桔梗
私は長年、ジョギングを楽しんでいる。時には本気になって、フルマラソンを3時間を切ったこともある。
長年履いていたシューズがさすがに滅びてきたので、新調しにショップに出かけた。だが、そこの光景にびっくり。店は、山岳用品と一体化していて、何よりの価格に驚いた。シューズは2~30,000円するのである。ランニングパンツは8,000〜10,000円。びっくりして退散した。
ネット上で買えばパンツは高くとも、3,000円前後。ネット上で買うと、満足したものが届かないので、店頭に出向いたのだが、これでは手が出ない。
こうした消費構造の変化をどう理解したら良いのか。
いっとき、工業社会の到来は、品質の均一が進み、誰でもが同一のものを購買、消費する時代が到来し、社会をのっぺらぼうな均一社会に導くと、いわば大衆社会を批判する方便に使われたものだが、今やそうした均一社会は、物流の改革によって、消費者の嗜好を斟酌する場面は一層、消滅したように思える。消費者がモノと対面する場面が、画像などのデジカル化によって、生産者と消費者の距離が著しく離れた。
などと思いながら街を去ると、若者たちのファッションが、皆、ルーズなことの気が付く。動きやすければ、それでいいといった趣で、素材も伸縮自在なもの。体にフィットして、年齢にあった肢体美を表現をする、といったセンスは全く感じられない。これならばネット上で、安価なものをいくらでも買える。
時代は変わった。同年輩で早世した才人たちにこの現状を伝えたいのだ。【彬】