太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

上を向いて歩こう

2017-05-22 19:13:30 | 日記
車のラジオから、スキヤキソングが流れてきた。

女性シンガーが「上を向いて歩こう」を、メロウに英語で歌う。

それに合わせて日本語で歌っていたら、

1番の終わりごろに鼻の奥がツンとしてきて、2番になったら涙が出てきた。



上を向いて歩こう

涙がこぼれないように

思い出す春の日 ひとりぼっちの夜



「なんで泣いてるの?」

運転していた夫が聞く。

「わかんないよぅーー」

どんな悲しい歌でも泣いたことなどない私が、泣いている。

泣きながら夜空を見上げて歩いたことはないし、

たいした孤独を知っているわけじゃない。


過去最大の孤独は、離婚して一人暮らしをしていたアパートで、

大晦日に恋人と大喧嘩をし、謝りのメールもなしのつぶて、一人で体育座りをして紅白歌合戦を見た夜だ。

テレビの中の華やかさが、他の星の話のようだ。

こんなボロボロな気持ちでも、案外泣けないもんだなと思っていたら

日付が変わると同時に、港に停泊している船が一斉に汽笛を鳴らしたとたん、ブワーと泣けてきた。

もしかして、これが孤独ってもんなのかなと思った。

でも私には親も姉妹も友達もいて、それはほんとうの孤独とは違うのもわかっていた。

43歳になる前日のことである。



それなのに、上を向いて歩こうと歌いながら、涙があふれてくる。

「ねーねー、スキヤキってそんなに悲しい歌詞だったの?」

「そうでもないよー」

「じゃあなんで泣いてるのさ」

「知らないってばーーー、おーんおーん」




上を向いて歩こう を口ずさんでいただきたい。

思いがけず鼻の奥が痛くなる人が、いるかもしれない。




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みんなアメリカ人

2017-05-22 07:41:56 | 日記
マイクが、心臓の手術を受けることになった。

マイクは私に絵を売ることを教えてくれたアーティストで、毎週月曜に私の職場に来て、自分の絵と一緒に

私の作品も売ってくれている。

ワイキキのギャラリーも、マイクのおかげで絵をおけるようになった。

70代のマイクは、結婚歴3回、子供はいない。気ままな一人暮らしだ。

平日の休みにホノルルへ行く用事があれば、マイクを誘ってランチを食べる。



マイクは、クリーバーさんに似ている。

クリーバーさんは、私が独身の頃に出会ったアメリカ人のおじいさんで、短大の教授だった。

髭をつけたらそのままサンタクロースになるクリーバーさんを私は好きだったが、クリーバーさんは私のことがもっと大好きだった。

お寺をめぐったり、実家に連れていったり、私が結婚してからも、クリーバーさんとは良い友達だった。

奥さんを亡くして、2匹の猫と暮らしていたが、あるとき心臓発作を起こし、手術をした。

手術から無事に帰還したあと、そろそろ潮時といって、猫達を連れてアメリカに帰った。

アイオワの、クリーバーさんの家を訪ねたこともある。ニューヨークに一緒に行って、ツインタワーにも上った。

数年後、また発作を起こして、今度は戻ってこなかった。



マイクは、そのクリーバーさんに似ているのだ。

見た目も人生もまったく違うが、マイクを見るとクリーバーさんを思い出す。

そして今の夫もまた、クリーバーさんとマイクに似ている。



3人の共通点はただひとつ。

どんな私も受け入れてくれるという安心感。

私が安心して私のままでいられて、絶対に嫌われないという傲慢。

この3人とは、なんの駆け引きもいらず、疑うことも不安になることもない。

私にとって異性とは、常にそういうもの(駆け引きとか疑いとか不安とか)だった。




私はそれほど多くの人と恋愛をしてこなかったが、そのどれもがとても疲れるものだった。

楽しいのはほんの最初だけで、私はすぐに卑屈になり、自分に自信がなくなり、

嫌われることを恐れ、ものすごい努力を自分に課した。

最初の結婚は、まさにその延長で、私はいつも大事なものを失う恐怖におびえていた。

妹が連れ合いに対して思い切りリラックスしているのを見て、不思議でならなかった。

離婚したあとの恋愛ですら、相手に電話をしたいときは前もってメールで確認してから電話をしていた。

今じゃ信じられない。

失って困るような大事なものなどなかったのに。

私は自分に対してとてもひどいことをしてきたのだと思う。




クリーバーさんと、マイクと、今の夫。

私が私のままでいられる人は、みんなアメリカ人。

日本語がわからない人ばかり。

どんなことも伝え合えるはずの日本人じゃなくて。




マイクの心臓が、もうダメなのだという。

手術がうまくいけば、最大で15年は生きられる。

私は毎日、マイクのために祈る。

私を調子に乗らせてくれる人がこの世からいなくなってゆくのは、寂しい。








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油断禁物

2017-05-22 07:34:03 | 日記
ハワイでは、どんなかすり傷も、できるだけ消毒したほうがいい。

海の中の岩で足首を少し切って、水で洗ってそのままにしていたら、

夜になって脚が2倍ぐらいに腫れあがり、翌日には入院。

重い感染症になって、あと少しで死ぬところまでいった人がいる。

友人の一人は、肘にできたかすり傷を放っておいたら、肩まで腫れて腕があがらなくなり、

翌日には耳の下のリンパ腺まで腫れて、あわてて医者に行った。




こういう話は日本にいた時よりも俄然、多いように思う。

常夏の島では、さまざまな菌も活発で、

世界中から運ばれてくる人や物と一緒に、珍しい菌もやってくるのかもしれない。

その時の体調にもよるのだろうが、

小さな傷から感染症に至ることが、ハワイではよくあるケースらしいのだ。






ということで、ハワイに遊びにきたら覚えておいてください。







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