太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

長爪の意味

2017-05-13 14:44:43 | 日記
私は爪を長く伸ばせない。

指先が優雅に見えるぐらいの長さに伸ばしている人を見ると、そうしたいと思うのだけれど、

ある程度伸びてくると気になって仕方がなくなり、切ってしまう。






尋常ならざる長い爪をもつお客様をみた。

10本の爪が全部、指先からゆうに4センチ以上はある。

自爪かどうか確かではないが、先のほうが内側にむけて曲がっているので

もしかしたら自爪かもしれない。

その人は黒人のご婦人で、きれいにサーモンピンクに塗られたその爪で財布の中から紙幣を出そうとしている。

しかし、なかなか紙幣が出てこない。

なにしろすべての指にピンセットが付いているようなもので、

財布の中をさぐる爪同士があたって


カチャ・・・ カチャ・・・


という音をたてる。

私はその音にムズムズしながら、失礼のないようにその爪先を眺めていた。



この爪が自爪だとすると、この人はどうやって顔や髪を洗うのだろう。

頭皮が血だらけになる映像が出たところで、その想像はやめた。

料理はしなくても何とかなるにしても、これだけ長いと何かに引っ掛けて

爪が反対側に引っ張られてバリッと・・・・・



というところまで想像したとき、ようやく紙幣が出てきた。

今度は小銭が出てこない。

小銭が入っている場所に爪先を入れて、まるでゲームセンターのUFOキャッチャーさながら

目当てのコインを出そうとするが、うまくつかめない。

「コインを全部出してみたら?」

と言おうと思ったとき、以心伝心か、彼女はコインをテーブルに全部あけた。

テーブルに広がったコインの中から、目当てのコインをより分けるのに再び


カチャ・・カチャ・・・


という音ばかりか、さらには爪先がテーブルを引っかく


キィ・・キィ・・・


という音まで加わって、私は背筋がゾゾゾーー、っとした。

黒板をチョークで引っ掻く音に酷似している。

私の口は、たぶん半開きで、泣き笑いの顔になっていたと思う。



ところがである。

彼女は気が変わったのか、ここまでやっておいて、クレジットカードで払うと言い出した。

今度は財布とは別の、小さいポーチを出してきて、

その中からカードを取り出そうとするのだが、これがまた何枚ものカードがギチギチに入っている。

中指と親指でカードをつかもうと力を入れると、爪がしなって反り返る。

(ちょっ、イタタタ・・・!)

私の爪でもないのに、思わず心で叫ぶ。

彼女はぐいぐいと爪をしならせ、気が気ではなくなった私は

「私がやりましょうか?もしよろしかったら・・」

と言ってみた。

すると彼女は

「あら、ありがと、でももうすぐ出てくるわよ」



ああ、頼むから私にやらせてくださいーーーー!!!




やっとのことで、カードが出てきた。

それをチップ読み取り機に挿入するのに、

カチャ・・カチャ・・

取り出すのに、

カチャ・・カチャ・・


あんなに爪を長くしている意味って、何かあるのか?

長すぎる爪は、けして指をきれいには見せないし、

普段の生活でも不便なことのほうが多い。

マニキュアだって減るのが早いだろに。



鳥肌が立ちながらすべてが終わり、私は疲れ果てた。




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