原 題 Green Book
製 作 国 アメリカ
上映時間 130分
監 督 ピーター・ファレリー 出 演 ビゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ
仕事の採用面接のシーンが上手いね。二人の真逆の位相がスッと理解できる。かたや失業中でイタリヤ系移民白人で粗野で無教養で大家族。かたや人気の黒人ピアニストで繊細でドクターで孤高。
一旦は破談しかけるが、ボディー・ガード分を含めた手当のアップで双方納得。仕事は、深南部コンサート・ツアーの車の運転。
我々観客は映画の冒頭で、ビゴの黒人への偏見を目の当たりにしている。さてどうなるか。
雇っている側と雇われている側、護られる側と護られる側。旅が進むに従い、お互いの無知と反感が理解に変わっていくロード・ムービー。
ハイ・ソサイティの観客のために演奏するトップ・ミュージシャンが、黒人というだけで、レストランでの食事を断られる。怒って支配人にとびかかる運転手ビゴ。毎日妻に旅の模様のラブレターを書く運転手に手を貸すマハーシャラ。毎日の小さな出来事を通して二人の心が観客に暖かく伝わってくる。この辺がアカデミー作品賞のゆえんか。
それにしても、マハーシャラが演じるのはクラシックのピアニスト。アメリカ新南部ならジャズだと思うのだが。もっとも彼らにはそんな差はない、音楽家だから何でもござれということはある。
街はメンフィスだったか。二人が食事に入った酒場で即興のロックで盛り上がるシーンはよかった。ここを際立たせるためにクラシックにしたのかしら。それほどホッとして熱い場面ではあった。
時代は1962年。3人目の主人公は62年型のキャデラック。いわゆるアメ車。ガソリンを撒きながら走行する大消費時代のシンボル。古き良き時代。これを見ただけでも価値あるシネマでした。