ロンドンオリンピックに大変感動した。
さて、私は、オリンピックについて、3つの考えを持っていた。そして、今回あるシーンを見て、もう一つ増えることになった。
まず、3つの考えとは。
第1。人間は、グローバル世界に参加し、自分を世界に示したいという強い意志を持つ。今回、北朝鮮、シリヤ、イラン、イスラエル、パレスチナなどが、政治的困難を越えて参加した。
第2。人間は闘うこと、勝ち残ろうとすることで、恐ろしいほどの力を発揮する。闘う姿は崇高で美しく、最高のエンターテイメントである。
第3。オリンピックの最高のシーンは、閉会式である。「闘い」を終え、宗教、文化、人種、政治の違い、壁を超え、一体感を分かち合う。これこそ、政治、経済、文化のどの領域でも実現困難なものである。
さて、今回見たあるシーンとは。
陸上女子800メートルである。サウジアラビアの選手が、頭から、手足を覆うユニフォームで走った。後方でゴールしたが、顔は笑顔であった。過去には、同様のユニフォームの女子選手がメダルを獲得している。こうして4つ目の考えが加わることとなった。
第4。自国の文化にプライドを持って闘う。他と違いがあってこそ、グローバル世界での固有の存在価値となる。
メダル争いは、人種的肉体の優位性、経済力などで偏りがちであり、国籍変更というおぞましいと思える現実を産む。いまや死語となった観があるが、「オリンピックは参加することに意義がある」である。 【岩下賢治】