ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

ある夕暮れ時の幻想

2017年09月27日 | 日記

 9月25日の午後五時頃。小金井公園の所定コースで、200m×10本の、インターバル走に入った。すると、近くの高校の陸上部員7~8名が、授業後の部活に集まってきた。そして、僕のコースを使い練習を始めた。僕と、彼らは同じコースで走ることになったわけだ。

  高校陸上部員は、体形、ランニングフォームが美しく見ていると元気をもらえる。走っているうちに、彼らのチームの一員であるような気分になってくる。夕日が木々の間から差し込む。照り付けられた彼らのランニングの姿が、僕自身の高校時代を思い出させる。3流だが陸上部員だった。当時、授業を終えての練習は夕日に照らされながら走っていたのを覚えている。この日、僕は、自分のランニングメニューを終えた後も立ち去りがたく、しばらく彼らの練習を眺めていた。

 自宅への帰路途中、彼らの学校の横を通った。校庭で運動する生徒たちを夕日が照らしている。校舎からは、音楽部の練習だろう楽器の音が聞こえる。

 僕の胸の中に新しい空気が満ちてくる。この日の夕暮れ、懐かしい時代への幻想に包まれていた。なんと楽しい時であったろうか。

    絵は、小金井公園でのランニング。

    2017年9月26日  岩下賢治

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養老都市は不可能なのか

2017年09月16日 | 日記

 器用な人がシャンペンの蓋で洒落た椅子を工作しました。となりはビニールの子猫

 人口の都市への一極集中が進んでいる。中山間はおろか中小都市も衰退の一途で、日本列島はシュリンプ化しているとか、限界集落などという命名がされているのは周知の通り。各地方・都市は対策に知恵を絞っていて、かつては工業団地の造成など積極的に行っていたがうまくいかず、今日では、観光開発とか芸術の招致などといった方策は出ているものの、掛け声だけで相応の成果を出しているとの報告はない。

 地方が衰退するのは若者が都会に逃げ出すからで、だから若者対策が必要、と誰もが言う。そうだろうか。私の考えはまったく逆で、地方が衰退するのは老人対策をしてこなかったからだ、と思う。例えば、都会には歳をとったら田舎に帰って、田畑と共に暮らしたいという人は多い。そして実行している人もいる。しかし、せっかく田舎暮らしをし始めたのに、病院とか不便がたたって逆に都会に戻ってしまっているケースが少なからずあるのだ。地方は、年取って田舎で静かに暮らしたいと願う人に応えるべき老人対策を怠って来たのだ。

 老後をどう過ごすべきかを含め、私は養老都市というのを夢見ている。

 地域の中心に総合病院があり、その周囲を取り囲むように老人ホームや各種の介護施設が点在している。各施設には看護婦が常駐し、些細な病状や健康状況の相談を受け、症状に応じて病院で診てもらえるようにする。

 現在の医療機関は患者と病院をつなぐ中間の看護制度が無いために、いきなり病院に通い、その結果、病院が養老院化しているように思う。その昔、庶民には病院は遠い存在だった。その代わりとなるものに診療所とか地域だけの医療機関があり、ちょっとした病気はみなそうした施設を利用していた。医療知識のある看護婦には、介護施設に常駐し、こうした役割を果たしてもらいたい。病人は医者に診てもらう前に、親身に相談してもらいたい人を欲しているのだ。

 施設の食事は大きな給食センターが、会社の社食のような感じで供給する。現在、社食というのは町のランチなどよりずっと充実して共同の食事スペースとして歓迎されているのだ。センター内は誕生パーティーなど行事も行えるよう整えたい。

 こうした施設が10数棟点在していることで、入所している老人たちの相互交通も可能となり、生活が多彩になる。また規模が大きくなれば介護する側も効率的になる。

 現在、地方にある老人施設は、街から切り離され、孤島のようだ。また都市近郊になる施設は中層構造で、老人が住むに適しているとは思えない。

 地方の広い土地を生かし、建物はバリアフリーの平屋かせいぜい2階どまり。数多くの施設が集まれば、その地域相応の経済圏が成り立ってくる。

 例えば医薬や介護製品、さらには衣料や食品、移動用のスロースピードの電気自動車。こうした需要に応えるべき産業が周辺に出来上がる。近郊の農家は安定した生鮮食品を供給するだろうし、そしてなによりこうした需要に応えて働く人は、もちろん若者だ。

