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僕の世界観に関わって(7) 随筆 「国語(科)は学問ではない!」?  文科系

2016年02月26日 07時49分43秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 現日本政府がその大学政策において、人文社会系学問を縮小しつつある。これは人間内面そのものへのある蔑視政策とさえ言えるものだ。全体主義国家、独裁国家などでは、歴史上常に起こされた動向であって、人間やその社会についての狭い理解を国民に押しつけるわけだ。例によって旧稿の再掲・改作で恐縮だが、以下のように。


『 随筆「国語(科)は学問ではない!」?  2015年01月29日

 子ども、青年期などにおいて、標記のことを唱える人は多い。僕自身も中学2年だったかの国語の時間に、若い女の先生にそんな質問をして、1時間の授業を潰してしまった覚えがある。この事件の詳細は覚えていないが、数人の級友と一緒に発した質問だったので、そうなったようだ。

 では、よくあるようにこう言い逃れるやり方は正しいのかどうか。国語で書かれた内容の方が学問か否かは置いておくとしても、国語という言語とその使用法は学問としてきわめて重要なものである。こういう語学に限定した国語(科)の定義は誰もが認めるはずだが、この「書かれた内容」を横に置いた半分の定義だけでは、国語(科)の意味、重要述語の抑えとしては3分の1の価値もないと、これが僕のこの随筆の趣旨だ。

 さて、少なくとも20世紀以降の人文科学は、以下のことを明らかにした。
 言語能力、特に抽象的言語能力が不足した子どもは、学力一般が劣るのである。思考力一般と言語能力とがほぼ同じものと言っても良いほどに。これが言いすぎであるとしても、少なくともこうは言えるというように。両者の一方が欠ければ、他方もそんなに発達はできないと。このことはまた、以下のことをも示しているのだと思う。
 言語能力が文字通りの言語能力という狭い範囲に留められるものではないということを。次いで、このことに、20世紀の発達心理学などから発見された次の事実もおおいに関わっていく。
 この言語能力・思考力一般という意味での言語能力が劣った青年、成人には、社会性も欠けるという事実である。もっと言うならば、こんなことが言えるようだ。言語能力と思考力と社会性(さしあたっては、他人の言動が見え、分かり、共感するということなどなど)は、人間においては相互に影響・発達させ合う同じ一つのことの別の側面であって、その同じ一つのこととはその人間の内面のすべてとさえ言えるのではないかと。自分なり他人なりの人間の内面のことを出来るだけ正確に現そうとしたら言語に頼るしかないという一事をとっても、このことはご理解願えるはずだ。心の中のことは、目に見え、手で触るなどということが出来ないからである。ただここで、この事だけは言っておきたい。東大理科を受かるような言語能力があっても社会性が欠ければ営業が出来ないというような例はごろごろあると。社会性が欠ければ、その言語能力、一見高度な「思考力」、内面は偏ったものだということだろう。


「国語科は学問ではない」という子どもが目の前に現われたら、今の僕なら以上のことをしっかり語ってあげたい。きちんと答えないと「必ず、発達が歪む」と考えているからである。最近賢い女の子二人が、相次いで残忍な殺人事件を起こしたが、以上書いてきた問題が本質的に関わってくると解説する専門家も多いのである。

 最後に、付け加えることがある。以上のようなこと全てを40年高校国語教師をやってきた連れあいに話してみた。その間に愛知県の最難関校(の進路指導係)を含めていわゆる受験校三つを渡ってきた人である。どんな返事が返ってきたか。
『今は、そんな質問をする子はいない。国語が、受験の主要3科目に入っているからだ』
 いや、驚いたのなんの。

 が、こんな現状も大問題であると、又別の問題性を感じたものだ。こんなに大事な学問を受験手段中心で扱っている。道理で、文科省が大学の人文、社会系の学問分野を減らそうとしている訳だ。国語を思考能力の範疇だけで扱って、社会性、人間の内面一般との関係で見ていないからこんなことができるのだろう。怖ろしくなる。なお、国語科を軽視して道徳科を重視しても、虐めも賢い子の悲劇的事件も一向に減らないはずだ。安倍首相には特に、そう言いたい。人の心こそ実は、究極の思考力、真理の最大問題なのだと強調したい。道徳を決まり(の集積)か安っぽい「善悪」のように扱うのでなければ、国語科、人文・社会系学問を軽視はできないはずなのである。』
コメント (3)
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