東京の郊外は、早朝から雨が降り、寒い朝を迎えている・・。
私は玄関庭の軒下で煙草を喫いながら、
小雨の中のもみじの朱色、花梨(カリン)の黄色の色合いを観たりしていた。
それぞれの樹木は、半分近く落葉はしたが、
それなりに風情があった。
私は居間に戻り、煎茶を飲みながら、主庭の白梅を見たりした。
黄色の葉は大半落とし、樹木の周辺に褪(あ)せた黄色いの葉が散り乱れている。
そして、もみじの朱色の葉は、小雨を受けて、ときおり数枚の葉が音も無く落下している。
♪静かな雨 並木の雨
あなたを待つ 胸に降る
【訳詞・高田 三九三】
私は小声で唄いだした・・。
♪流れる唄 懐かし唄
夢をささやく あのメロディー
家内が傍でいたが、どういう風の吹きまわしかしら、
と笑っている・・。
♪いつの日にか また逢いみん
溢れくるわ 涙
私は小声で鼻歌を唄っていたが、どうしてこの歌を唄っているのかしら、
と思ったりしていた。
ここ数日、私の20、30代の頃の日記やらメモ書きを整理している。
バラバラに書きとめてあったりしているので、
パソコンの日記のようなの形態ソフトに転記していたりしている。
ときおり拙(つたな)い字で書きなぐるように綴られたりしているが、
まぎれもなくあの頃の思いが書かれていた。
例えば、35年前前後に『銀巴里』に行き、シャンソンをよく聴いたりしていた。
家内と結婚する前に、二人で『銀巴里』とか、
近くのシャンソンを聴かせてくれるカフェ・バー形式のような処にも行ったりした。
新婚まもない時、東急ホテルの小さなレストランで、
デイナー形式でシャンソンを聴きながら、夕食を頂くのに、私達は参加した。
歌い手は私が魅了されている金子由香里さんで、
家内に『銀巴里』と違った面がこのお方は表現できる人であり、
せひ観て欲しかったのである。
3曲を唄った後、ボーイさんがリクエスト曲の用紙を廻してきた・・。
私は万年筆で、『小雨降る径』と書き込んだ。
20分過ぎた頃、リクエストの3番目として、
『どなたが・・この《小雨降る径》をリクエストして下さったのでしょうか・・』
とこのお方は言った。
私は片手を少し挙(あ)げた。
このお方は少し驚いた表情されたが、唄いだした・・。
この後、数曲唄われた後、私達のテーブルに近寄ってきた。
『今晩・・来て下さって・・あたくしの歌を・・よく聴いてくださる方ね・・』
と私に向って、このお方は言った。
私はカフェ・バーなどで、よく通ったので、ときおりリクエストなどをしていたのであった。
私は、家内を連れていたので、このお方にしてみれば、
人生の駆け出しの私達を観て、慰めと励ましでわざわざ、と思ったりしている。
若き日々人生を歩みだした時、『小雨降る径』をリクエストしたのだから、
この頃の私は人生に気負っていたのかしら、と先程から苦笑している。
私は玄関庭の軒下で煙草を喫いながら、
小雨の中のもみじの朱色、花梨(カリン)の黄色の色合いを観たりしていた。
それぞれの樹木は、半分近く落葉はしたが、
それなりに風情があった。
私は居間に戻り、煎茶を飲みながら、主庭の白梅を見たりした。
黄色の葉は大半落とし、樹木の周辺に褪(あ)せた黄色いの葉が散り乱れている。
そして、もみじの朱色の葉は、小雨を受けて、ときおり数枚の葉が音も無く落下している。
♪静かな雨 並木の雨
あなたを待つ 胸に降る
【訳詞・高田 三九三】
私は小声で唄いだした・・。
♪流れる唄 懐かし唄
夢をささやく あのメロディー
家内が傍でいたが、どういう風の吹きまわしかしら、
と笑っている・・。
♪いつの日にか また逢いみん
溢れくるわ 涙
私は小声で鼻歌を唄っていたが、どうしてこの歌を唄っているのかしら、
と思ったりしていた。
ここ数日、私の20、30代の頃の日記やらメモ書きを整理している。
バラバラに書きとめてあったりしているので、
パソコンの日記のようなの形態ソフトに転記していたりしている。
ときおり拙(つたな)い字で書きなぐるように綴られたりしているが、
まぎれもなくあの頃の思いが書かれていた。
例えば、35年前前後に『銀巴里』に行き、シャンソンをよく聴いたりしていた。
家内と結婚する前に、二人で『銀巴里』とか、
近くのシャンソンを聴かせてくれるカフェ・バー形式のような処にも行ったりした。
新婚まもない時、東急ホテルの小さなレストランで、
デイナー形式でシャンソンを聴きながら、夕食を頂くのに、私達は参加した。
歌い手は私が魅了されている金子由香里さんで、
家内に『銀巴里』と違った面がこのお方は表現できる人であり、
せひ観て欲しかったのである。
3曲を唄った後、ボーイさんがリクエスト曲の用紙を廻してきた・・。
私は万年筆で、『小雨降る径』と書き込んだ。
20分過ぎた頃、リクエストの3番目として、
『どなたが・・この《小雨降る径》をリクエストして下さったのでしょうか・・』
とこのお方は言った。
私は片手を少し挙(あ)げた。
このお方は少し驚いた表情されたが、唄いだした・・。
この後、数曲唄われた後、私達のテーブルに近寄ってきた。
『今晩・・来て下さって・・あたくしの歌を・・よく聴いてくださる方ね・・』
と私に向って、このお方は言った。
私はカフェ・バーなどで、よく通ったので、ときおりリクエストなどをしていたのであった。
私は、家内を連れていたので、このお方にしてみれば、
人生の駆け出しの私達を観て、慰めと励ましでわざわざ、と思ったりしている。
若き日々人生を歩みだした時、『小雨降る径』をリクエストしたのだから、
この頃の私は人生に気負っていたのかしら、と先程から苦笑している。