 つまり、老人が最大の消費者になることで、地域が活性化するのである。今日、経済の活性化は生産にあるのではなく、消費に中心があるのである。老人たちの年金をベースにした養老施設によって、おろらく数万都市が形成されるはずだ。

 こういうと荒唐無稽に思うが、突飛なことであれ、新しい考えをいれないと未来を語ることはできない時代にきているように思う。【彬】


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夏の終わりに

2017年09月10日 | 日記

 この夏は暑かったが、9月に入ると涼しい風を感じることもある。すると、「夏の終わりに」という言葉が何度も浮かんでくる。季節の変わり目は、それぞれの感慨と風情があるものだ。活動的な夏を追想するような、やり残したことを悔やむような、何か切なさのような感覚だ。

 僕はこの感覚がすきだ。すると、爽やかな自然の中に入りたいと思う。茨城にいた頃ならば車に乗り、窓を開け爽やかな空気を入れ、山の中をドライブするだろう。だが、東京にいる今、車はないし、近くに山はない。 

 天気の良い土曜日のこと。自宅近くの、武蔵野公園、野川公園、にウォーキングにでた。これら公園は自然のままの姿をよく残している。吹く風涼しく、蝉時雨は、アブラゼミからツクツクボウシに変わっている。公園の木々の間を思うがままに巡り、野川公園に併設された自然観察園にはいる。周囲をネットフェンスで囲い、昆虫や植物を保護管理している。木製の遊歩道に沿い歩く。実に多様な、夏から秋の山野草の花々。彼岸花は芽を伸ばし秋の花の準備をしている。水生昆虫やホタルを観察する池、エリア、もある。 

 僕は、野川公園にはランニングの練習で時々は来園するが、「夏の終わり」を求めてのウォーキングは初めてであった。涼しくなったこの日、多くの人が公園を訪れていた。みなそれぞれの「夏の終わりに」を楽しんでいる。

    絵は自然観察園内の、ほたる池。

        2017年9月9日  岩下賢治

 

 

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画像の投稿あり

2017年09月08日 | 日記

 三尾伸二郎君から、絵の投稿がありました。

 深い森林を歩き廻った時の光景のようです。


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養老介護の行方

2017年09月04日 | 日記

  エゴノキの実です。食べられませんが、みずみずしい実をつけています。


 知り合いが老母を施設にいれたと報告に来て、ホッとした様子だった。それは良かったと慰めながらも、費用が気になって、いくらかかるの? ときいてみた。すると、月に40万円と言うことだった。高額だとは予想していたが、40万と言うのには呆れた。一体その金額、誰が払うのか? 当然高齢の入所者は払えない。家族が負担することになるはずだが、月に40万と言うのは、中堅のサラリーマンがやっと手にする金額である。
 そう言えば、絵本作家の佐野洋子さんの優れたエッセイ「シズコさん」の中で、苦労して老母を施設に入れる金額が、確か30万円だった気がするから、東京都内や近郊の有料老人ホームの費用は30〜40万というのが普通なのだろう。
 特養のように、安価で無料とは言わないが、介護費用がこれほど高額になっていることの現実を、方法を尽くして改善する必要があろう。もちろん現在の介護保険制度はそれなりに工夫がこらされ、費用の面でも福祉予算が費やされているのだが、基本は介護認定の程度によって費用が異るように設定されていて、入所するにはそれ相応の条件が必要になっている。しかし、私は希望者は誰でも等しく入所でき、それなりの予算措置がされるべきものであると思う。介護はできるだけ家族がすべきで、家庭で処理できなくなった分を、社会が面倒をみようとする考え方が背景にあるため、重度の介護認定でないと保護の対象にならないという思想がその背景にこびりついているのだ。
 養老介護は、理想からいえば介護の必要度の程度で差配される問題ではなく、老衰を迎えた老人に等しく施されるべきものだと思う。
 老衰は誰にでもやってくる。そしてそれは育児と同じように介護なしには対処できない。これは人間の宿命である。私たち高齢者は家族に迷惑をかけないように「ピンピンころり」が理想などと、ことあるごとに冗談めいたため口を叩き合っているのだが、「ピンピンころり」ではなく、穏やかに安心して終末を迎えたいのである。
 私は介護施設と総合病院が有機的に繋がった介護都市のような構想を持っている。次回に述べて見たい。【彬】

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