太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

とっさの嘘

2011-10-19 13:32:17 | 日記
今日もスタンが小包を持ってやってきた。

「ねえ、YOUTUBE 見てくれたでしょ?」

しまった!!と思った。

このまえ来た時に、YOUTUBEにシロクマの映像を載せたから見てねーと、検索ワードを教えてもらったのだった。

まだ見ていなかった。

でも、とっさに私は 「もちろん見たよ」と言っていた。

言い訳に聞こえるが(言い訳だけど)、「見た?」と聞かれたら「あ、まだ」と言えたかもしれない。

でも「見てくれたでしょ?」と、見ることを前提として聞いているものを、見ていないと言ったら、私はまるで悪人じゃないか。



見てないのに見たと言うと、相手を傷つけないのだろうか?

見てないから見てないと言うと、相手を傷つけるだろうか?

「いいひと」じゃない自分を認めると、自分が傷つくのだろうか?





スタン「あの付けヒゲ、どうだった?」

私「(付けヒゲしてたんだー)えーと、ない方がいいかなあー」

ス「やっぱりねー、みんなそう言うんだよね。あのスイカ、シロクマが食べていると米ナスみたいだよね」

私「(スイカを食べるシーンがあるのか)そうそう、シロクマって近くで見ると大きいんだねえー」

ス「手のひらがさ、人の手のひら二つ分だよ、爪が指ぐらいの長さでね、それから・・・」



見た、と言った以上、さも知っているかのように「そうそう」とか相槌を打ちながら、

私が全然知らないことを聞かれたらどうしよう、とヒヤヒヤしていた。

ありがたいことに、話はスタンのペースで順調に進んでゆく。



調子に乗った私が

私「白いからポーラベアとかいってかわいいように見えるけど、黒かったらグリズリーだよねー」

と言うと、

スタン「え・・・・?・・・・」

ちょ・・・私なにかマズイこと言いました???


スタン「・・あぁグリズリーね。うんうん。」


あー、私の発音が悪かっただけか・・・もう焦らせないでよ。


なんとか無事に切り抜けたものの、ひどく疲れた。

日本で住んでいた場所は人口どのぐらいかという質問にも、焦りまくりで 500万人 などと言ってしまい、

言ったと同時に桁違いだと気づいたが、もうどうでもいいやとそのままにしておいた。



家の中に戻ってソッコーでYOUYUBEを見た。

付けヒゲをつけたスタンは、やっぱり付けないほうがいいと思った。

とっさの嘘は、健康によろしくない。





代々

2011-10-19 11:27:42 | 日記
昨日の記事で、思い出したものがある。



木べら。

これは夫の母の母が結婚したときに買ったものというから、もう軽く65年は経っているはず。

先の方は、もっと長かったらしい。

長い間に少しずつ磨り減って、それは料理に混ざって食べちゃったのかなあ。



私がここに住むことになった時、夫の母は大事そうにこの木べらを見せてくれた。

この木べらで、夫の祖母が4人の子供を育て、その娘が2人の息子を育てた。

家族のいろんな思い出を、この飴色に光る小さな木べらは見てきたのだな。



これを渡せる人ができて嬉しい、と夫の母は言った。


キッチンの引き出しには、木べらが十数本もあるが、この木べらの出番が一番多い。




私は私の母から受け継ぐものを、何ももらわずに日本を離れてしまった。

アクセサリーはいくつかもらったものがあるが、もっと別の何か。

私の母は、子供の頃に母親を亡くしているから、母の母からは何もないと思うけれど、

今度帰国したときに、なにか見つけてこようと思う。