私と同じ年齢の同僚が、もうすぐ3人目の孫が生まれるという。
若くして子供を生めば、若くして孫をもつのは自然なことで、
私よりも若くても、すでに孫がいる同僚もいる。
しかし、昨日その話を聞いたとき思ったことがある。
彼女が子供を生み、育て、成人し、
その子供が結婚をし、さらに子供をもつのと同じだけの歳月を私も過ごしたのに、
いったい私は何をしていたんだろうか、ということである。
妹は人並みの年齢で結婚したが、私と姉は晩婚で、
とくに姉は親と離れて暮らしていたこともあり、両親はとても心配した。
どんどん結婚してゆく友人をよそに、うまくいかない恋愛ばかり繰り返していた姉が
母と言い争いになったときに言った。
「私だってずっと刑務所にいたわけじゃない。社会にいて、みんなと同じように人に会って
人とかかわって生きてきた。それでも縁がないのは私のせいじゃない」
親は、好きで結婚しないのだと思っていて、その気になれば結婚できるのだと思っている。
「誰と結婚したって同じだよ」
私も母に言われたことがある。
エリザベス・テイラーか五月みどりに言われるならまだしも、恋愛したこともなく最初のお見合いで結婚した母に
そんなことを言われたくはない、と憤慨した。
でも、恋愛のごたごたや泥沼を知らないのは母のせいではなく、
だからその母を責めるのもまた間違いだと今はわかる。
親に反発しながらも、私も何度となく思った。
「なんで私は普通にいかないんだろう」
普通というのは、適齢期(25歳)までに結婚し、子供を生み、幸せに暮らすことで
みんなにできることが、どうして私にはできないんだろうと思った。
私は29で、姉は38で結婚した。
晩婚・出戻りという言葉が死語になった今だったら、私達はあんなに傷つかなくて済んだだろうに。
晴れて結婚したら万々歳かと思いきや、そうでもなくて、
私がすったもんだしている間に、他の人たちは子供を生み、育て、
一旦壊してやり直して、ああやっとここまできた、と私が一息ついている間に、他の人たちは孫を待っている。
後ろを振り返っても、私が残してきたものはなく、
私という存在が、ここにあるだけである。
それがいやだ、というわけではない。
私はこの人生でよかったと心から思っている。
ただ、ふと、でもしみじみと「私はなにをしていたんだろうか」と思ったのである。
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若くして子供を生めば、若くして孫をもつのは自然なことで、
私よりも若くても、すでに孫がいる同僚もいる。
しかし、昨日その話を聞いたとき思ったことがある。
彼女が子供を生み、育て、成人し、
その子供が結婚をし、さらに子供をもつのと同じだけの歳月を私も過ごしたのに、
いったい私は何をしていたんだろうか、ということである。
妹は人並みの年齢で結婚したが、私と姉は晩婚で、
とくに姉は親と離れて暮らしていたこともあり、両親はとても心配した。
どんどん結婚してゆく友人をよそに、うまくいかない恋愛ばかり繰り返していた姉が
母と言い争いになったときに言った。
「私だってずっと刑務所にいたわけじゃない。社会にいて、みんなと同じように人に会って
人とかかわって生きてきた。それでも縁がないのは私のせいじゃない」
親は、好きで結婚しないのだと思っていて、その気になれば結婚できるのだと思っている。
「誰と結婚したって同じだよ」
私も母に言われたことがある。
エリザベス・テイラーか五月みどりに言われるならまだしも、恋愛したこともなく最初のお見合いで結婚した母に
そんなことを言われたくはない、と憤慨した。
でも、恋愛のごたごたや泥沼を知らないのは母のせいではなく、
だからその母を責めるのもまた間違いだと今はわかる。
親に反発しながらも、私も何度となく思った。
「なんで私は普通にいかないんだろう」
普通というのは、適齢期(25歳)までに結婚し、子供を生み、幸せに暮らすことで
みんなにできることが、どうして私にはできないんだろうと思った。
私は29で、姉は38で結婚した。
晩婚・出戻りという言葉が死語になった今だったら、私達はあんなに傷つかなくて済んだだろうに。
晴れて結婚したら万々歳かと思いきや、そうでもなくて、
私がすったもんだしている間に、他の人たちは子供を生み、育て、
一旦壊してやり直して、ああやっとここまできた、と私が一息ついている間に、他の人たちは孫を待っている。
後ろを振り返っても、私が残してきたものはなく、
私という存在が、ここにあるだけである。
それがいやだ、というわけではない。
私はこの人生でよかったと心から思っている。
ただ、ふと、でもしみじみと「私はなにをしていたんだろうか」と思ったのである。
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