米国タイム誌は12月23~30日の合併号でperson of the year(今年世界に最も影響を与えた人)にスエーデンの環境活動家、16歳の高校生、Greta Thunberg(グレタ・トゥーンベリ)を選んだ。
選んだ理由は、
8歳の時、地球温暖化の危機を知って、政治家がうまく対応してくれると思っていたがそうはなっていない。それで、学校を休んで、一人国会に抗議に出た。それが世界中の若者に共感と行動を呼び、さらには、国連事務総長、各国の大統領、ローマ法王等々との面会にまでつながることになった。若者のパワーは香港、そしてアメリカの高校生の銃規制を求める行動ともつながる。グレタは、この地球を分け合う人間たちの弱肉強食で分断された世界にたいし、警告を鳴らし、国情や国境をこえて我々に、新しい世代がリードする世界がどのようなものかを示した。よって、2019年のperson of the yearは Greta Thunbergとした。
読後の僕の考えは、
・グレタは、16歳の高校生。地球温暖化の専門的知識があるわけでもなく、選挙権もない。だが、「自分の孫たちに、できる限りのことを全てやった、と言いたい。」と語る。感心しない大人はいないだろう。
・グレタが国連で各国の代表たちを前に主張する姿を見て、彼女は、現代のジャンヌダルクに見えた。フランスがイギリスとの100年戦争(1339~1453年)で劣勢に立った時、オルレアンの農家の少女が神の啓示を受け、大人たちを鼓舞し先頭に立ち勝利に導いた。国内が分裂している時ジャンヌはどのように語り、鼓舞したのだろうか?
グレタは、国連総会で、言うことを聞かない子供たちを叱るようにこう発言した;
“We are in beginning of a mass extinction, and you can talk about is money and fairy tales of eternal economic growth. How dare you.”
「私たちが全滅の始まりにいるというのに、あなたたちは、お金のことや、経済成長が永久に続くかのようなおとぎ話をしている。よくそんなことが出来るわね。」
・マドリッドで開催されたCOP25での共同声明は、具体的な数値目標は提示さなかったが、各国の事情に合わせ進めていくことで合意した。そして各国は進めていると聞いいている。グレタに鼓舞されている。
絵はTIME誌の表紙をスケッチしたもの。
2019年12月23日 岩下賢治