米国TIME誌の、2月26日付け特集は、「いかに、より長く、より良く生きていくか」How to live longer better。 32ページに亘る力のこもった記事で、おおいに関心を持ちさっそく読んでみた。内容は表題に関わる、様々な、学説、現状、話題などの紹介となっている。
その概略をそれぞれの記事単位に順に書いてみよう。
① 高齢化社会で、最も難しい病の一つ、アルツハイマー型認知症。その原因となる脳神経に粘着するたんぱく質、アミロイドAMYLOID を壊す画期的な治療薬, aducanumab,の開発状況の紹介。記事では臨床実験にボランティアで協力する夫婦を紹介。
② ロシア、フィンランドなどでは、真冬に氷の浮く水のなかで水泳を楽しむ人達がいる。
寒中水泳は、100年以上の歴史があり愛好クラブもある。そして、かなり高齢になっても続けている。水泳で体の痛みがなくなり、血液の循環がよくなるという。・・・掲載されている、泳いだ後、仲間とともに雪の上を転げまわり戯れる白髪の老人たちの写真。シロクマのようである。
③ 老化防止に役立つ、酵素NADの紹介。 臨床実験でも効果が確認されている。あるメーカーはサプリメントとして販売している。
④ 信仰心ある人は長生きできるか? あるレポートでは16年間の追跡調査の結果、週1回以上教会に行く人は、そうでない人より33%死亡率が低いという。宗教の教義ではなく、敬意、哀れみ、感謝、慈善、などからもたらされる人間の繋がりのようなものが長生きになるのだろう。
⑤ 豚の臓器の人への移植の将来は? 今、全米で臓器移植を待ちながら叶わず、亡くなる人は年間、8000人。臓器不足に対応し、某大学研究所では豚の臓器を人に移植できるよう編集したDNA(CRISPR)の試験をしている。多くの利点があるものの動物の臓器を移植に使うことの倫理的問題はある。
⑥ 死をもっていかに平安をつくりあげるか? ある文化人類学者は、「死は人間の行動の源泉である。」と言う・・・自らに終わりがあると思うから、偉大な発明や、芸術作品を創り出す力がだせる。
若い時代は死を恐怖に感じる。が、歳重ねるにしたがい薄れていく。それは、自ら作り出してきたものは、次の世代に移っていくものと思えるようになるからだろう。
⑦ アーミッシュの人達(AMISH)からなにを学ぶか? ペンシルベニア、オハイオ、インディアナ、にアーミッシュと呼ばれる、ドイツ系移民でキリスト教非主流派の人達がコミュニティーをつくり、移民時代の生活様式そのままで暮らしている。彼らは車、テレビ、電話など文明生活を否定し、自給自足で肉体労働がほとんど。肥満、糖尿病がすくない。婚姻はコミュニティー内で行われ優良な遺伝子が受け継がれているようで、一般アメリカ人より寿命は10%長い。人生の終焉は家族親戚に見守られ迎える。
⑧ 年をとったら新しい友人を作るべきか? 孤独でいる人はとそうでない人に対し26%の割合で死亡リスクが高いとの研究結果あり。友人を見つけるのに遅すぎることはない。
以上が概略です。さて、人生100歳時代と言いながら、体と心の健康、生活の充実をいかにしていくか、やさしくはないと思う。TIMEの記事内容はアメリカなど外国の話だが、食事、運動、友人、社会とのつながり(仕事)が大切だということは日本と共通している。僕としては少しは視野がひろくなった気にもなり、これからも健康に注意していきたいと思う次第。
絵は記事に掲載された写真を絵にしたもの。女性がダンスしている。
2018年2月26日 岩下賢治