原 題 AMERICAN SNIPER
制作国 アメリカ
上映時間 132分
監 督 クリント・イーストウッド
クリント・イーストウッド監督の作品としては、出来が良いとは思えない。ストーリーも特段惹き付けるところはない。
だが、これまでの戦争作品と同様に、戦闘シーンのリアルさが素晴らしい。イラク戦争というごく最近の戦争でいかなる兵器や武器がどのように使用され、部隊のチームや展開が、作戦とどう関係しているのか、まるでドキュメントのように映る。あのフセインが倒れたニュース報道を観ているのと変わらない。
砲弾が唸り弾が飛び交う戦場で、家族と電話交信するシーンがあった。軍隊という超規律の世界で、あんなことが出来るのか、アメリカという国は。これは驚きだった。日本の自衛隊。勿論戦闘経験のない軍隊だが、野戦訓練で同様なことは行えまい。彼此の違いを思い知る。
それにしても、TOYOTA車のシーンはふんだん。米海軍特殊部隊ネイビー・シールズの作戦にハマーとともに走り回る。土漠での信頼は圧倒的と聞いたことがある。敵も味方もTOYOTA。そう世界を敵に回している今のISILもデモはTOYOTA。
映評には、戦争による心の傷や人間性の破壊を訴える作品というのも多い。がそれを言うなら、マイケル・チミノの『ディアー・ハンター』(1978年)の方が上を行くだろう。