著 者 浅田次郎
出 版 社 中央公論新社
文庫初版 2008年9月
定 価 アマゾン262円
298頁
6編からなる短編時代小説集。
どれも精緻な時代考証とは無関係な嘘八百だが、あたかも事実・史実ののように思える。これは著者の筆力による。
舞台は江戸末期の武家社会。制度としての「家」をとるか、ドロップ・アウトして「自由」をとるか。その狭間で苦悶する武士、殿・家来・同輩の姿。長い間徳川を支えた制度の下に生きる侍たちの右往左往。明治維新は、これらに倦んだ末の変革だったと言えなくもない。
実に切なくも滑稽な生きざまは我々の姿でもあろう。
「笑顔のいい女は必ず幸せになる」味のある科白だ。