ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

集団自衛権に思う

2014年07月27日 | 日記

 安倍内閣が集団自衛権を容認する閣議決定した。簡単に言えば武力の矛先を、海外に向けることも視野に入れたということである。当然旧来の社共・市民派から激しい反対の声が上がっている。私は憲法遵守主義だから、集団自衛権などの姑息な手段によって「普通の国家」「世界に責任を果たせる国家」への脱皮などと憲法をないがしろにするのには反対であるが、社共・市民派などのように戦争に巻き込まれるからとか、ひどいのになると徴兵制に繋がるなどと愚にもつかぬ言論には与しない。

 集団的自衛権=軍事は、保持しない方がいいのは間違いない。だれでもそう思う。しかし、政治的な衝突があって、こじれにこじれて、切迫したあげく最終的な決断をするのは軍事である。だから軍事を無視することはできない。そこで、軍事を必要悪だとみなす学者もいるが、これは違う。必要悪だと見なすから、現在の国会論議のように、行使の条件を、あれやこれや突っつきたくなるのである。実際の軍事行使に当たっては、そういった議論はまったく無意味であることは軍事の専門家なら誰だってわかる。

 軍事というのは人を殺すことであって、その行使は条件づけられれば正当化されるなどということはありえない。その行使自体が全くの悪なのである。しかし、国家が侵略されれば、軍事を行使する。このことは自明で、法律に則りなどというような問題ではないし、けれども、これは絶対的な悪なのである。

 日本国憲法は戦争の放棄をうたっているが、その背後には絶対悪としての戦争を「飲み込んでいる」はずである。それは国民の暗黙の決意である。

 統治というのは、理念を実行するための権力である。理念は憲法に明瞭に表現されている。これを実現することが行政なのであって、必要悪として軍事問題をあれこれ言うのは、現代社会にあって時代倒錯も甚だしい。   【彬】

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夏の夜に寄せて‥‥夢の開拓。

2014年07月27日 | 日記

 今回は夢の話。

 7月22日、関東地方は梅雨が明けた。本格的に夏になり、人々は海や山に向かう。僕は最近、海にも山にも行っていない。それでも時々見る夢には海が出てくる。それは現実の海より楽しい。

 例えば最近の夢。

 ある夏の日、背筋の寒なるほどの真っ青な南国の海に漂っていた。とにかく安全な場所にたどり着かなければならない。それを水の中に求めた。進むうち、色鮮やかな衣装を着た娘たちに出会う。人魚たちだ。案内にしたがい、光溢れる穏やかな海中の館に入る………映像はまったくリアル。見るというより、そこで自分は行動している。私の脳は、それを夢ではなく現実と思っている。それでも落ち着くとこれは夢だと確信し直し、せっかくだから最後まで目を覚まさないようにした……。

 夢のネタは既に脳の中にあったようだ。その晩、夏らしい絵を描こうと青い海と人魚の構想を練ることになった。

 ところでこんなことを思う。

 一日は24時間。その内、①仕事に8時間、②余暇など自由時間に8時間、③睡眠は8時間。我々はこの①と②を充実させ、生きがいをえている。③はそのための休息。だが、①と②で実現できないもの、経験しにくいものがあるだろう。③の夢をもっと「開拓」できたらいいだろう……などという夢想。

 夢の中で素晴しいアイデアに出会えないだろうかということ。アイデアというのは自分脳の中に潜むものからのみ生まれると思うのだが、目を覚ましていうる間に出てこない素晴しいアイデアが、夢の中に出てきてくれないだろうか……夢の中で作家や画家などは作品のアイデアに出会うことを聞いたような気がするのだが。

 この夏のこの夜も、どんな夢を見るのか、楽しみにしている。                7月24日 岩下賢治

 
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日常の中の小さな非日常

2014年07月24日 | 日記

 私は、この7月初め小さな手術をした。左ソケイブ(腿の付け根)にできたホクロで、大きくなった腫瘍のようなものを切除した。良性だったので安心したが、この2週間、日常生活の一部であるランニングを休むことになった。

 ランニングは私の大切な趣味というか、生活の一部分になっている。ウィークデーは、毎晩8キロ、終末は25キロ走っている。この機会にランニングが我が身にあたえる、肉体的、精神的影響を観察することにした。……体重が増え、食欲が衰え、ストレスがたまる。中断の後のランニングは、多少脚力は落ちたものの、走った後の爽快感は格別に素晴らしい。やはりランニングは健康にいいですね……のようなことになるのかな、と想像していた。

