ジュズサンゴ
私はラーメンが好きである。特に豚骨ラーメンのこってりしたもの。
昔、友達を頼って福岡に行った折、地元の人気だという豚骨ラーメンを食べた時は、味も素っ気もなくなんと不味いものだと思ったものだが、今は逆に好物になった。
私の味覚が発達したせいもあるかもしれないが、おそらく豚骨ラーメンが東京に出向くときに何か味の変更・追加があったのではないか、と思う。私の味覚の変化だけでは説明できそうもない。
豚骨ラーメンで面白いのは刻んだキクラゲである。九条ネギの青みとこの黒いキクラゲで濃厚さが緩和されている。
それはさておき、ラーメンを食べる時の仕草が気になる。私はツユが撥ねるので膝にハンカチを敷く。そうでないと油たっぷりの麺ツユがズボンに染み付いて抜けなくなる。丼の周りにもツユが撥ねるので、テッシューが欠かせない。
ところがそんなふうに食べるのは私だけだ。みんなどうしているのだろうと、周りの人をみると、ほとんどの人が丼にかぶさって食べている。箸で麺を掬い上げるというより、口元を丼に近づけている。なるほど、これならツユがはねることはない。
でも、なんだか、美しい姿には思えない。ラーメンという庶民的な食べ物にマナーなど言うべからずだろうが、気になる仕草である。同じ麺でも、日本蕎麦ならチョコを手に持って、麺を高々と伸ばして食べるのだが。【彬】