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ハリルジャパン(47) ゲーゲンプレス以降の新潮流  文科系

2016年02月05日 17時02分14秒 | スポーツ
 日本にもそろそろと、「新しいサッカー」が入ってきたのだと観た。世界クラブカップの広島の闘い(マゼンベ戦、リーベル戦)と、五輪アジア予選優勝までを二つ見せつけられると、そう思わざるをえない。この傾向は、ブラジルW杯にも強く見られたのだが、その中身につき以下に愚考を述べてみたい。
 ちなみに、五輪予選決勝戦などは日韓が逆タイプに入れ替わったのではないかと思われた方も多いはずだ。

 ゲーゲンプレス

 バルサ流「繋ぎ切るサッカー」の世界全盛時代を、ゲーゲンプレスが先ず変えた。「繋ぎ切るサッカー」は、まだFWにメッシだけが居た当時のバルサなどでは、ボールは持っているもののなかなか得点が入らなかったので有名だ。徹底的に攻めながら、モウリーニョ・インテルに守りきられて、カウンターに沈んだ2010年のチャンピオンズリーグ戦は記憶に新しい。あのゲームに勝利したインテルは、ボール保持率など2割もなかったと思う。
 対して、その頃から世界に台頭し始めたドルトムント・ゲーゲンプレスが、こういう戦い方を再興したのだと観る。「ゴールに直結するサッカー」、いわゆるダイレクト・サッカーである。ゲーゲンプレス創始者ユルゲン・クロップが、この戦術をこう説明しているのが、なによりの証左となろう。
『身方が敵にボールを奪われた瞬間こそ、身方が得点できる最高のチャンスである』
 この言葉をクロップは、こう説明している。「身方が敵にボールを奪われた時は、敵の陣形が最も乱れている時。言い換えれば、身方がボールを奪いやすくて、奪ったら即、得点のチャンスに最もなりやすい瞬間である」。
 こういう考え方の下に生まれたのが、ゲーゲンプレスである。敵のプレス・ボール奪取に対して、即座にカウンタープレスを浴びせてボール奪取・カウンター得点を計る戦術のことをそう名付けたわけだ。

 ゲーゲンプレスが生み出したもの

 こういう戦法による弱小ドルトムントのチャンピオンズリーグ決勝戦進出(2013年)以降、ゲーゲンプレスの波紋が世界に広がっていく。必ずしもゲーゲンプレス全体を取り入れるというのではなくて、その一部を入れるということも含めて。その内容はこうだ。
①なによりも、ボール奪取組織、そのための個人技術、走力、体力などの重視
②奪ったら即、長短のカウンター
③特に、「身方から観て高い位置でボールを奪って、ショートカウンター得点」が肝腎、効率的。

 さて、こういうゲーゲンプレス隆盛からは、ボール保持率を無視するチームさえ現れてくる。ちょうど、2010年チャンピオンズリーグでバルサを負かした時のインテルのように(クロップはあのゲームを観て自分の戦術にさぞ確信を持ったことだろう。とそんな想像は楽しい)。その代わり、前記の①、強引なボール奪取、特にここぞと意思一致し合った時の(高い位置での)それに凄まじい日頃の努力、精力を傾ける。「ボールを奪われたら、その瞬間に即奪い返すには」とか、ゲーゲンプレスに対する返し(さしずめ「ゲーゲン返し」だ!)すら現れるという理屈である。
 他方、これに対する防御術が高度になるのもまた、理の当然。「たとえボールを奪われても、ゴールさえきちんと固めればよい」と堂々と開き直るとか、ノイアーのようなゴールキーパーが出現してくるとかだ。「高位コンパクト・プレスのために身方が皆上がったら、ロングカウンターに対する手前半分のフィールドは俺が守る」というやり方である。敵ロングカウンターに対しては、センターバックらにも爆発的走力が要求されることにもなってきた。

 さて、森安、手倉森

 広島も五輪代表もまず、繋ぎ、キープをそんなに重視してはいない。代わりに、いざという時の強力なボール奪取とカウンターに磨きをかけている。加えて、高低のDFラインを使い分けるが、意外にゴール前は固いのである。
 つまり、このチームを繋ぎの技術だけで観たり、ボールキープとかボールロストとかで観てはいけないということだろう。ここぞ一発のロング・ア-リークロスや、中途半端なショートクロス、敵に奪われる縦パスも生まれようというものだ。つまり、ゴール直結、急襲はミスも出やすい。がしかし、虎穴に入らずんば虎児を得ずである。それを覚悟のプレス、守備も構築努力を重ねていく。

 敵から強引にボールを奪う技術、組織を観ていることが、得点術を観るのと同じくらいに、楽しくなってきた。山口蛍などはその筆頭だと思う。彼を繋ぎでまず観ようというのは、無い物ねだりでもあるし、観る方のピントがずれているとさえ言える。それとは別の特別なボランチの価値が生じ、それが貴重な時代になったのである。しかも、山口はJにいてこの流儀をいち早く取り入れていて、日本では珍しいボランチ・タイプと自覚しているようで、そういう発言もしてきたのである。激しい当たり合いなどは、日本人の特に弱いところだったからだ。アジアでさえこれが弱かったから、最近は勝てなくなっていたのである。それを、広島、五輪代表が見事に覆してくれた。
 また、今をときめく岡崎は以上の組織戦術から来る個人技がどんどん伸びていて、凄く強く、かつ上手くなって、驚いている。不器用な岡崎のここまで積み重なった変遷は、彼の頭の良さをこそ示していると思う。




























コメント (2)
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