ツワブキの花
先日、デパートに下着を買いに行ったら、フロアはガラ空き。お客は誰もいない。各ショップには販売員がいるのだが、お客は本当に誰もいないのだ。デパートの衰退は聞いてはいたものの、こんなにひどい状況だとは知らなかた。自社ビルだからなんとか経営はしているのだろうが、こんな状況というのは、きっと何か時代認識に錯誤があったのだろう。
今、デパートで残っているのは、銀座の三越と新宿の伊勢丹で、新宿の小田急は廃館だと聞いている。池袋の西武も同じ運命に違いない。こうした衰退は、特定のデパートということではなく、デパートそのものが持っていた特有の商法そのものからなのだろう。日本だけでなく、世界中のデパートで起こっていることなのかもしれない。
デパートというのは、ブランドを保障する商法だった。あのデパートで買えば安心だ、高級品だ、という購買者意識に依存していた。閑散としているのは、消費者がこうしたブランド意識を持たなくなったからだと思う。特に衣服類。衣服については昔、マンションメーカーというのが流行って、それまでのブランドを破壊していった。その後は、無印やユニクロといった安売りが幅を聞かせて、今日に至っている。今、デパートで衣服を買うのは、私のような高齢者か、来日したアジア系の富裕層だけである。
衣類は、どこで買っていいものか、私など見当がつかず、結局デパート頼みになるのだが、たまにユニクロに行って買っても、サイズ表示が曖昧で、納得したものを手に入れた試しがない。消費に関しては、私は完全に時代に取り残されている。
今、ファッションの変化は想像を超えている。スーツやドレスを着ている人はまれで、職場の服装はジーパン&Tシャツだ。服装に関する美意識が全く変わってしまっていて、きっちりとしたウエアではなく、ブカブカで、だらっと覆うような服装が流行り。店舗も対面を重視しておらず、ユニクロや無印のように、スーパーの棚のような展示が標準になっている。
私が求めたのは、ネック付きのアンダーウエアだったが、そういうものはない、とあっさり済まされた。私は冬、ウールのシャツを着ると首回りがチクチクするので、冬場は首を保護するものが必要なのだ。それに体に密着した肌着でないと、寒くて仕方がない。そうした下着を以前はデパートの下着売り場で売っていたはずなのだが、、、。
服飾品だけでなく、靴とかバックとか、雑貨類でも、どこで売っているのか、私たちの年代の人にはもう分からなくなっている。街から洋品店、文房具店、雑貨屋、本屋、金物屋、靴屋、その他、馴染みの店舗はすっかり姿を消してしまった。【彬】