ヒメウツギ 相変わらず下手な絵です。
私は都心に住んでいるが、周囲にはいろいろな病院がたくさんある。大学の総合病院、外科病院、内科病院、産婦人科、歯科、眼科、鍼灸医院、諸々。人口が多いからそれだけ医療の需要があるのだろう。
加えて、最近は高価な高齢者向けの有料老人ホームが建設されている。月50〜60万円とか、想像もつかない金額だ。これも需要があるのだろう。
いっとき、地方へのUターンが盛んで、私の友人は「田舎暮らし」を薦める図書を出版していたりしていた。ところが今や逆で、なんでもかんでも都心、という感じになっている。前に紹介したが、少子化で学校の廃校が相次いだが、今や児童数が増え、公立小中学の学級がパンクするのではないか、と懸念されている。いわゆる都心回帰、こうした傾向をどう理解したら良いのだろうか。
思うに、SNSなどを踏まえた、超現代に向けての胎動なのだろうか。都市を中心とした新たな社会制度、生活様式がおぼろげながら見えてきているようにも思える。経済学者・社会学者の出番だと思う。
しかし私はこうした都心回帰とは別の、逆の方向を考える。地方の役割が増す時代だと思うのだ。もちろん、今もてはやされている持続可能化社会とか、グリーン革命とか、そんないかがわしい考えではない。
超高齢化社会の中、多くの老人向けに、地方各地に本格的な総合病院が作られ、そこを中心とした医療都市ができるのではないか、と期待しているのである。私はそうした場所で老後を過ごしたい。家内は都心の自宅で死を迎えたいなどと言っているが、私はみどり豊かな地方都市の老人ホームや医療施設で死を迎えるのがいいと思う。できることなら、出身地の近くがいい。その地でこそ、自分の一生を見極めることができる感じがする。
緊急事態宣言のもとで、都市では病院の逼迫が言われているが、ちょうど良い機会なので、この機に地方に病院及び関連の医療機関、そして介護施設を充実して欲しい。今日の通信技術・デジタル技術のもとなら、地方医院でも都会の最新治療は遠隔操作で自在に診療・施術を受けられるはずだ。そして病院ができればその関連の施設、例えば老人ホーム、健康センター、さらには墓地などが付随的に増えていき、そこが新たな医療都市=騒々しくはなく、落ち着いた都市に変身していくのではないだろうか。
地方なら、費用も格段に安価だし、需要は多いと思う。動きの激しい都市はもともと老人には不向きな場所なのだ。地方の行政担当者の方、ぜひ病院誘致に取り組んでもらいたい。【彬】