ナチス・ドイツは1933年1月30日、政権獲得後初めてのナチ党大会を「勝利の全国党大会」と名付け、1933年8月30日から9月3日まで開催した。この党大会の映画撮影を、映画『青の光』(1932年)で高く評価していたヒトラーは、レニ・リーフェンシュタール(1902.8.22~2003.9.8)監督に依頼し、『信念の勝利』というタイトルで撮影させた。しかしヒトラーは、1934年7月に粛正した突撃隊幕僚長レームがヒトラーと一緒に閲兵するシーンがあったため廃棄した。
1934年には9月5日から10日まで「意志の全国党大会」を開催した。ヒトラーは、この党大会も『意志の勝利』というタイトルでレニに再度監督を依頼した。この映画は、35年3月28日にベルリンで公開した。観客数は記録的に多かったが、この理由は集団鑑賞や鑑賞券の大幅な割引などの組織的な動員によるものである。動員された子どもたちは学校行事として強制的に鑑賞させられ、作文も書かされたようである。
1934年のナチ党大会でのヒトラー演説の内容の要旨を以下に紹介しよう。
「階級・身分のない社会を築こう。諸君はこんな物をはびこらせてはならない。
ドイツは大帝国になってほしい。諸君はその日に備えよ。
従順な国民であれ。平和を愛し、勇敢な国民たれ。平和的であれ。
我々に下されているのは、この世の権威ならず、
我が民族を創造せし神からの偉大なる命令である。」
レニのドイツ人の特質についての言葉も以下に紹介しよう。
「ドイツ人は模範になる人を欲しがる。指導者を求める国民。
ヒトラーを素晴らしい、これが指導者だと皆が言った。
ヒトラーを指図してくれる人だと言った。家でも学校でも規律第一だ。
誰かに指導させたがる。」
(2023年11月1日投稿)