ツユクサ
西日本一帯を豪雨が襲った。一日ではなく、断続的に数日、大雨が降り注いだため、応急の対策が取れにくく、想像以上の災害となった。報道や投稿による画像をみると、東日本の津波災害を思い起こすような凄まじい土砂の流れである。
災害対策で特に話題になるのは、自衛隊の出動と民間ボランティアである。
これについてはいろいろな意見が出ている。私も思うことがある。対岸のこととしてではなく、自分が災害にあった時のことを念頭に置いたうえで、重要だと思うこと2点について、意見を述べておきたい。
①自衛隊の出動について
東京都内では自衛隊の車両や隊員の姿を見ることはほとんどない。私は東北大震災のとき、ボランテイア先で眼の当たりにした。そこでの印象だが、自衛隊はまさしく軍隊である。その威容は圧倒的である。隊員たちの挙動や車両、装備も、私たちの日常とはかけ離れている。軍隊は武力がすべてであるから、当然のことである。重機を繰り出し災害救助にも圧倒的な力を発揮する。
でも、私は軍事的な力で災害に対処してもらいたくない。
軍隊に匹敵するような災害救助隊があれば、と思う。軍隊の陸海空三軍から一部を分離して、日常的に災害救助だけを本務とする部隊に編成してほしい。私たちが消防隊員に対するのと同じような視線を向けられるような組織であってほしいと思う。
②災害ボランテイアで思うことは、専門職による支援だ。今日の住まいは都会であれ地方であれ、高度なインフラに支えられている。電気・ガス・上下水道・通信・交通と、私たちの日常の感覚では把握できない仕組みの中に組み込まれている。だからこれらの修復が最優先される。ゴミ等の処理は後回し。まずインフラの確保が大切である。
こうしたインフラの修復は電力会社やガス会社、水道事業所などの企業体が素早く対処してくれているが、十分には手が回らない。特にビルや建屋内の処置までは行き届かない。それを優先して行う専門職のボランティアが必要だ。素人が処理できる問題ではない。この面の対処がどうなっているのか、情報が不足しているように思う。
私は都内でマンション住まいだが、マンション組合の理事になって何回も何回も会合に出てはいるのだが、建物の仕組みを完全に知るまでには至っていない。
災害時に必要なのは本当は備蓄などではなく、建物や都市の仕組みの理解である。都市の災害を行政任せにするのではなく、身の回りのインフラに気を止めることが大事なことのように思える。【彬】