 しかし、現実はそうではなかった。

 ●体重が増えることなく、食欲旺盛。ストレスなし。むしろ時間の余裕ができ、ほかにいろいろなことが出来た。

 ●2週間ぶりのランニングは多少腿に疲れはあったが以前の通りの走り。

 ●ランニング後の、特別の爽快感はなく、いつもの通りのスッキリ感。

 そして今の感想は、ランニングが健康によいことは間違いない。だが、それにこだわり、のめりこむのもいかがなものか。ランナーとしてのピークを過ぎた私は、これからも長く続けられる走りをしたい。

 久しぶりに8キロを走った晩。ベッドの上で「自分はランニングにロマンを求める夢想家だな。今回は、いろいろ考えすぎで自分で物語を作ろうとしたのかな」などと自分自身を観察した。外で激しい雨音が聞こえる。この2週間の小さな非日常に抱いた夢想を流し去るようである。

 

                                      絵は梅雨の夜の夢。    7月18日 岩下賢治

 

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国家意識が迫り出してきた

2014年07月07日 | 日記

 集団自衛権が閣議決定され、憲法との矛盾が、以前にまして露出してきた。

 周知のように憲法では対外関係の問題の解決に当たって、軍事による解決を禁止している。そこから軍隊を所有してはならないことになっているが、これを解釈によって自衛のための軍隊として、事実上、軍隊を保有してきた。今回の集団的自衛権は、自衛のための軍隊から一歩踏み出すものだが、実を言えば、日米安保条約には「集団自衛権」が明記されいる。これを憲法との関係から、付帯条項であるガイドラインとして、日本の集団自衛権が抑制されて今日に至っているわけである。これを正規の安保条約に戻そうというのが、オバマ&自民党安倍行政である。

 ここで問題となるのはなにか。

 集団自衛権によって戦争に巻き込まれるからだ、というのが大江健三郎氏などの主張である。本当にそうか。

 私には極めて薄弱な反対論拠であるように思われる。戦争は最終的には政治な解決手段であって、今日の世界情勢の中で、戦争によって解決を図るような事態はあり得ない。かつて衛生国であった東欧では、依然として現実だが。また隊員を死に追いやるとか、ひどいのは徴兵制に至るといった言説をもっともらしく述べることにも、正気を逸した情状を感じる。

 集団自衛権は、憲法に違反しているから問題なのであって、戦争に至るから問題なのではない。日米安保条約の批准は条文に照らす限り明らかに憲法違反なのだ。かろうじて解釈によってやり過ごしてきたのであって、再修正するなら憲法を改正することが本来の筋である。自民党行政の内部にもそういう意見はある。従って、この再修正(閣議決定)を放置していくことは、国家の変質に至る。

 ここで、最も注意したいことは、自民党は行政を司る単なる一党派であって、国家ではないということである。

 国家とは憲法の別名なのだ。

 国家を領土とか国民の同一性(共通言語)とかを条件とする学者がいるが、それらは国家を機能的側面から整理したものに過ぎない。国家は国民の社会生活全般の上に、ちょこんと乗っている権力機構のすぎないのである。それを規定しているのが憲法であって、我が国はこの憲法を敗戦の中から、基本的人権の確立、文化的生活の保障について、軍事的圧力を使用しないで実現するという理想を込めて宣言しているのである。私たちの生活は社会的な関係の中の生活であって、国家という幻想に覆われた中での価値観で生活しているわけではないのである。だから人々が集団自衛に無関心とかいって民主主義の危機などと触れ回っている人は全く勘違いである。

 国民の生命・財産を守るため、国家の安全を保つための集団自衛権をみとめるべきだとの安倍自民党の見解は、国家を機能的に考え、国民の広範囲な生活を覆うものとして過大に考える立場だ。国家をそのように拡大して考えるのは、大きな間違いだ。

 現在、多くの国民が安倍政権を支持しているかのようにみえるのは、人々の社会生活がが新しい資本主義の段階にはいり、格差社会が広がっていることへの焦燥からなのである。

 安倍政権反対派はこのことを良く肝に銘じておく必要がある。【彬】

 

 絵は玉川上水のニッコウキスゲ。群生している。この植物は高山性ではないらしい。

 

 

 

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