太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

耳でなくて、脳

2020-05-06 10:16:08 | 日記
日本の友人が、ある動画を送ってくれた。
癒し系のおもしろいやつかと思って開いてみたら、
見たこともない人が早口でまくしたてていて、あろうことか私はその人が何を言っているのか理解できなかった。
何度か再生してみたが、わかったのは
「動画を見てくれてありがとうございました」ぐらいで、あとはカセットテープを早回しにしたようにしか聞こえず、たまに単語がわかる程度。

友人によると、その人は紅白にも出たグループであるらしい。
反応が薄い私に友人は
「あ・・・やっぱダメか・・・ダメかもなーとは思ったんだけど」



大昔、祖母と歌番組をみていて、林寛子が出てくると
「なんだね、この子の口はどうしただね」と言った。
林寛子は当時アイドル歌手で、口をイー!と広げて歯を見せてほほ笑むのが「かわいい」とされていた。
それが祖母には、口がどうにかなった人、にしか見えなかった。

母と車に乗っていたとき、山下達郎のCDをかけていたら母が
「お経みたいな歌だね、お経かね?」と言った。

十代とか二十代であった私にわかる感覚が、祖母や母には通用しない。
「ンもう!なんでわかんないかなぁ??」
と私は不思議でならなかったが、今、私は完全に祖母や母の側にいる。
15年ぐらい前に流行った、メロディに対して長すぎる歌詞を詰め込んだような歌は
理解はできるが、すでに何がいいのかよくわからなくなっていた。
山下達郎でお経なら、そういう歌を母が聞いたら何と言うだろう。


動画が理解できなかった、という話を夫にした。
「どうやら私の耳は老化したみたいだよ」
と言うと夫は言った。

「耳じゃなくて、脳だよ」


え・・・・・・今、なんて。


「耳に入ってきたものを、脳が理解できなくなってるんだよ」

そんな重要なことを、よくもまあさらっと言ってくれるわね・・・・

早口の日本語なんて、もう何年も聞き慣れていないんだし、とか言ってくれたのが帳消しになった。

「じゃあ私、早口の日本語も、英語もわかんないってことだよね」
「そうだねえ」
「語学力じゃなくて理解力で、脳の問題なら、それはこれからも失い続けるんだよね」
「まあ、そうかもね」
あまりにショックだ。ひどいじゃないか。

「ということなら、これからよろしくお願いしますよっ」
嫌味のつもりで言ったら
「OK!」
とあっさり言われた。









野外瞑想

2020-05-06 10:15:47 | 日記
義両親と3人で、ビーチを歩いてきた。
ハワイは今月から、公園やビーチ、一部のゴルフコースが再オープンしている。


なんか、代り映えのしない写真ばっかりだけど、行くところはいつも同じで
あとは家にいるだけなので許してほしい。


ビーチに吹く風は、止むことがない。
停止させた扇風機のツマミを「強」にして、それに向かって座っているような感じ。
帽子をかぶってサングラスして、マスクをしたら、
サンスクリーンを塗らなくてもよかったんじゃないかと思う。
1時間ほど歩いた。


最近、野外瞑想をしている。
猫たちを庭に出したときに、ベンチに座ってボーとしたり読書したりしていたら、
風も気持ちがいいし、ここで瞑想したらいいんじゃないか、と思った。


座っているうちに、陽が当たってくるけれど、木洩れ日なので暑くはない。


目の前のジャングルが、さわさわと鳴る。

今日も瞑想しようと外に出たら、庭に小鳥が落ちていた。
我が家の2階には、天井近くに大きくとった窓があり、
そこに空が映りこむのか、小鳥がガラスに体当たりしてしまうことがある。
申し訳ない気持ちでいっぱいになるが、どうしようもない。
このひと月余りの休みで、2個目のお墓を作った。
「ごめんね、また生まれてきてね」
庭で摘んだ花を乗せる。

素足を芝生の上に置き、風に吹かれて瞑想。
集中力に問題があるので、せいぜい10分か15分ぐらいだけど。


鬼のいぬ間に外気を楽しむ猫(ガール)。


ハワイに来た人は、旅行者でも住民でも、14日間は外出してはいけないことになっているが、
それを守らない旅行者たちが何人も逮捕されている。
アメリカの20の州が、ロックダウンを緩めて、レストランやビーチに行けるようになったら、フロリダのビーチがイモ洗い状態になって、ソーシャルディスタンスどころじゃなくなっている。


目を閉じて、呼吸の中に入ってゆく。
雑念を止めようとするのはやめて、橋の上から雑念が流れてゆくのを眺める。
風の音や鳥のさえずりに耳を澄ます。
ほんの10分、私は現実(だと私が思っているもの)から距離をおいて、
どこでもない場所に漂う。