先程、ときおり愛読している【 NEWSポストセブン 】を見ている中で、
『 キャリア3社がシニア囲い込みにしのぎ「無料スマホ教室」を体験取材 』、
題された見出しを見たりした。
携帯電話を取り出すたびに「え、まだスマホじゃないの?」、
と周囲から驚きの声を浴びてきた本誌・週刊ポスト記者。
ついに数か月前、ドコモ第3世代移動通信方式(3G)「FOMA」の“ガラケー”を
スマートフォンに切り替えたが、いまどきのスマホには紙の説明書も付いておらず、
正直、ちょっとした設定や使い方がよくわからない。
同じように困っている人は、多いのだろう。
ガラケーからスマホへ切り替えた初心者、特にシニアは、同様の悩みを抱えているはずだ。
ガラケーユーザーが多いシニア層は、スマホへの乗り換え余地が大きく、
携帯会社にとって重要なターゲットだ。
8月に発表された、MMD研究所がシニア層(60~79歳)を対象に実施した
「2021年シニアのスマートフォン・フィーチャーフォンの利用に関する調査」の結果によると、
フィーチャーフォン(ガラケー)・ガラホ(4G・LTEケータイ)を所有するシニアの約半数が
スマホに乗り換え意向があると回答。
スマホを利用してみたいと思ったきっかけで最も多かったのが
「3G回線がもうすぐ終了するから」だった。
ガラケーと呼ばれる携帯電話で使われる3G通信サービスは、
NTTドコモが2026年3月末、auが2022年3月末、
ソフトバンクは2024年1月末に終了する予定となっている。
格安スマホ会社は、60歳以上向けの低料金プランを投入するなど、
3大キャリアのシニア世代顧客の切り崩しに攻勢をかけている。
メーカーもシニア向け機能を搭載したスマホを拡充している。
こうした背景から、携帯大手各社は、
シニア層を格安スマホ会社や他社に奪われないよう取り込みや囲い込みに注力し、
スマホへの切り替えを促すための契約プランや顧客サービスの競争を繰り広げているのだ。
初心者を対象として、無料で使い方などをレクチャーする“スマホ教室”もその一環で、
KDDI(au)は、ローソンと組んだ高齢者向けスマホ教室などを開催、
ソフトバンクは、店舗にスマホアドバイザーを置き、主にシニアを対象としたスマホ教室を実施している。
そこではどんなことを教えてくれるのか。
記者は今回、NTTドコモが、全国約2300店舗でシニア向けを中心に
無料講座を開催する「ドコモスマホ教室」を取材した。
訪ねたのは東京都品川区の「d garden五反田店」(ドコモショップ五反田店)。
シニア層の支持が強い「らくらくスマートフォン」をはじめ、
「Android」「iPhone」と機種ごとに講座が用意されている。
スマホを触ってみる体験編から、入門編、基本編、応用編、活用編と、
レベルに応じた講座を選ぶことができ、
TwitterやInstagramの利用法を学べる有料講座も用意されている。
全講座、1回60分。他社の回線契約者も受講できる。
見学したのは、入門編「らくらくスマートフォンで、電話とメールをしよう」
という無料講座。
受講者全員、ガラケーからスマホに乗り換えたばかりのシニア世代だった。
講師は2人態勢で、テキストの流れに沿って、大きなモニターに操作画面を映して解説する。
受講者は、自分のスマホを操作しながら、体験して手順を覚えていく。
最初は「電話とメール」をテーマに60分も学ぶことがあるのだろうかと思ったが、
講義が進むにつれて、自分ひとりでは気付けない便利機能が意外と多いことを実感する。
電話の連絡先の登録方法、
通話音量の調整方法やスピーカーフォンに切り替える方法、
SMS(ショートメッセージ)やメールの宛先の入力方法、
迷惑メール対策の設定方法など。
操作がわからなくなった場合は、もう1人の講師が、席に来て個別に指導してくれる。
講座に参加した近所の女性(81歳)は、
「スマートフォンに変えたのは、古くなったという理由とボケ防止も兼ねて(笑)。
テキストは、持ち帰りができるので、
家に帰ってからテキストを見て、使い方を勉強し直しています。
写真を送ったりもしてみたい」と話す。
五反田店で教室の講座を受ける年齢層は70代~80代が中心で、
最も多いのは、ガラケーからスマホに変更した人。
90歳でスマホデビューし、受講で習得したキャッシュレス決済を
使いこなしているユーザーもいるという。
同講座の講師を務めた岩田愛里さんに、受講者から特に多い質問をたずねると、
「通知機能でスマホ画面に送られてくるお知らせの意味や、対応の仕方について」だという。
「買い換える前に、スマホを体験してみたいという需要もあり、
貸し出し用スマホで、ご参加する方も多いです。
特にシニア層の方は、納得してから、スマホを買いたいという傾向が強いですね」(岩田さん)
NTTドコモのドコモスマホ教室担当者によると、
今年7月から全国約2300店舗のドコモスマホ教室講師約1万5000人を対象に
「スマートフォンインストラクター」資格制度をスタートし、スキルアップや養成にテコ入れをしているという。
昨年来の通信料をめぐる価格競争は、一段落した感がある中、
今度は顧客サービスで、各社がしのぎを削ることになりそうだ。
◆撮影/太田真三 ‥ 》
《・・