仕事中に、視界に何かがちらちらと入ることがある。
なんだろうと目をやると、そこには何もない。
仕事に戻ると、また何かがちらちらと視界に入る。
目をやると、やはりそこには何もない。
あらー、これはもしかして、いよいよ私も妖精とかいったものが見えるようになったか。
妖精にコネクションがあると言われてから半年近く。
妖精の部屋も作ったし、妖精に話しかけることもあるし、
友人のヴィッキが妖精の写真を撮ることもわかったし、
なにより夫は妖精が見える人だ。
私にだってそろそろ見えたってバチは当たるまい。
いやむしろ遅いぐらいだ。
そうかそうか。
妖精はかくれんぼをしているつもりなんだろうかな。
と、気をよくしていた矢先、それは数日前のことだ。
また視界の端で何かが動き、素早く目をやった私は、動いたものの正体を見た。
レジスターでキャッシャーをやっていた私は、商品を入れる袋の口を広げるのに
両手で袋を持って ぱんぱん と振ったのだ。
その時、私の二の腕の脂肪が ぶるんぶるん と揺れた。
私は我が目を疑い、もう一度腕を揺すってみた。
すると確かに ぶるんぶるん と脂肪が揺れた。
レジスターの引き出しを閉める。ぶるんぶるん
同僚に手を振る。ぶるんぶるん
トイレの場所を聞かれて身振りを使って説明する。ぶるんぶるん
昔は、こんなものはなかった。
今だって、そう太っているわけではないのに、
肉全体にコシがなくなるというか、張っていたものがゆるむというか、
昔は筋肉の一部だったものが、私の許可もなしに脂肪になって、二の腕につるさがっている、
その、ああもうどうにでもしてよ的な自堕落な肉を、じっと見た。
鏡で、真横の姿を写してみる。
確かに、タコ糸を巻きたくなるような腕になりつつある。
よくぞここまで張りがなくなったものよ。
我が脂肪の揺れる様を、妖精だと勘違いしていい気になっていた自分が悲しくも哀れである。
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なんだろうと目をやると、そこには何もない。
仕事に戻ると、また何かがちらちらと視界に入る。
目をやると、やはりそこには何もない。
あらー、これはもしかして、いよいよ私も妖精とかいったものが見えるようになったか。
妖精にコネクションがあると言われてから半年近く。
妖精の部屋も作ったし、妖精に話しかけることもあるし、
友人のヴィッキが妖精の写真を撮ることもわかったし、
なにより夫は妖精が見える人だ。
私にだってそろそろ見えたってバチは当たるまい。
いやむしろ遅いぐらいだ。
そうかそうか。
妖精はかくれんぼをしているつもりなんだろうかな。
と、気をよくしていた矢先、それは数日前のことだ。
また視界の端で何かが動き、素早く目をやった私は、動いたものの正体を見た。
レジスターでキャッシャーをやっていた私は、商品を入れる袋の口を広げるのに
両手で袋を持って ぱんぱん と振ったのだ。
その時、私の二の腕の脂肪が ぶるんぶるん と揺れた。
私は我が目を疑い、もう一度腕を揺すってみた。
すると確かに ぶるんぶるん と脂肪が揺れた。
レジスターの引き出しを閉める。ぶるんぶるん
同僚に手を振る。ぶるんぶるん
トイレの場所を聞かれて身振りを使って説明する。ぶるんぶるん
昔は、こんなものはなかった。
今だって、そう太っているわけではないのに、
肉全体にコシがなくなるというか、張っていたものがゆるむというか、
昔は筋肉の一部だったものが、私の許可もなしに脂肪になって、二の腕につるさがっている、
その、ああもうどうにでもしてよ的な自堕落な肉を、じっと見た。
鏡で、真横の姿を写してみる。
確かに、タコ糸を巻きたくなるような腕になりつつある。
よくぞここまで張りがなくなったものよ。
我が脂肪の揺れる様を、妖精だと勘違いしていい気になっていた自分が悲しくも哀れである。
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