夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

東京郊外に住む田舎者の私、冬の季節を迎えると、雪恋し、と心の中で呟〈つぶや〉きながら・・。

2011-12-12 09:32:16 | 定年後の思い
私は東京郊外の調布市に住む年金生活の67歳となった身であるが、
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、我が家は家内とたった2人だけの家庭である。
そして雑木の多い小庭に古ぼけた一軒屋に住み、お互いの趣味を互いに尊重して、日常を過ごしている。

私の住む処は世田谷区と狛江市に隣接している調布市の片隅の地域であり、
結婚の5年間前後の川崎市の登戸、千葉県の市川市に住んだことがある以外は、
この地の調布市の一角で住み、早や60数年となる。

晩秋は暖かな日に続き、落葉樹の紅色、朱紅色、黄色などに彩った錦繍〈きんしゅう〉の時期が、
平年より2週間ぐらい遅れ、我が家のモミジなどは、朱紅色に染められて、確かに美景であるが、
戸惑ったりしている。
平年ならば、吹き寄せの朱紅色の落ち葉を私は掃き清めたりしている・・。

ここ数日、朝の6時過ぎの頃は、一昨日の10日はマイナス1度、昨日の11日は0度、
今朝は0度となり、屋根、地面などに霜〈しも〉がうっすらと白いベェールの情景となり、
遅ればせながら晩秋から冬の季節になったかしら、と思ったりしている。

そして、東北、北海道の地方で雪が30センチ降った、とテレビのニュースを視聴したりすると、
なぜかしら私は心の片隅みで微笑んでしまうのである。

私の住む地域は、2月の頃になれば、わずかながら雪が降ることもあるが、
雪恋しい私は、雪のニュースに思わず微笑んでしまう。
そして、ときおり私の幼年期の情景を重ねてしまうのである・・。


私は1944〈昭和19〉年に農家の三男坊と生を受け、
祖父と父が中心となって、程々広い田畑を小作人だった人たちの手助けもあって
農業を営(いとな)んでいた。

この当時は、京王線の最寄駅までは
殆ど田畑が広がり、雑木林、竹林なども観られた田園風景であった。

私の幼年期は、毎年、冬の時節になると、雪が30センチ前後が数回降った。

1951〈昭和26〉年の春に私は地元の小学校に入学したが、
初めての冬に雪が降り、登校した時が想いだされる・・。

ゴムの長靴の中に、母か叔母の手助けで藁(わら)を敷き、赤くなった唐辛子を少し入れ、
番傘を差して、家を出た。

家、周辺は雪が降り積もり、空からは雪が絶えず舞い降り、
長靴は雪の中で埋もれてしまったので、30センチは越えていた、と思われる。

駅の最寄の小学校までの通いなれた通学路は、この時は無視し、
畑は雪に埋もれていたので、この中を吹雪いていたが一直線で登校した。

小学校は木造の二階建てであり、教室の片隅に木造の正方形の1間幅の暖炉があった。
コークスはむろん、石炭も使用される前の時代であったので、
簡易に造ったブリキの中で、薪(まき)が燃やされていたのである。

私たち学童は、衣服に雪がまといついたのを払いながら、
雪深く、吹雪いた中をよく無事に学校に着いたと、子供心にお互いに健闘し合ったりした。
そして、学級で10数人欠席したので、
あいつ、こんな雪で休むなんて・・と悪口を言い合っていたりした。

下校のひととき、番傘でチャンバラの真似事をし、
番傘の数箇所が破れ、帰宅後に母に怒られたりした。

このように毎年、冬の時節は、少なくとも数回は降り積もった。


その後、1955〈昭和30〉年の頃から、都会の人たち達が周辺に家を建てられ、
私が小学校を卒業した1957〈昭和32〉年であるが、
この頃になるまでベットタウンの住宅街に大きく変貌した。

1964〈昭和39〉年に東京オリンピックが開催された時代になると、
数年に一回程度、15センチぐらいが降るが、
この間は殆ど数センチ前後の小雪となっている。

こうした幼年期に体験した私は、心の奥底に雪恋しとなり、
私が40歳を過ぎた頃から、家内と共に毎年、この時節になると北の地域に旅行し、
雪の情景を享受している。


たまたま昨年の今頃は、青森県の十和田湖の近くの蔦〈つた〉温泉に4泊し、
ブナ林の積雪30センチぐらいの中を散策したり、観光客の人影のない奥入瀬渓流を歩いたりした。
その後、青森市に一泊した後、黄金崎にある不老ふ死温泉に3泊して、
冬の日本海の情景に魅せられたりした。

或いは今年の二月に山形県の銀山温泉に4泊し、新庄市に一泊した後、
最上川の船下りなどで、『雪街道』の情景に心を寄せたりした。

そして11月に秋田県の田沢湖の高原に3泊した時、
みゆきが舞い降り、積雪15センチぐらいの何よりのプレゼントを頂いたりした。


これからの20日は北海道の帯広市の郊外にある十勝川温泉に2泊し、
未知の糠平温泉に2泊し訪れる。
そして、新年の1月中旬に福島県の裏磐梯にあるリゾートホテルに3泊、
その後は下旬に北海道の札幌市の郊外のリゾートホテルに6泊を予約している。

このように私たち夫婦は、国内旅行が共通の趣味のひとつであるが、
なぜかしら東京郊外の田舎者の私は、冬の時節になると北に旅をしてしまうのである。

尚、豪雪地域にお住いの人は、日常の生活に於いては多事苦難は少し解っているつもりであり、
江戸後期の商人、随筆家として、鈴木牧之が遺(のこ)された『北越雪譜』、
磯部定治・著の『鈴木牧之の生涯』(野島出版)を読んだりしてきたが、
あくまで旅人として、みゆき舞い降る圧倒的な情景、積雪の山里、街並みに魅了されているひとりの
思いからである。

☆下記のマーク(バナー)、ポチッと押して下されば、幸いです♪
にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ村

人気ブログランキングへ

にほんブログ村 シニア日記ブログ 60歳代へにほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする