先の、フランス大統領にマクロン氏が選ばれたことで、米タイム誌がどのような記事を載せるか期待していたが、5月22日号で、カバー記事として掲載した。見出し文章は、「フランスの戦いは終わった。しかし、グローバリズムとナショナリズムの争いが正に始まった。」記事は常識的なものだと思うが、僕自身の考えも加えて書いてみたい。
タイム誌の要旨
① 先進国の多くの人は、グローバリズムの進展は、国家とか国境を気にも留めないエリート層に恩恵をもたらし、一般国民は置き去りにしてきた、と恐れる人多い。中間層の没落である。
② グローバル貿易は製造業や技術に変化を与え職場を変え仕事がなくなっていった。
③ その影響は、中、後進国にも及んでいる。ロシア、トルコ、インドネシア、中国、メキシコ・・・でも貧富の格差が広がる。アラブの春は、貧富の差への不満が、独裁政権打倒への動きにもつながった。
④ ナショナリストは、貪欲なエリート層に対抗する一般国民、という図式で信任を得ようとしている。
⑤ 各国政府は、ナショナリストに対抗し、様々な、職業保障制度、賃金保障制度を導入しようとしているがかなり難しい。しかし、やるべき課題である。
僕自身の考え
① この記事は興味深いが、タイム誌の編集方針に沿った内容であること。
② 世界の政治経済の流れは、おおきくはグローバル化の方向なのかもしれない。世界大戦を経験してきた多くの人はそう考えるだろう。
③ 一方、生活者として、個人としては、そう単純ではない。ナショナリズムとグローバリズムは、その状況により、競争しまた共存していくものだと思う。
④ 自由貿易、経済のグローバル化は、国単位では、資源の有効利用という点で、地球規模では正しい。だが、国内では、貧富の差、産業や文化、習慣の衰退をもたらすこともある。
⑤ 僕自身の考え・・・・いまのところ、はっきりした方向性が見いだせない。
絵はマクロン氏フランス大統領。
2017年5月24日 岩下賢治