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「二つの北」②     らくせき

2012年01月09日 10時49分54秒 | Weblog
朝鮮日報の記事の続きです。

■「平壌では音楽、地方では恨み節」

 地方住民たちの生存環境は、このところ劣悪になる一方だと伝えられている。
情報機関の元高官は「限りある資源を平壌に集中させているため、
平壌では“風楽”(韓国の伝統音楽の一種)が響いているのに対し、
地方では“恨み節”が大きくなっている」と語った。

 清津出身の脱北者は「今、北朝鮮のテレビの中で泣き叫んでいる
住民のほとんどは平壌市民。地方の哀悼の場面があまり報じられないのは、
それだけ温度差があるため」と語った。
中でも地方の中産層は、2009年11月に断行されたデノミネーション
(通貨単位の切り下げ、デノミ)の余波で、急速に没落したという。
この階層は、配給制が崩壊した状況下で、市場でやり繰りしながら
食べていく問題を解決し、財産を蓄積してきた。
しかしデノミで、一瞬のうちに財産を失ったと伝えられている。
ところが平壌の特権層の相当数は、デノミの情報を事前に入手し、
北朝鮮の通貨を中国の元や米ドルに両替していたという。

 デノミの失敗後、平壌と地方の格差はさらに拡大した、という分析が出ている。
しかし、不満を募らせた住民たちが集団行動に出るのは、ほとんど不可能な状況だ。

 韓国政府の関係者は「北朝鮮がどれほど困難な状況でも、
保衛部など各種の監視組織は全国的に存続している。
住民の不満は、砂粒のように散らばっているだけで、結集は難しい」と語った。

北朝鮮の平壌市に暮らす50万人の「中核支持層」は、
金王朝にとって最後の砦(とりで)と言っても過言ではない。
韓国政府関係者は21日、平壌市民250万人のうち、
50万人が党・軍部・政府の幹部クラスに属するとの見方を示し
「特別配給を受け、特別地域に暮らす人々は、金王朝と運命共同体も同然だ」と語った。

 北朝鮮事情に詳しい消息筋によると、朝鮮労働党中央党の課長クラス以上の幹部は、
平壌市の蒼光通りにある15-39階建て高層マンションの30棟余りに暮らしている。
蒼光通りには朝鮮労働党舎や故・金正日(キム・ジョンイル)総書記の26号官邸などがある。
軍幹部は人民武力部庁舎の付近、内閣長官・次官クラスの幹部は高麗ホテルの付近に
それぞれ住んでいる。
特に、金総書記の最側近らは金総書記が建設を命じた
東平壌の文殊通り付近にある豪華住宅団地「恩徳村」に居住している。
恩徳村とは、金総書記が恩徳を施す村という意味だ。

 北朝鮮の元幹部の脱北者は「平壌には仕事を命じる人だけで、
仕事をする人はいないと言われるほど、特権階層が集まっている。
その中でも50万人の中核階層は最後まで金王朝を支持するだろう」と語った。

 こうした中核支持層のおかげで、金正恩(キム・ジョンウン)政権は
容易には崩壊しないとみられている。
政府当局者は「50万人の中核階層は60年前から金日成(キム・イルソン)、
金正日父子に忠誠を誓い、あらゆる恩恵を享受してきた。
その結束力は非常に強い」と語る。
中核階層は子どもも内輪で結婚させるほか、さまざまな事業で外貨を稼ぎ巨額の富を手に入れ、
輸入品だけを口にし外貨だけを使うともいわれている。
こうした人々は、金王朝に忠誠を誓ってさえいれば、
大概の過ちは問題にならないことも知っている。
そのため「中核階層にとって、北朝鮮は天国だ」と話す脱北者もいるほどだ。

 金正日総書記は2009年1月に正恩氏を後継者に内定して以降、
平壌にますます金をつぎ込むようになった。
来年の「強盛大国」宣布を控え、体制擁護の中核階層の支持を固めるためだ。
今年2月、輸入品を専門に扱う普通江デパートがオープンしたのに続き、
8月にはカリビアン・ベイ(韓国のウオーターパーク)の北朝鮮版ともいわれる
万景台ウオーターパークがオープンした。
海外の有名ウオーターパークをまねた波の出るプールやウオータースライダーを
備えた1万5000平方メートル規模の大型施設で、4000人を収容できる。
このほか、正恩氏の後見人とされる張成沢(チャン・ソンテク)党中央委員会行政部長に
「平壌10万戸建設事業」を任せたのも、
金王朝が平壌をいかに重視しているかを示すためとみられる。
また、8月にはロシアが支援した食糧5万トンのうち4万トンが平壌市民に特別配給された。

