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ハリルジャパン(51) サッカーをボール奪取で観る  文科系

2016年02月16日 21時27分14秒 | スポーツ
 ブラジルWC以降、世界の趨勢が「必要なときのボール奪取・得点が全盛の時代」になったように見える。バルサのようにボールを繋ぎつくすやり方が盛んなちょっと前の時代は、ボール奪取が苦手なら攻められっ放しになってしまったから、それへの対策としてこうなった。

 最近のサッカー史にボール奪取の系譜を辿ると、アリゴ・サッキのミランが発明した「DFラインを押し上げたコンパクト陣形」や、これをも踏襲した最新のドルトムント「ゲーゲンプレス」がある。このゲーゲンプレス以降は、ボール奪取を観るのがサッカーとさえ言えるようになった。
 そしてとにかく、今のボール奪取はチームとしてやるもの。チーム・ボール奪取戦略が弱い所は、いくらボールをつなげても全く勝てない時代になったと言えよう。こんな時代には、チームとしてのボール奪取に対するそれぞれ個人の役割がどんどん生まれてきた。

 例えば、チームとしてのボール奪取へのFWの役割。それは、相手ボールを取ることではない。敵ボール保持者のパス・コースを狭めつつ、あわよくば彼に身体をぶつけたり、スライディングしたりとかでパスミスを誘おうとする。これがFWがボール奪取に果たす役割。このコース限定とかその都度起こりうる相手パスミスとかを想定しながら、FWの後ろの選手も動いているわけだ。
 このように、現代サッカーはチームとしてボールを奪おうとする時には必ず、奪取ゾーンとも言うべき味方密集地帯を作る。DFライン押し上げとかコンパクト陣形とかが大事になるのは、そういうわけである。

 五輪アジア予選U23代表監督に、手倉森誠が就けたのは、仙台監督としての功績によるというのは有名なこと。
 この仙台、2部弱小チームだったが、5年掛けて1部2位にまで駆け上がった。ここの強みは失点の少なさであった。2位になったこのシーズンは、確か1ゲーム当たり失点が1点を切って、J1最少失点だったはずだ。その原動力が上で観た、チームとしてのボール奪取のうまさである。
 仙台もチーム全体で相手ボールに前からプレッシャーをかけて、敵ボールをあらぬ方向に流させる。そんな敵ボールの最後辺りに関わってくるのが、ボランチの角田と富田。この二人のどちらかが、敵から味方へとボールを納めるわけである。

 ドルトムントが、ゲーゲンプレスとショートカウンターで13年CL準優勝にまで台頭して以来、さらにボール奪取に革命的前進が起こった。WCブラジル大会数々の大番狂わせはここに起因している。
コメント (1)
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