大阪市長・橋下徹が「大阪都構想」の「住民投票」で反対派に敗れた後の記者会見で、「僕みたいな政治家はワンポイントリリーフ。権力者は使い捨てがいい」と語ったようだが、彼も排外主義者でヘイトスピーチを常套手段とする人間であった。
「排外主義」とは、一般的には「国家は国民のものであり、外国に出自をもつ集団は、国民国家の脅威であるとするイデオロギー」を意味する。しかし、日本の排外主義運動の標的とする「外国」とは一般的な意味での「すべての外国」をさすのではなく、特に中国、韓国、朝鮮民主主義人民共和国の3カ国をさしている。
排外主義運動に参加している人間は、ヘイトスピーチをする事によって、自分たちが社会で注目され、問題化されることを望んでいる。彼らはどんな人間たちなのか?排外主義運動のデモや集会の参加者の職業は非正規労働者や失業者やフリーターなど経済的に不安定な人間が多いといわれていたが、そうとばかりは言えないようで、正規労働者から定年退職者やシルバー人材センターの人まで多種多様のようだ。学歴は中学卒から大学院卒まで幅広く、他の運動とあまり変わらない。年齢層も幅が広く、30代、40代の男女が中心であるが、最近は高齢者が増加しているようだ。
ヘイトスピーチとは「憎悪表現」という意味であるが、彼らは、ヘイトスピーチをしているとは思っていないようである。彼らは、彼らの対抗勢力も自分たちに対してヘイトスピーチをしていると思っており、自分たちだけをヘイトスピーチと言うなと思っている。彼らは、運動の普及拡大のために、これまでの右派や保守の運動には幅がないという事で、左翼の運動を研究分析し、それを真似て幅広い運動を繰り広げている。また、幅広いネットワークを全国に築いて運動をしている。
彼らはまた、きちんとした強い信念と運動論と運動戦略をもってヘイトスピーチをしている。それは、パフォーマンスであり、意識的に過剰にやっている。目立つためにやっているのである。彼らは、過激な発言やヘイトスピーチについて何とも思っていないし、誰もが言っている当たり前の事を言っても仕方がない、違う事を言う事に意味があると思っている。そして、安倍ワールドや他の政治家が言ったらたたかれる恐れのある事を彼らが言えば、結果的に安倍ワールドや他の政治家の方がまともに見えるとか、彼らの方がより過激に言うから、安倍ワールドや他の政治家の発言がおとなしく見えるという効果を狙っている。安倍ワールドや他の政治家の言っている事は大して酷い事を言っていない、むしろ穏やかでまともな事を言っているように見える効果を狙っている、そして、彼らは安倍ワールドの捨て石になっても構わない、彼らは自分たちの役割を自覚し、それを果たせればそれだけで良いと思っているのである。
(2015年6月9日投稿)