 政府関係者は「北朝鮮は国際社会に食糧支援を求める一方、平壌には金をつぎ込んでいる。
中核階層を優待し、体制結束を狙っているようだ」と説明する。
東欧や中東の独裁国家では、地方での小規模な反政府デモが首都での大規模デモに発展し、
独裁者が失脚したケースもあるため、
金王朝はこうした他国の例を反面教師とみなしているようだ。
情報機関の元幹部は「金一族は平壌さえ守れば体制を維持することができると
判断しているのだろう」と話している。

 もちろん、平壌市民の中には金総書記の死去にうわべだけの涙を見せる人もいるはずだ。
平壌出身の脱北者は「後でどんな目に遭うか分からないのに、
カメラを向けられて泣かずにいられるだろうか」と話した。

日本の報道では接したことにない内容だと思います。
北朝鮮が、そんなに簡単には崩壊しないという判断材料のひとつになりそうです。

コメント (2)
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平壌と地方、二つの「北」①    らくせき

2012年01月09日 10時46分56秒 | Weblog
朝鮮日報に、興味深い記事が載っていたので、紹介します。
普通は省略する部分もありますが、この記事はそのままです。
2回に分けて紹介します。

現在の北朝鮮は、配給を受けられる「平壌」と、
各自でどうにか食べていく「地方」に分裂している。
「平壌共和国と地方という“二つの国”が存在している」
(高官出身の脱北者)という言葉が聞かれるほどだ。
配給は、「共産主義」体制が住民の忠誠を引き出すための中心的手段だ。

 外交官出身のある脱北者は「配給制が実施されていた1994年に
金日成(キム・イルソン)国家主席が死去したときは、
住民の大多数が心から哀悼した。
しかし現在、平壌を除いて配給制が崩壊している状況で、
どれだけ多くの地方住民が金総書記の死去に対し
“本物の涙”を流すだろうか」と語った。
北朝鮮の配給制は、90年代後半、100万人以上が餓死した
「苦難の行軍」時代に完全に崩壊した。
当時、北朝鮮の政権を信じて最後まで配給を待ち続けた住民たちは餓死し、
工場の設備を盗んで売ったり商売を営んだ住民たちは生き残った。
だが一方で、平壌の住民たちは最後まで配給を受けた。

 「革命の心臓」と呼ばれる250万の平壌市民は、
この場所に住むだけでも、さまざまな恩恵を受けることになる。
平壌出身の脱北者らによると、平壌の市民証さえあれば、
別に旅行証がなくても周辺地域を旅行できるという。
これに対し、ほかの地域の住民は平壌に入るにも、
「特別旅行証」の発給を受けなければならない。
「出身成分」に問題が生じた場合には、一番最初に平壌から追放される。
テレビのチャンネルも、地方では朝鮮中央通信だけしか見られないが、
平壌ではこれに加え「万寿台」と「教育文化放送」の
3チャンネルを視聴することができる。
こうした特別待遇に対し、平壌市民もそれなりに「答える」姿を見せている。
統一部(省に相当)によると、脱北者全体に占める平壌出身者の割合は
2パーセントに過ぎない。平壌の人口は、北朝鮮の全人口(2400万人)の1割程度だ。

 北朝鮮は昨年2月、平壌市の面積を40パーセント縮小する行政改編を断行し、
事実上農村に該当していた大同江以南の地域を黄海北道に組み込んだ。
その結果、食べさせなければならない平壌の「口」を50万人程度削減したのだ。
対北消息筋は「核心階層に入らない平壌外郭の人々を構造調整した。
平壌市民とはいえ、金総書記としては、
黄海道に見捨てても惜しくはない人々」と語った。
平壌特権層のための「壁」を、一層高くしたわけだ。
続いて金総書記は、内閣に「平壌市の飲料水・暖房・電気問題を最優先的に解決せよ」
(対北消息筋)という指示を下したと伝えられている。
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