐ、南部同盟の一部組織が、kkk(白人至上主義グループ)を組織する。その後、国際状況に合わせ、さまざまな対応をしてきた。
僕は ③が、どう書かれるかに関心があったが、その要点は。
・白人のアメリカに戻したいという考えが、彼らの中にある。しかし、そもそも、ここはネイティブ・アメリカンと、草を食むバッファローの土地ではなかったか。今や、多人種による民主主義国家だということがイメージできないのだろうか?
・教育が重要。歴史に向き合うこと。この国は、原住民、奴隷の犠牲の歴史の上にある。多様性がこの国のエッセンス。理解には時間のかかることです。
・犠牲者が白人女性で、加害者が白人の男。もし、加害者が黒人だったらこれだけですんだだろうかうか。
・取り締まりの警官が白人だった。もし黒人だったら武器取り締まりはできなかったのでは?誰が事件を起こしたか、ではなく、何がこの事件をおこさせたかだ。
さて、僕の考えですが。
・白人(主に西ヨーロッパをルーツとする)の文化は、近世の世界を指導してきた。そして、今のアメリカの力は、それに加え、多様な人種、文化を取り入れることで、多様性と柔軟性を持っている。
・白人は、自信、プライド、自分が最も美しいという意識があるだろう。そして、心の奥底には、有色人種への差別意識があるはず。時間をかけ、理性的に自分の外の世界を理解してもらいたい。
・実を言うと。僕自身、以前は、欧米崇拝意識があった。今は、理性の眼で見ている。
絵は、南軍のリー将軍像の周囲に集まるナショナリスト。
2017年8月27日 岩下賢治